高知県の山懐に「寺川」という集落があるのを知ったのは高校生の時だった。
高一年の夏休み、学校の野外活動行事で瓶ヶ森~石鎚山へ行く2泊3日の縦走登山に参加した。
その初登山で山行の楽しさを覚え、夏休みになると何度も西条市西之川から瓶ヶ森へ行き、山小屋で一泊し翌朝に愛媛と高知県の県境を走る縦走路を歩き、石鎚山へと行った。
縦走途中、登山者用に行き先を記した道標が、登山道の分かれ道など、所々にあった。
高知の『本川村』、『寺川』などの文字をよく目にしたのを覚えている。
まだ高校生だったので、高知県はまだ未知の地だった。
数年前、高知の写友から「本川神楽が旧の本川村内の複数の神社で奉納されてる」と聞いていた。
そして先月、11月に寺川の白髪神社で開催されると連絡をくれた。
前々から登山途中の道標などで見ていた「寺川」の名前。
是非、寺川に行ってみたいと、行った。
寺川集落は、 標高約7~800mほどの所にあり、かつては山奥の中でもまだ奥に属する集落、といわれていたほどだった。
人が歩いてしか往来出来なかった道に代わり、戦後、車道が寺川まで開通した。
昔とは比べものにならないくらい、交通の便は良くなった。
さらに、1999年の新寒風山トンネルの開通とさらなる道路整備により、今では寺川まで3時間足らずで、自宅から行けるようになった。
寺川の白髪神社で本川神楽が奉納される日、早めに家を出たので3時ごろ到着した。
本川神楽は夜に舞う夜神楽で、日が沈み薄暗くなった頃から始まる。
開催時間まで少し時間があったので、紅葉に染まる谷川の道を行き来した。
11月中旬だが、ここはもう冬の寒さ。
日が沈みはじめると、上流から寒風が谷づたいに下りはじめ、一気に気温は下がるためか、紅葉の色づきが素晴らしい。
大瀧(おおたび)と呼ぶ滝が道縁の展望所から見える。
2016年11月
寺川の白髪神社 本川神楽が奉納される神社。
普段は人影もなく静かな場所だ。
お世話人たちが境内で木を燃やし暖をとる。
山峡にある寺川の白髪神社あたりは、瓶ヶ森山系からおりてくる冷たい風の通り道で寒い。
木を割って燃やし、お釜でお湯を沸かす。
陽は落ち暗くなりだした。
しばらくすると集落の人たちが拝殿に集まり、神事が始まる。
集落の女性たちが集まりごちそうを作り、集落の人たちは夜神楽を楽しみながら食べて飲む。
昔は夜を徹して行われたという。
囲炉裏端に田楽を刺している。
寺川のジャガイモは小粒だがおいしい。
田楽用のお豆腐は硬めの豆腐で、形が崩れにくい。
あめごや鮎の塩焼きもある。
おごちそうが並ぶ。
子供たちが応援にかけつけてくれ、ともに舞う。
本川神楽が最初に舞ったのは、旧本川村中野川の八畳ほどの広さの平らな石舞台の上であったといわれている。
今から約500年程も前の事である。
中野川の本川神楽
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https://ameblo.jp/ryu260701/entry-12337335043.html
開催以降、寺川の白髪神社で本川神楽は開催されていない。
これからも続いていってくれることを願っている。


















