「万引き」は、「間引き」から転じたもので、物と物のあいだ・すきまを意味する「ま(間)」に撥音「ん」がついて「まん」となったもの。「万」は当て字。 ─由来・語源辞典より─
他にも説があるらしいけど、これが有力らしい。
昨夜の9時ごろ、万引きを一件捕獲した。
こんなことをいちいちブログに上げたりはしないのだけれど、右胸の肋骨が痛いから書こう。
殴られてはいないけど、「ちょっとトイレ行かせろよ」から始まって、何度も逃げようとする犯人だったからちょっと格闘があったせいだ。
目の端にちらりと映った瞬間、その怪しい風体に僕はすぐに持ち場を離れてマークした。
確かに怪しい。だぼっとした黒の上下に、縦じまのシャツから白いTシャツがのぞいている。黒ぶち眼鏡に、ぼさっとした白髪交じりの髪に少し伸びた無精ひげ。全体的に薄汚れた感じがある。でも、これがファッションの可能性も十分ある。
そうであるか否かを見抜く僕なりの方法がひとつある。それは、靴を見ることである。
それなりのこじゃれた靴でも履いていたら、それはその人なりのスタイルだとわかる。くたびれていればおしゃれではない。
その見地から言っても、僕はマークを外さなかった。
気づかれないように、男から離れた場所でじっと見つめ続けた。
商品を手に男は背中を見せて足早になった。
すぐさま作業用の手袋を着けながら、僕も足早に追った。
案の定、外に出た。
男は人混みを縫うように小走りになった。こんなケースは珍しい。たいていは普通に歩いていくのだ。
背後から男の二の腕とジャケットの腰のあたりをつかんで声をかけた。
「お金は? 払ったの?」
バックヤードで、逃げようとする犯人とちょっとしたもみ合いがあった。
ゴミ捨てから戻ったネパール人スタッフが戸が閉まらないらしくおたおたしていた。
後ろから男の首を絞めた僕が怒鳴った。「早く閉めろ、○○!」
逃げようと暴れる犯人の動きに押されて、台車に積んだ段ボールの山が倒れた。
「手伝いましょうか」外から若い日本人サラリーマンがネパール人スタッフに声をかけている。
いっそ手伝ってもらおうかと思ったけど、退路を断つことが先だった。
「早く閉めろつってんだろが!」僕は再びネパール人スタッフに怒鳴った。
いざという時、彼らはほとんど物の役には立たない。
その時、配送の日本人の若い男性が顔を出した。地獄に仏。
「ちょっと手伝ってくれる! こいつ逃げようとしてるから!」
違うネパール人スタッフがやってきた。
「捕まえてろ!」僕は怒鳴った。けれど、顔中に戸惑いの色を浮かべている。
配送の男性がネパール人に指示していた。
「そっちにいて、俺、こっちにいるから」
きれいに挟み撃ちにしてくれた。
そこでようやく110番通報ができた。
こんな時、闘争本能のわかない男は、ちんちんを返上した方がいいと僕は思っている。
「ありがとう、助かったよ」配送の男性に僕は微笑んだ。
「こんなの初めて見ましたよ」
「よくあることだから。いや、ほんと助かった。ありがとう」
ついでに書くと、一昨昨日の夜にも一件捕獲した。
その時も、僕は一人で捕縛して、逃げないように見張りながら110番通報をした。
もっとついでに書くと、今月のいつだったか、こちらのやんわりとした忠告も無視し、やがて暴言を吐く、はた迷惑で生意気な若造どもの一人をぶっ飛ばした。
これは一番やってはいけないことだ。
どんな相手であれ、手を出した方が負けなのだ。
万引き犯に腹を立てることはほとんどない。
けれど、上記のような人間には口より先に手が出るのが僕の悪い癖なのだ。
そんなこんなで僕の日々は過ぎてゆく。
そんな日でも、なんてこともない普通のブログを書くのだけれどね。
息を吸うと肋骨が痛いや、から書き始めたブログでした。
こんなブログに似合う写真なんてないから、殺風景です。花の写真なんて載せたら変態です。
でもこれこそが、生身のブログです。
万引きと痴漢は常習犯。決して出来心ではない。
そんな一部の人間のために、迷惑をこうむる人がたくさんいる。
嫌な世の中だな。
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