シンデレラ・クリスマス 前編 | じゅりれなよ永遠に

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シンデレラ・クリスマス

 

「理佐、ごめん、今日も時間取れそうもないの」

 

友梨奈からのラインが

スマホの画面に表示され、

私の心は一瞬で冷たい冬の風に

吹かれたように感じた。

 

今は12月。街はクリスマスの装飾で彩られ、

どこからともなく聞こえてくる

クリスマスソングが季節の到来を告げている。

 

私は友梨奈に

クリスマスプレゼントを渡したくて、

何度も会いたい旨を伝えていた。

 

しかし、彼女の返事はいつも同じだった。

 

友梨奈は今や売れっ子女優。

 

来年には映画が2本公開され、

年明けにはドラマが控えている。

 

彼女のスケジュールは本当に過密で、

私たちの時間を作る余裕はなさそうだった。

 

「やっぱり、友梨奈は時間がとれないの?」

 

私の暗い顔を見て、

管井友香が心配そうに声をかけてきた。

 

私たちは今、仕事帰り

カフェで軽く食事をとっていた。

 

店の照明が私たちを照らし、

私の心情とは裏腹に華やかな雰囲気が

広がっていた。

 

「うん・・・忙しいみたい。」

 

私は小さく頷き、スマホをポケットにしまった。

 

「映画撮影頑張っているからね」

 

「忙しいことはいいことだね・・・」

 

友香の言葉に私は苦笑いを浮かべた。

 

確かに、友梨奈の成功は喜ばしいことだ。

 

でも、それが私たちの時間を奪ってしまうのなら、

少しだけ寂しい気持ちになる。

 

友梨奈が欅坂を卒業して以来、

数えるくらいしか会えていない。

 

だから、せめてクリスマスの日ぐらいは

一緒に過ごして、プレゼントを渡したかった。

 

そんな思いを抱きながら、

私は友香と食事を楽しんだ。

 

でも、心の中では

友梨奈のことでいっぱいだった。

 

彼女の笑顔、彼女の声、彼女と過ごした時間。

 

それらが私の心を埋め尽くしていた。

 

食事を終え

私は一人、家に戻った。

 

スマホを見ると、

また友梨奈からのメッセージが届いていた。

 

「ごめんね、また時間を作るから待ってて」

 

その言葉を見て、私は少しだけホッとした。

 

彼女も

私に会いたいと思ってくれているんだと思うと、

少しだけ寂しさが和らいだ。

 

私はスマホをポケットにしまい、

深呼吸をした。

 

これからも頑張ろう。

 

友梨奈との時間を待ちながら、

仕事をこなしていこう。