風に吹かれても ~切ないね~5 | じゅりれなよ永遠に

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じゅりれな・坂道小説書いてます。

 (平手友梨奈side) 

 

ある6月の半ば

 

私は麻衣の部屋をでて駅に向っていた。

 

今夜は実家へ帰るつもりであった。

 

天気は雨だった・・・

 

そして、運命のいたずらだろうか

 

駅前で人とすれ違いはっとする。

 

このレモンのような爽やかな香り

 

まちがいない…

 

理佐だ!

 

私はすぐに振り返り後を追ったのだ。

 

あの華奢な後ろ姿間違いない。

 

理佐だ。

 

でも、後をつけてどうするんだ。

 

彼女のことは忘れないといけないんだ。

 

信号に差しかかり、

彼女の横顔をみることができた。

 

綺麗だ・・・

 

いかん、これではまた

昔の思いが蘇ってしまう。

 

引き返そう。

 

そう思ったときだった、

 

理佐の目から涙が零れるのを

見逃さなかった。

 

その瞬間私は引き返すのを止めたんだ・・・

 

理佐はカフェに一人で入り黄昏ている。

 

理佐のあんな顔みると胸が痛くなるよ。

 

なにかある・・・

 

何か悩み事があるに違いない。

 

でも、ここで私が関われば

間違いなくかつてのような恋愛感情が蘇る。

 

あのときのような辛い思いはしたくないんだ。

 

係わってはだめだ

 

でも、あの理佐を

見過ごすことができないよう・・・。

 

どうしよう・・・

 

でも会わなくて後悔するよりも

 

会って後悔する方がいいに決まっている。

 

よし、行こう!

 

私は意を決して、

理佐のいるカフェに偶然を装って入ったのだ。