TWENTY ONE PILOTS『トレンチ』レビュー | Baby you a song

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 トゥエンティ・ワン・パイロッツ(TWENTY ONE PILOTS)のニューアルバム『トレンチ(TRENCH)』をレビューしてみようと思います。

 

トゥエンティワンパイロッツ
トゥエンティ・ワン・パイロッツ(TWENTY ONE PILOTS)
オハイオ州コロンバス出身の2人組バンド(2009年~)
 <メンバー>
・タイラー・ジョゼフ/1988年12月1日生まれ(29歳)
・ジョシュ・ダン/1988年6月18日生まれ(30歳)
 <ジャンル>
オルタナティブ・ロック、ポップ、オルタナティブ・ヒップホップ
<代表曲>
『Stressed Out』(2015年)
『Ride』(2016年)
『Heathens』(2016年) 他

 

 

 トゥエンティ・ワン・パイロッツのライヴ映像なんかを観てると、超ハイテンションのヴォーカルや過激なパフォーマンス等々「こいつら、いつかステージで死ぬんじゃねーか??」と思わせるくらいの凄まじいパワーを感じます。

 

 世界各国でスケルトン・クリークと呼ばれる熱狂的なファンもいて、まさに10年代を代表するロックバンドの一つであると確信しますね。

 

※ 余談ながらジョシュ・ダンの高祖父の父(祖父の祖父の父)は、
北海道開拓に貢献したエドウィン・ダンだそうな・・・。

 

 さて、前作『ブラーリーフェイス(Blurryface)』に続く、約3年振り、彼等の通算5枚目のスタジオ・アルバム『トレンチ』が、2018年10月5日にリリースされました。

 

『トレンチ』/トゥエンティ・ワン・パイロッツ
(TRENCH/TWENTY ONE PILOTS)

トゥエンティワンパイロッツ トレンチ
1.Jumpsuit
2.Levitate
3.Morph 
4.My Blood
5.Chlorine 
6.Smithereens 
7.Neon Gravestones 
8.The Hype 
9.Nico And The Niners
10.Cut My Lip 
11.Bandito 
12.Pet Cheetah 
13.Legend 
14.Leave The City

 

 この作品は架空の街「DEMA」と、その周辺の谷間「TRENCH(深い溝)」がテーマという、かなり意味深なコンセプトアルバムとなっています。

 

初めに感じたのは、なんとなくゲームの世界・・・。

 

 実際に彼等の特設サイトは、架空のキャラクターClancyが登場し架空の街「DEMA」から逃走する為のヒントを次々与えてゆくという、まさにゲーム仕立てのコンテンツとなっているようです。

 

 ここまで書くと「なんだか子供っぽいアルバムやんけ」と思われそうですが、いやいや違うんです!
このような諸々はあくまでアルバムの世界観を示唆するプロモーションで、
もしビートルズが今の時代に『サージェント・ペパー~』をリリースしていたら、同じようなプロモートをやっていたかもな~、なんて気もしてきます。

 

アルバムからのシングルは、今のところ
『Jumpsuit』『Levitate』『My Blood』『Nico And The Niners』の4曲で、
『Jumpsuit』はハードロック、オルタナティヴロック
『Levitate』はヒップホップ、エレクトロニカ
『My Blood』はポップ、ディスコ、ファンク・ポップ
『Nico And The Niners』はレゲエ 、 ラップ 、 サイケデリック
と、バラエティーに溢れた選曲となっています。
(しかし貫いているのは、紛れもないロック!)

 

アルバムのラストナンバー『Leave The City』を紹介します。

 

トゥエンティ・ワン・パイロッツ(TWENTY ONE PILOTS)


『リーヴ・ザ・シティー(Leave The City)』

 

 アルバムのコンセプト「架空の街Dema」が象徴しているものは、我々が決して逃れることの出来ない「不安」や「苦しみ」のようです。

(全体のサウンドの特徴も、極めてヘヴィーでダーク・・・)

 

このアルバムの主人公(?)は、
ある時はジャンプスーツを着て、そこからの脱出を計り(『Jumpsuit』)、
ある時は死後の人生のテーマを探求し(『Morph』)、
ある時は「塩素」を使い、暗い考えから逃れようとします(『Chlorine』)。

 

アルバムタイトル『トレンチ(深い溝)』は、
それを阻む、逃れようとしても逃れられない「深い溝(TRENCH)」・・・。

 

 ラストナンバーの『Leave The City』(この街を去ろう)は、あきらめの境地のような穏やかさも感じますが、この深い溝(トレンチ)の苦しみに立ち向かっていこうという強い決意も感じる、まさにラストにふさわしいナンバーですね。

 

 アルバムをトータルで聴いてみると、なんだか純文学の超大作を読み終えたような気分になってきちゃいます。

(個人的に感じたのはモデスト・マウスの『生命の大航海』以来の衝撃!)

 

トゥエンティ・ワン・パイロッツ、
こりゃまたトンデモないアルバム出しちゃったなぁ~。