(渡邉理佐side)
私が1人寂しく
駅のホームに向かう時だった
後ろから走ってくる足音がしたのだ
私は振り向いた
「やっぱり心配だから
家の前まで送ってもいいかなあ・・・」
うれしい、
うれしいよ。友梨奈・・・
でも、なんて返事したらいいんだろう
だめよ、妙な間は
私が拒絶していると思われるわ。
「ありがとう。うれしいよ」
その言葉に不安げな顔で
返事を待っていた友梨奈が笑顔になった。
「よかった!じゃあ、いこうか!」
友梨奈は私の半歩前を歩いた。
友梨奈に
抱きしめてもらった体がまだ熱いよ。
友梨奈と手を繋ぎたい・・・
そんな欲望にかられた・・・
でも、私達はもうそんな関係じゃないんだ。
そんな気持ちをもったらいけないんだ。
私は必死に我慢した。
友梨奈は大学でもまだ
バスケットを続けているみたいで
その話をしてくれた。
楽しい・・・
まるで、
昔の恋人同士に戻れたみたいだよ。
凄く居心地がいいよ。
なぜ、私は
友梨奈を振ってしまったんだろう
こんなに優しいのに・・・
私の孤独な心は
瞬く間に癒されていったのだった。
そして気がつけば
家の前に到着していたのだ。