風神 あ~る・ベルンハルトJrの「夜更けのラプソディ」 -52ページ目

朱色が入り混じれば赤味を帯びるように、人は付き合う人の良し悪しによって善悪どちらにも感化されるものだ、という意味の言い回し。語源については、中国のことわざ「近墨必緇、近朱必赤」に由来するものとされる。

─実用日本語表現辞典より─

何が善で何が悪か。
その境界線は曖昧に揺れて、滲んでぼやける。
ある人にとっては善でも、違う人にとっては悪となる。
ある集団にとっては善でも、周囲から見れば悪と映る。

そして、全くの第三者にとっては、どうでもいいことであったりもする。

これは、怪しげな新興宗教を思い浮かべればイメージしやすいだろうか。彼らとて最初からおかしな人ではなかったはずだ。朱に交わってしまったのだ。

隠蔽体質なる言葉を、最近よく耳にする。
それは当たり前だ。組織は基本、隠蔽体質だ。その存在を守ろうとする力が働くのが当然だからだ。
質問する記者も、なにを正義面しているんだと思ったりする。

だから僕は訊きたい。君は、隠蔽というものに全く関わったことがないのかと。
組織に属している以上、多かれ少なかれあるはずだ。

だからといって、それが正しいなどとは、もちろん言わない。
けれど、われこそが正義なり、と言わんばかりの言葉遣いが嫌なのだ。

今日も茶番が繰り広げられる。
人は時として、ひどく醜い。平気で嘘をつくことも醜いけれど、それを暴こうとする姿も醜いからだ。

『朱に交われば赤くなる』

善に染まれば良いけれど、逆もありうる。いや、世の中その方が多いのではないだろうか。
だから僕は、何事にも深く立ち入らない。見ない、言わない、聞かない。

そうやって、僕は僕だけの色を守り続ける。
それは、無力の証なのだろうけれど。


人を恋うる歌
作詞:与謝野鉄幹 作曲:不詳

妻をめとらば才たけて
みめ美わしく情ある
友をえらばば書を読みて
六分(りくぶ)の侠気四分の熱

恋の命をたずぬれば
名を惜むかな男子(おのこ)ゆえ
友のなさけをたずぬれば
義のあるところ火をも踏む

汲めや美酒(うまざけ)うたひめに
乙女や知らぬ意気地あり
簿記の筆とる若者に
まことの男子(おのこ) 君を見る

あゝわれダンテの奇才なく
バイロンハイネの熱なきも
石を抱(いだ)きて野にうたう
芭蕉のさびをよろこばず





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昨日のお休みは買わなければならないものがたくさんあった。
洗濯洗剤に、なんだっけ、トイレットペーパーは買ったから、ああ、ティッシュペーパーだ。
もちろん他にも食材とか買うから一回ではムリだ。

塩辛のパックを買おう。それを美味しく食べるにはゆずが必要だ。
テキーラが飲みたい。それには絶対ライムが必要だ。

心のなかで葛藤が起きる。
やめておいた方がいい、絶対飲み過ぎちゃうから。
でも、テキーラが飲みたい。

冬にテキーラが飲みたくなったりはしない。
それは多分、ライムと塩を体が求めているからだろう。

ああ、エルゴのキーボードが欲しい。
もう、ミスタッチだらけでストレスがたまっている。

その前に、お腹が空いた。
カツ丼を食べよう。ご飯少なめにして。
自転車で向かった蕎麦屋は閉まっていた。

じゃあ、うな重を食べよう。大好物だ。どんなに食欲が無いときでも、うなぎだけは食べられる。
でも、向かった店が2連休の張り紙だった。

カツ丼は許容範囲だけれど、トンカツはいやだ。ましてや麺を欲してはいない。

仕方なく福しんに向かった。
めったに行かないけれど、行けば頼むのはたいていレバニラ定食。A定食というやつだ。
サンプルを見て気が変わった僕は生姜焼き定食を頼んだ。

しばらくすると店員さんが来た。
「キャベ千がなくなったから茹でもやしでいいですか」
「いいですよ」と僕は答えた。

でも、おいしくなかった。失敗だった。
あれだけお腹が空いていたのに、僕は少し残して席を立った。

そのあと、もちろん公園で読書をして、BOOKOFFで文庫本を買った。

あちこち自転車で走り回る。
家電量販店を二件回ったけどキーボードはなかった。
やっぱりAmazonで買うしかないか。

スーパーを回った。一軒で済めばいいのに、揃わない。
テキーラと塩辛はどこにでもある。
でも揃わない。ライムはあってもゆずがない。

荷物を持ったまま何軒もはしごをする気はない。

ゆずがないのはわかっていたけど、もういいやと、いつものスーパーに行った。
ん? なんだあれ。

近づいてみたらキウイだった。
ちっちゃいキウイフルーツが成った木。こんなの初めて見た。

好物というわけではないけど、かわいいからキウイを買った。
テキーラも塩辛も買わずにキウイの鉢植えを買う。僕の行動は僕にも予測できない。

帰って調べてみた。
あ、キウイって蔦姓の植物だった。おっきくなったら這わせるものが必要だ。
どうしよ。

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“オブラートに包む” という言葉が消えていこうとしている。いや、もはや消えてしまったのだろうか。

意味はご存知のように、遠回しとか、婉曲(えんきょく)を表すもので、要は人を傷つけないように言葉を選ぶことだけれど、どれぐらいの世代まで通じるのだろう。
これはどうにも調べようがない。

日本に伝わった頃のオブラートはまだ固いもので、現在のような柔らかいオブラートは日本で開発されたらしい。

その昔は、飴やキャラメルを包むのに使われていた。昭和25年に砂糖が自由化されたのに伴い……
なに? 砂糖の自由化って……。

詳細は省くけれど、水飴で作られていたものが砂糖に変わってオブラートが必要でなくなったのですね。砂糖は貴重品だったってことで話を締めましょう。

子供の頃、粉薬を飲む時に使っていたのはよく覚えている。薬を包んで飲むのだけれど、結構なサイズになった。

そのせいで、飲み込む時に気が遠くなった。なんというか、意識を失いそうな気分だった。今思えば、粉のままで飲んだほうが楽だったのではないかとさえ思う。

でもまあ、その苦さを知らないからだけど。


そして、砂糖も無縁ではない物語は始まる。

「明日さあ」放課後、サトシが近づいてきて声を潜めた。
「川沿いの道路があるだろ? あそこでさ」
「橋を渡るの?」
「渡んない。でさ……」

「ええッ?」サトシの提案に、ランドセルを背負おうとしていた手を止めてマサユキは眉をひそめた。
「それって、悪いことだよ」オブラートに包まず、マサユキは言葉にした。
「いいんだって」
いいの根拠がさっぱりわからない。

休日に悪事を働く。もちろん気乗りのする話ではなかった。それにトラックを追いかけるなんてバカげた話。

でもまあ、脚力試しにはいいかもしれない。マサユキもサトシも、足の速さでは学年で一位二位を争うライバル。

気は進まないのは変わらなかったけど、トラックと競争、その一点だけで自分を納得させた。

翌日の午後、空は青く遠く晴れ渡っていた。
「ここで待つんだ」サトシはちょっと引っ込んで草むらになった場所を示した。
「ここ嫌だな」
「なんで?」
「犬のうんこ踏みそう」マサユキはおっかなびっくりそこに足を踏み入れた。
半ズボンの足を葉っぱがチクチクと刺す。

待つ間、ずっと犬のうんこが気になっていた。くんくんスンスンとうんこの匂いを探る。
「お前、几帳面だな」サトシが不思議そうな顔をする。
言葉の選び方が、ち・が・う……。

「来た!」
サトシの声にマサユキはその肩口からそっと道路を伺った。
遠く右手に見えるのは、老体を震わすように走ってくるオンボロトラックだ。

「行くからな」
振り向いたサトシの声に、マサユキは黙って頷いた。

トラックが目の前を走り抜けた瞬間サトシが飛び出した。マサユキもその後を追って走り出した。
それほどスピードを出していないとはいえ、小学生がトラックに追いつくのは並の脚力ではかなわない。

「うりゃ、うりゃ」サトシがスピードを上げる。
マサユキも腕を力いっぱい振って全力疾走に入った。排気ガスが臭い。

けれど、トラックの荷台が少しずつ遠ざかっていく。両足に力を込めても遠ざかっていく。それは失敗の証。全力を出しても失敗することがあることを、こんなことで学ぶ。

ああ……

二人は走るのをやめた。両手を膝について荒い呼吸を繰り返す。

「戻ろ」ハァハァと喘ぎながら元いた場所に引き返す。
「いま来たらだめだな」体育座りをしたサトシが空を見上げる。
「ムリ」マサユキは犬のうんこが気になってしゃがんだまま一台を見送った。

やがてサトシが立ち上がり通りを伺う。マサユキは手足をブラブラと振って回復状態を確かめた。なんとか走れそうだ。

「来たぞ。行けるかマサユキ」
「うん、大丈夫そう」

「行くぞ!」
サトシの声にマサユキも飛び出した。

「うりゃ、うりゃ」サトシが声を出してスピードを上げる。
こいつはいつもそうだ。リレーで人を追い抜くとき、うりゃうりゃ言う。

青い塗料が剥がれ、サビの浮いたトラックの荷台が眼前に迫ってきた。
あと少し。排気ガスは容赦なく襲ってくる。

サトシが飛びついた。積荷を引っこ抜こうと全身を揺らしている。
マサユキも手を伸ばす。あと少し、もうちょっと。

サトシが積荷を掴んで道路に落とす。
マサユキも積荷を掴んでトラックに両足をつけてグイグイと引っ張る。

抜けた。もう一本。さらに一本。
二人は飛び降りた。

排気ガスを撒き散らしてトラックが遠ざかる。
運転手に見えているのかいないのか。見えていたって戻ってきたりはしないだろう。

盗人の少年が二人、達成感に頬を緩め、道路に落とした獲物をズルズルと引きずる。全力疾走の体に風が心地良い。

こんなことしなくてもサトウキビは家にあるというのに……。

少年は妙なことに力を注ぐ癖を持っている。それもまた勉強なのかもしれない。昭和はまだ長く続くことになる。




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昨夜、僕はたまたまテレビを見ていた。時間がないのでブログを書くことを諦めていたからだ。
女子水泳だった。

大橋悠依(21)選手が、女子200メートル個人メドレー決勝で2分07秒91の日本新記録で、日本競泳陣初となる銀メダルを獲得した。



平井コーチって見たことある人だな。絶対何回も見てる。
調べてみたら北島康介、中村礼子のコーチだった。萩野公介のコーチも務めたらしい。

そんなことより、大橋悠依だ。右の拳を上げて、何度も水面を叩いた。この映像には写っていないけど、何度も何度も。

人が喜ぶ姿を見るのは、なぜこんなにも嬉しいのだろう♪

しかとした理由はわからないけれど、これは、他の生き物に比して、人間が持った最高の美点であるように思える。

人の不幸が好きな人がいる。
人を貶(けな)して脅して、自分の優位を示そうとする人がいる。なんてもったい生き方をしているのだろうと思う。

褒められて嬉しくない人はいないだろう。
もちろんリアクションはそれぞれだろうけれど、絶対嬉しい。

一日一回でいいから人を褒めてみよう。
僕もそうしたいな。それを教えてくれた素敵なシーンだった。もう、感謝を捧げたいぐらい。

ちなみに、ネットを見ると竹内結子似と言われているらしい。
ふむ、たしかに。

おめでとう、大橋悠依!

では、僕の友人が飼っている、黒猫のミーちゃんから一言。

ミャアミャア

ちーがーうーだーろー
違うだろー!




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あのデブが言うのよ。ほら、あのシロコロホルモンが間違えて人間になったみたな脂だらけのデブがさ。

「君は笑顔がないんだよ」だってさ。
聞いてるミーちゃん。笑顔がないんだってさ。
あんたの歪な笑いのほうがよっぽど怖いっての。
ヒアリよヒアリ。毒よ毒。我が身を知らないって怖いねえ。

ウェルダンにしちゃおうかしら、脂が抜けるまで。
あー、でも煙だらけになっちゃうね。消防車来ちゃうね。ウゥーウゥーって。

ミーちゃん、もっと味わって食べなさい。
それ高いのよ。600円近くするんだから。

んーとね……炙り鮭とば……北海道産秋鮭使用だって。
道南冷蔵だって。函館だって。

鮭トバって硬いのが多いでしょ。それ柔らかいでしょミーちゃん。あたしが思うに、鮭トバのチャンピオンね。

女も三十路になると歯を大事にしなくちゃね。まあ、鮭トバで歯を折っちゃった人なんて聞いたことないけどね。でもさ、いそうだよね。

だからぁ、もっとゆっくり食べなさいって。
もう、ほら、これで最後だよ。あとはあたしのおつまみだからね。あ、このバタピー湿気ちゃってる。
ミーちゃん食べる? 食べないかぁ。

あー洗濯面倒くさい!
今夜はやらなくていいって? そだねミーちゃん。

あのさ、あのバサマが言うのよ。
「手が遅いのよぉ」って。
あんたのほうがよっぽど遅いっての。あれで生きていけるんだから平和よねえ。
手が早いのは盗人だけで充分よねえ。

あ、誰かあたしの心を盗んで! みたいな。
なんでそこだけちゃんと聞いてるのミーちゃん。

それにさ、今日なんてさ、ほら、聞きなさいって。
「化粧濃くない?」だって。
あんたのほうがよっぽだっての。漆喰壁みたいな顔してさ。笑ったらさ、ビシッて音するよ絶対。だから笑わないのね。
それにさ、額の横っちょがテカってんの。更年期かしらね。

ミーちゃん、あたしはそこそこ頑張ってるよね?
それにさ、ミーちゃん聞いてる? あたしはそこそこきれいよね? まあ、そこそこだけどね。



ミャアミャアだとうぅ!

あんたね、飼い主をいたわるってできないの?
そんなこと言ってるとね、怖いおばさんが来るよ。こわーいおばさん。

来た、来た、ほら来た、ほら来たぁ!

ちーがーうーだろー
違うだろー!

ミーちゃん、逃げろぉ!
ヤマトに売り飛ばされちゃうぅ!
トットコ、トットコ

さて、みーちゃん、今夜は何が聴きたい?
あ、気が合うねぇ。

さ、聴こうかミーちゃん。
あたし、眠くなってきちゃったよ。
飲み過ぎ?
大きなお世話様。

いつもありがとね、ミーちゃん。

うん? 泣いてないよぉ。
泣いてないってばミーちゃん。

溜息ながして 何かを捨てよう
黄昏の街 ひとりで生きてゆく
知っていることが 辛いことだと
涙の中を泳いで あゝブルース

片意地張って生きてゆく
小さな肩が重いから
今夜は誰か 一緒にいて
長いパイプをくゆらせて あゝブルース

みんなみんな夢だから
生きて泣いて辛いから
今夜は誰か一緒にいて
黒い子猫がうるさくて あゝブルース


あゝブルース/内藤やす子
作詞:阿木燿子 作曲:宇崎竜童



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先月だったろうか。それとも今月の頭のことだったろうか。
いつもの公園で読書をしていると、風に乗って、ふと甘い香りがした。

顔を上げて辺りを見る。前方の花壇は遠い。
振り返ると白い花があった。

これかな。ベンチを回り込み鼻を近づける。
うん、この匂いに間違いない。表示を見たら『クチナシ』と書いてあった。



ああ、これがクチナシか。多分初めて見る。というか、初めて認識した。
そうか、これがクチナシか。名前は嫌ほど知っているのに、花を見るのは初めての僕はひどく感動していた。

もちろん、ひとつの歌が頭に浮かんだけれど、書かない。

ベンチに戻ると、小さな女の子が二人、じゃれ合いながら前を走りすぎた。
まだ、美しい花さえ引け目を感じるには早すぎるな。クチナシさえ余裕の笑みをうかべているに違いない。

心美しく、やさしいひとに育ちなさいね。それが地上で最強。
それを、美と呼ぶのだ。
それこそが『花も恥じらう』ことだと信じたい。

僕は二人の背中を見送った。


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「よし、今日は何もやってない」

声に顔を上げると、少年たちがぞろぞろとやってくる。
シンジとヨシヒロとツトムと……あとは、誰だっけ、忘れちゃったな。

「タカシ、缶は?」
「あるよほら」
そうだそうだ、タカシだ。あとは、誰だっけ。
まあ、いいや。

「あ、タマだ!」
タマじゃないっツーの。でもまあ、名乗ったわけじゃないからしょうがない。

「タマー、タマー」
近づいてきた男の子が喉を撫でる。気持ちがいい。

「アキラ始めんぞ」
そうだ、この子はアキラだ。女の子みたいに優しい顔をしている。
「じゃあ、またねタマ」

僕はゲームのじゃまにならないように縁の下に移動して、両手の上に顎を乗せた。

じゃんけんポン!
じゃんけんポン!
じゃんけんポン!

「鬼かよぉ」つま先で地面に円を描いていくシンジの足が見える。
真ん中に空き缶をトンと置いた。

「俺蹴るよ」あの声はタカシだ。
「遠くまで飛ばせよ、タカシ」
「飛ばさなくていいって」シンジがぶうたれている。

カコーン!
いい音だ。
と同時に走り出す音がする。

逃げられる範囲は狭い。どこまでも逃げたらゲームが終わらないかららしい。
公民館は閉じている。だから僕の目には多くの子達の足が見えている。

「ヨシヒロ見っけ!」シンジの声がする。
床下を風が吹き抜ける。ちょっとかび臭い。やっぱり木陰にすればよかったかな。



「タマ見っけ!」
声に顔を上げると、四つん這いになってこっちを見ているシンジがいた。随分と暇だなお前。
僕はニャアとひとつ鳴いてみせる。

缶蹴り。
遠い遠い昔にやった記憶があるのはなぜだろう。
僕はずっと猫なのに。


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タイトルを見て、ピンとくる人はいるだろうか。

以下はWikipediaからです。
ケイドロもしくはドロケイは、鬼ごっこの一種。名称は地方によって様々。

呼び方はケイドロ(警察と泥棒)やドロケイの他にも、ドロジュン(泥棒と巡査)、ジュンドロ、ドロタン(泥棒と探偵)、ヌスタン(盗っ人と探偵)、ドロジ (泥棒じいさん)、悪漢探偵、タンテイ(探偵)、探偵ごっこ、助け鬼(捕まった人を助けるから)など様々である。

犯人役(以下「泥棒組」)と捕まえる役(以下「警察組」)に分けて、グループで遊ぶ。捕まえる役(鬼)が泥棒役を追いかけて、牢屋(または刑務所など呼び方は様々)に捕まえる。


調べてみたところ、ケイドロが圧倒的なようだ。東京、神奈川、埼玉の首都圏では「ドロケイ」呼びが1位、愛知、沖縄も「ドロケイ」呼びが1位だそうだ。

なるほど、さらに調べてみても、東京ではドロケイと呼んだ人が多いようだ。けれど、悪漢探偵と呼んだ人も負けずに多いみたいだ。これは年代とか親の影響とかもあったのかもしれない。

僕は東京から遠くはなれたところで生まれ育ったけれど、悪漢探偵だった。悪漢という言い方からして、これが一番古い言い方なのではないかとも思う。
それが変わっていったのかな、とも。

男女入り乱れて大人数でやった記憶がある。当然、鬼ごっこだから女子は不利だったかな。
最初に捕まった人が木の幹に手をつき、捕まっていく順に手を繋いで助けを待った。

悪漢探偵のルール…5~10人位でやる遊びで、文字通り、悪漢チーム・探偵チームの二手に分かれる。探偵が悪漢を捕まえるゲームで、探偵が悪漢にタッチすると捕まえた事になる。全員捕まえると、交代となる。
捕まった悪漢は、仲間にタッチされれば再び逃げる事が出来る。
逃げれる範囲は、だいたい町内400m角と決めていた。鬼ごっこ・缶けり・かくれんぼ の要素がミックスされたような遊びであった。

─ネットより拝借─

そして、物語は始まる。

「え、どこ行くの?」トシアキの声にリョウスケは振り向いた。
「学校から出るの」
「やんないの?」
「やるよ」
「じゃあ、出ちゃだめじゃん」何かと真っ直ぐにしたがるトシアキの目が咎めている。

「いいよ、見られてるわけじゃないし」リョウスケは土手を走り降りた。
みんな一生懸命鬼ごっこをやっている。でも、学校を出ればそんなことやっているとは思えないほどに静かだ。授業をサボっているみたいな、妙な開放感。

蝉の声、木々のざわめき、遠くからは、放課後を楽しむ生徒たちの声。
そろそろかな。時間を見計らって学校に戻る。

木の陰からそっと様子をうかがう。

捕まってる捕まってる。
捕虜になった仲間の鬼たちが手を繋いでいる。
お、一番端っこで手を伸ばしているのは、みゆきちゃんじゃないか!

すっと足を踏み出す。
前後左右に注意をはらいながらゆっくり歩く。
目立つ動きをすると見つけられてしまう。
何気なく歩いていれば、生徒がたくさんいる中で目立たない。

背中に目がほしいぐらいにドキドキする。
時々ゆっくりと振り返る。目だけは左右を探り続ける。

走り出したやつがいる。こっちに真っすぐ向かってくる。
見つかった!
周りをよく見て走り出す。もちろん、捕虜を助ける方向へ。

走ってくるやつはかわしやすい。右に行くと見せかけて左に、左に行くと見せかけて右に一気に走り抜ければいい。

抜いた。
次も抜いた。

おっと、これが厄介だ。
立ち止まり腰を落として両手を広げているのが一番厄介だ。
近くはすり抜けられない。

かといって、大回りをすれば無駄に体力を失う。下手をすれば完全に追いかけられる体勢になる。走ってきた分不利だ。

真っ直ぐ走る。避ける気配も逃げる気配も見せず真っ直ぐ走る。

その顔に戸惑いが見える。え? ぶつかってくる気?
腰が浮く、そこが狙い目だ。

コースを変えて一気に走り抜ける。

「リョウスケが来た!」仲間の鬼たちが大喜びする声が聞こえる。

「みゆきちゃーん!」最後の相手を抜き去りその手にタッチする。
そして、その手を離さずふぅーと息を吐く。

「ありがとう、リョウスケ君」
「なんのなんの!」

花壇に咲く花。つきたてのお餅みたいにやわらかなみゆきちゃんの手。見上げれば、空に浮かぶ雲はゆっくりと流れてゆく。

「何してんの」誰かの声がする。
「握しゅ」
「いつまでやってんの」
「夕焼け空が、僕達を引き離すまで」
「馬鹿じゃね」
「馬鹿じゃない」

「みゆきちゃん、嫌がってるよ」
「そんなウソ信じない。ぜったい」

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小説は“恋”に似ている。

ああなるだろうか、こう展開するだろうか、その行方にハラハラドキドキ。時に息を呑み、時に高揚し、時に失望する。

ページを開いて恋が始まり、最後の一行で恋は終わる。
その物語の良し悪しは、読み終えてから決まる。
人生もまた、そのようなものなのだろうか。

『哀しみの星』新堂冬樹


幼い頃に母親に殺されかけた沙織は、優等生を演じながらも他人には心を閉ざしたままだった。そんな彼女がただ一人心を許せたのが、公園で偶然出会った盲目の青年・亮。

しかし亮のことを「彼氏」と呼ぶ女性が現れたことが、沙織を悪魔へと変身させる。家庭内暴力、同級生へのリンチ、不良グループとつるみドラッグに手を出す。荒みきった沙織を亮は救うことができるのか…。号泣必至の新しい恋愛小説!!
─「BOOK」データベースより─

いわゆる白新堂に当たる本作。
途中から飛ばし読みになった。なぜなら、次の恋に移るため。
号泣必至? それはありえないと思う。
白新堂の悪い癖で、設定と展開に強引なところがある。

ただし、初めて新堂冬樹に触れた人にはそれなりに心動かされる作品かもしれない。


続いて小池真理子。代表作ともいわれる「恋」も含め多くを読んだけれど、ちょっと重いところがある。

そんな中でも、随分以前に読んで心に残っている小説がある。
『冬の伽藍』小池真理子


煉獄の中で、私は天上の果実を口に含んでいた…。夫を事故で失った高森悠子は、薬剤師として勤めることになった軽井沢の診療所で医師・兵藤義彦と出会う。
彼もまた、妻の美冬を自殺で亡くしていた。義彦に恋心を抱きながら、好色なその義父・英二郎の誘いを拒みきれない悠子。エロス匂い立つ、長編恋愛小説。
─「BOOK」データベースより─

くどいなと思いながら読み進めた。うん、小池真理子はちょっとくどい。ドロドロしてる。
けれど、最後の数ページで僕の心臓は高鳴り、ぐいぐいと引き込まれた。

読み終わった直後、ありえないことに3度読み返して、その都度僕は泣いた。
切なくも美しいエンディングだった。

けれど、恋には時があるように小説にも時がある。
その良さに気づかないときもある。
その欠点に目が行かないときもある。

今読んで感動するかどうかは、再読しない限り謎なのだ。
恋もきっと、そのようなものだろう。

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長崎県佐世保市生まれ。長崎県立佐世保北高等学校卒業、北海道大学文学部国文科中退。大学在学中、同郷の作家野呂邦暢の『諫早菖蒲日記』(1977年)を読んで感銘を受け、ファンレターを書いて返事をもらったのをきっかけに小説を書き始める。

1979年に大学中退後は佐世保に戻り、1983年に2年がかりで書き上げた長編小説『永遠の1/2』(えいえんのにぶんのいち)がすばる文学賞を受賞し作家デビュー。

筆名の「正午」は、アマチュア時代に佐世保市内の消防署が正午に鳴らすサイレンの音を聞いて、小説書きにとりかかるという習慣から思いついたという。

その他の代表作は『リボルバー』(1985年)、『個人教授』(1988年、山本周五郎賞候補作)、『彼女について知ることのすべて』(1995年)、『Y』(1998年)、『ジャンプ』(2000年)、『身の上話』(2009年)などで、『Y』と『ジャンプ』はベストセラーとなった。2015年、『鳩の撃退法』で山田風太郎賞受賞[5]。2017年、『月の満ち欠け』で第157回直木賞受賞

─Wikipediaより─

佐藤正午は多作な小説家ではない。もう、書いてないのかなあと、思い出すたび探す人だった。なかなかないから、読んでいる人も少ないのだろうか。知る人ぞ知る作家なのだろうか。
けれど、僕の中では別格だ。この人は紛れもなく名手だから。

誰が直木賞を取ろうが興味はないけど、この人は別だ。
おめでとう佐藤正午!

これで読者層も広がり、過去の作品も読まれるようになる。
ほんとにおめでとう! 佐藤正午!

読んだことのない人は、ぜひページを開いてほしい。どれとは言わないけれど、
下記の3つのうち、どれか一つでも。

『永遠の1/2』


小説界のカリスマ、不朽不滅のデビュー作!
どんな小説家にも、一つだけ、アマチュアとして書いた小説がある。
ないと始まらない。
その小説が人目に触れ、本になるとデビュー作と呼ばれ、書いた人は小説家と呼ばれるようになる。
――「あとがき」より

現代作家の中でも群を抜く小説の名手――佐藤正午の不朽のデビュー作を、新たな装いで文庫化!
─内容紹介─

失業したとたんにツキがまわってきた。婚約相手との関係を年末のたった二時間で清算できたし、趣味の競輪は負け知らずで懐の心配もない。おまけに、色白で脚の長い女をモノにしたのだから、ついてるとしか言いようがない。

二十七歳の年が明け、田村宏の生活はツキを頼りに何もかもうまくいくかに思われた。ところがその頃から街でたびたび人違いに遭い、厄介な男にからまれ、ついには不可解な事件に巻き込まれてしまう。

自分と瓜二つの男がこの街にいる―。現代作家の中でも群を抜く小説の名手、佐藤正午の不朽のデビュー作。新装文庫限定「あとがき」収録。
─「BOOK」データベースより─

『Y』


ある晩かかってきた一本の奇妙な電話。北川健と名乗るその男は、かつて私=秋間文夫の親友だったというが、私には全く覚えがなかった。

それから数日後、その男の秘書を通じて、貸金庫に預けられていた一枚のフロッピー・ディスクと、五百万の現金を受け取ることになった私はフロッピーに入っていた、その奇妙な物語を読むうちにやがて、彼の「人生」に引き込まれていってしまう。
この物語は本当の話なのだろうか?時間を超えた究極のラブ・ストーリー。
─「BOOK」データベースより─

『ジャンプ』


その夜、「僕」は、奇妙な名前の強烈なカクテルを飲んだ。ガールフレンドの南雲みはるは、酩酊した「僕」を自分のアパートに残したまま、明日の朝食のリンゴを買いに出かけた。「五分で戻ってくるわ」と笑顔を見せて。

しかし、彼女はそのまま姿を消してしまった。「僕」は、わずかな手がかりを元に行方を探し始めた。失踪をテーマに現代女性の「意志」を描き、絶賛を呼んだ傑作。
─「BOOK」データベースより─


これが受賞作/『月の満ち欠け』


もう絶対面白いに違いない。文庫化が待ち遠しい!
ま、待つのか…お前本当にファンなのか…。

文庫化を待ち望むのは、雫井脩介の『犯人に告ぐ』以来かもしれない。

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