そして、1か月が過ぎ、理佐は
抗がん剤の副作用で、髪の毛が抜けて
頭にはタオルをまいていた。
薬が体にも負担を与えているみたいで
私にも苦痛な表情を見せるようなになっていた。
「理佐、がんばれ。がんばって・・」
「がんばるからね。もう少しだけそばにいてね」
「大丈夫だよ。
理佐が眠るまでいるから、安心して。」
私は、理佐の手を握り締めた。
暫くすると、彼女は安堵の表情で眠りに入る。
最近はこれがお決まりのパターンになっていたんだ。
しかし、そんな理佐に
1つプレゼントをすることができたんだ。
ある朝、私はいつものように
理佐の病室に顔をだした。
「おはよう。理佐」
「おはよう。友梨奈」
理佐は、私の後ろに立つ、
1人の男性の姿に目を疑った。
「お父さん・・・・なんで・・・」
「すまん。許してくれ理佐!
こんなになるまでほっといて
本当にすまない。」
理佐は驚いた表情をして私を見ていた。
「こちらの友梨奈さんが、
毎日私に電話をくれて私を説得したのだよ」
すると、入院してから、
一度も涙をみせなかった理佐が泣き出した。
「お父さん・・・・う・・う」
「理佐・・・」
理佐のお父さんは、
理佐の手を握り締めた。
私は病室を静かに離れ、暫く2人きりにした。
今まで、さんざん我慢したんだ。
今ぐらい甘えなよ。理佐・・・
暫くすると、
理佐のお父さんから、
病室に招き入れられ
3人で軽く談笑しんだ。
それは、もう理佐は笑顔笑顔で。
やっぱり、家族の絆は凄いんだなあ~~。
理佐のお父さんは、
約1カ月日本に滞在できることになったらしい。
本当によかったよ。
しかし、この後いよいよ
別れのカウントダウンが始まるんだ・・・・