トーシャ・シルバー著
「私を変えてください」より
ニューヨークへの旅の最後、トーシャは空港行きの電車に乗るためにベン駅に行った。
トーシャにとってあの場所は、まったくのカオスっぷりにはいつも圧倒されていた。
自分みたいな注意欠陥障害には優しいといいがたい場所なのだ。列車が何番ホームに入るか時間ギリギリまでアナウンスされない。すると人々は乗り遅れまいとして、血迷った旅ネズミのごとくダッシュする。
トーシャは心臓がパニックになるのを感じたので、助けを求めて神を呼び入れはじめた。
するとどこからともなく、係員がトーシャの首元をじっと見つめながら近寄ってきた。神々の彫られた小さなメダルが色々ついているのに気付いたのだ。
ラクシュやガネーシャ、イエス、グアダルーペ、マヤ、ハムサ。そう、ここに大集結。けれど、彼の目にとまったのは、華麗な装飾のついたのはロシア正教の十字架だけ。
「ちょっとお客さん、カトリック教徒?」
「いいえ、でもイエスを愛していますし、ほかの・・・」
彼は呆れて『おいおい、またイカレたヨガ好きだ』とでも思ったような顔をして言った。
「わかった。俺にはそれで充分だ!」
トーシャを連れて切符窓口の列を通り抜けて、まっすぐ電車まで案内してくれたのだった。
トーシャ曰く、
「助けてやれ」ってイエスが彼に言ったんだと思わない?
最愛の神よ、私を変えてください。
ひどく混沌とした状況でも、事の大小によらずあなたを求めることを覚えている者に。あなたの恩寵はどんな問題も解決すると知り、あなたの強さに頼ることができますように。
神もささいなことでも、頼ってほしいんだろうな。
遠慮なく 頼ってみようか。