風神 あ~る・ベルンハルトJrの「夜更けのラプソディ」 -51ページ目

夏をどこかに置き去りにしたように、空は灰色だった。一面に広がる雲は、憂鬱という名の重苦しい空気を地上に降らせる。道すがらの小学校に響く蝉の声さえ、どこか寂しげだ。

日差しにうんざりとした人たちには、この陽気はありがたいのかもしれない。
けれど、太陽大好きの僕には心沈む景色だ。

だからといって、日向をスキップしているわけではない。
あぢぃーとかつぶやきながら、眉を情けなく下げて歩いている。信号を待つ間も、日陰があればそこに立つ。

だけど好きなのだ。たぶん、日差しの降り注ぐ眩しい風景と、日向の匂いと、その温度が大好きなのだろう。



どこまでも続く青い空。蝉時雨、入道雲。埃の匂いのするにわか雨、いつもそばにお日様の色。

日差しの色は、きっと前世の色。


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外は異様に暑いのに、吹き抜け、吹き戻す風に、涼しげな音を立てて街路樹が揺れる。

枝先の小さい木漏れ日はふたつ繋がると雪だるま、みっつ重なるとハート模様。

密集した葉影で作られる大きな木漏れ日は、ホタルのような明滅を繰り返しながら、風に揺られてゆったりゆらゆら、雨上がりの歩道を滑る。それはまるで妖精たちの舞。



木漏れ日がまるいのは、太陽の形を映すから。
明日君はきっと、木漏れ日にミッキーマウスを探す。
だから僕もそうしてみるつもり。

こんなふうに僕達も、この地上に姿を現しているのに違いない。
そう、僕たちは影ではなくて、光。
地表の木漏れ日。


雨の街を/荒井由美



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遠くに浮かぶ雲は、積もりたての雪のように白くて、空はウソみたいに青くて、木陰の風は額の汗をひんやりさせるほどに涼しくて、日向は溶けるほど暑かった。

眩しいほどの羞恥。逃げ出したくなるような気後れ。
憧れ、失望、チクリチクリと心の痛み。打ち寄せる波の音、潮の匂い。



今、君の目の前に広がる日常は、やがて見るに能(あた)わぬ景色になる。

今を、大切に。
面倒くさくたって、顔を背けたくなったって、二度と帰り来ぬ今を、無理矢理にでも抱きしめてみよう。


ゆず/夏色


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前を見て、横を見て、時折空を見上げながら歩いてゆく。ゆったりのんびりと景色が流れる。
両の腕を曲げ、顎を引き、時に小走りに、ときに全力で我が道を走る。それにつれ景色も早く後ろに流れ、耳元で風が鳴る。

あるとき、その足を止めるものに遭遇する。
足元を見る、上を見上げる。そしてそれがこの足を止めたのだと認識する。

生きる意味を問いかけるとき、目の前にあるのはこんな壁だったりする。あるいは、逃れようのない塀に囲まれていると感じたときだったりする。それはまるで四面楚歌。

でも、答えなんてどこにも書かれてはいない。
それはそうだ。生きる意味は人によって、その欲求によって違うのだから。

○人間が自分で意味を与えない限り、人生には意味がない。
○人生の意味はひとつしかない。生きるという行為… それ自体なのです。
─エーリッヒ・フロム(哲学者)─

僕たちは、人の体にいっとき宿った永遠の旅人。
意味を見失うことなんて誰にでもあるはず。
そんなときは、生きる意味ではなく、生きがいを探すほうが楽だったりする。
人のために生きてみる時間も、自分の救いであったりも。

生きる意味を見失ったって恐れることなどないさと、僕の中の誰かが教える。苦しくたって辛くたって悲しくたって、生きることが大事なんだよと、微笑みかける。

そう、これがきっと、大事なこととどうでもいいことの、もっとも大事なことに違いない。

どれくらいの値打ちがあるだろう?
僕が今生きているこの世界に
すべてが無意味だって思える
ちょっと疲れてんのかなぁ

手に入れたものと引き換えにして
切り捨てたいくつもの輝き
いちいち憂いていれるほど
平和な世の中じゃないし

一体どんな理想を描いたらいい?
どんな希望を抱き進んだらいい?
答えようもないその問いかけは
日常に葬られてく

君がいたらなんていうかなぁ
「暗い」と茶化して笑うのかなぁ
その柔らかな笑顔に触れて
僕の憂鬱が吹き飛んだらいいのに

決して捕まえることの出来ない
花火のような光だとしたって
もう一回 もう一回
もう一回 もう一回
僕はこの手を伸ばしたい

誰も皆 悲しみを抱いてる
だけど素敵な明日を願っている
臆病風に吹かれて 波風がたった世界を
どれだけ愛することができるだろう?

Mr.Children/HANABI



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大事なことと、どうでもいいこと。
世の中はこのふたつで出来上がっている。

大事なことに集中したいのに、どうでもいいことに僕達は足を絡め取られる。
どうだっていいことに煩わされる。

けれど、大事なことはどうでもいいことのような顔をして現れたりするし、逆に、どうでもいいことは、さも大事なことのふりをして出現したりする。

それこそ、糾(あざな)える縄のように僕達を縛るのだ。
それらの取捨選択は僕達に委ねられているはずなのだけれど……。


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地表の色を染め替えて、季節は巡る。

目覚めの春は、爽やかな桜色。
眩(まばゆ)い夏は、鮮やかな向日葵(ひまわり)色。
涼しい風が吹く秋は、しんと静まり返った煉瓦(れんが)色。
雪の降り積む冬は、どこまでも続く無彩色。

けれど、人の身を彩る四季は巡らない。ただ、まっすぐに進む。

成長の春。天下無敵の夏。人恋しい秋。過ぎ去った春夏秋を振り返り、じっと佇む冬。

君は今、その中のどこにいるのだろう。
その季節は再び戻らないことを知って、生きてほしいと思う。

まだ見ぬ季節にばかり思いを馳せることなく、過ぎ去った季節に拘泥(こうでい)することなく、今を、生きてほしいと願う。


桜色舞うころ

桜色舞うころ
私はひとり
抑えきれぬ胸に
立ち尽くしてた

若葉色 萌ゆれば
想いあふれて
すべてを見失い
あなたへ流れた

めぐる木々たちだけが
ふたりを見ていたの
ひとところにはとどまれないと
そっとおしえながら

枯葉色 染めてく
あなたのとなり
移ろいゆく日々が
愛へと変わるの

どうか木々たちだけは
この想いを守って
もう一度だけふたりの上で
そっと葉を揺らして

やがて季節(とき)はふたりを
どこへ運んでゆくの
ただひとつだけ 確かな今を
そっと抱きしめていた

雪化粧 まとえば
想いはぐれた
足跡も消してく
音無きいたずら

どうか木々たちだけは
この想いを守って
「永遠」の中ふたりとどめて
ここに 行き続けて

めぐる木々たちだけが
ふたりを見ていたの
ひとところにはとどまれないと
そっと おしえながら

桜色 舞う頃
私はひとり
あなたへの想いを
かみしめたまま


桜色舞うころ/中島美嘉



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君じゃない?
い、いや……僕じゃない。断じて僕じゃない。でも、なんか臭うね、なんだろうねえ。

暇じゃない?
いや、決して暇ではない。暇そうに見えるかもしれないけれど、暇じゃない。

義務じゃない?
いや……せ、責めるわけ?

地味じゃない?
そ……そうかなあ……。

Give Me The Night
そんなに地味かなあ……。

このブログ、この歌のサビを聴かないとわけわかりません。

George Benson/Give Me The Night



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イレギュラーでお休みだった火曜日は、昼頃から雨の予報だった。休みの日に雨が降るとは、なんて悲しいんだろう。

僕は早めに家を出て、9時ちょっと過ぎには公園のベンチに腰を下ろした。
するとどうだろう、本を読んでいても集中が途切れる。気分が落ち着かないのだ。

その時僕は思った。時間制限が心を圧迫しているのだと。
読書なんてそんなに長時間はしない。せいぜい一時間。内容に引き込まれなかったら30分ともたない。それを考えれば時間の余裕は充分あるのに不思議なことだった。

これがもし、余命だったとしたら、と僕は考えた。
予定は昼頃、けれど、それは早まるかもしれないし、遅くなるかもしれない。
けれど、夕暮れなどという時間で決まったこととは違い、正確なものはわからない。

わかっているのは、雨が降る、ということだけ。それも、間もなく。それはやはり、知ってしまった死期を連想させた。残り少ない時間を思わせた。
知らなければ気にすることもなかったはずの、我が身のジ・エンドの時間。

ふと、アガスティアの葉を思った。
個人の運命が書かれてあるという、あのアガスティアの葉を。

それは読んでしかるべきものであるのかを。




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スモモももものうち

正確には違うらしいけど、言葉遊びにツッコミを入れるのは大人げないからサラリと。

すももはバラ科サクラ属
桃はバラ科モモ属、だそうです。

プラムソルダムネクタリン、桃の仲間はネクタリン……

全然言葉遊びにならなかった。でも、似ていてよくわからないから調べてみた。
「プラム」はスモモの仲間で、実に300種類以上の品種があるそうです。

「ソルダム」は、この「プラム」の中の品種の1つだったのですね。すもも品種中の王座を占めてきた主要品種だそうです。
日本では「スイカモモ」とも呼ばれているらしいけど、この呼名は知りませんでした。

果皮が緑で果肉が濃赤色という見た目が特徴的です。
果重は80~100gと大きめで日持ちがよく、甘みと酸味が調和した品種として人気で、日本では特に多く生産されています。



ソルダム(皮の色の割に中が赤いのでびっくりするやつです)

ソルダムはアメリカで大石早生の交配種を育成されたものを日本に導入された品種です。

一般的にまだ未熟なうちに収穫され流通するので、果皮の大部分が緑色で、中の果肉が赤いスモモというイメージがあります。でも、このソルダムも完熟すると表皮の色はしっかりと赤黒く色付きます。

8月上中旬に収穫ができ、大きさは100g~130g位で果皮は紫紅色~アメ色に着色し白い果粉に被われる。 果肉は鮮紅色で果汁が多く甘酸適和である。


貴陽という大きくて高級そうなのプラムも見かけます。
超大玉で食味が極めて優れている。8月~中旬に収穫ができ、大きさは200g位であるが、最大果は300gを超える物もある。

果皮は淡黄色でやや軟く果汁は多く、甘味が多く酸味少なく、食味は大変良好である。


貴陽(だいたい2個入りで高級そうです。今度食べてみよう)

ネクタリンはモモの仲間で、油桃(ゆとう)とも呼ばれています。モモと違うのは表面に毛がなく、つるつるしていること。果肉の色は黄色または赤です。

種が取れやすいので食べやすいのも特長。味はモモより酸味が強く、そのまま食べるほかジャムやゼリー、小さく切ってフルーツポンチにするなど、応用範囲の広いフルーツとして人気があります。

乱暴に言えば、ネクタリンは、ちょっと硬くて甘酸っぱい桃ですね。

桃の仲間のネクタリン(先週買ったのを今食べ終わりました)

僕の好きな大石早生を始めとする、ちょっと柔らかくて甘酸っぱいすももはもう時期を終わったようです。怒られそうですが、それにちょちょんと塩を付けて食べるのです。

ソルダムのカシュッという歯ごたえより、プラムのポシュルッという歯ざわりが好きなのです。
皮が一瞬歯を拒み、迎えた実が、よく来たわねと柔らかく迎える。皮の酸味と実の糖度具合が好きなのです。

スーパーで声掛けしながら野菜を並べていた店員さんに訊いてみました。ソルダムの横に、いわゆる、いかにもすももみたいなのが並んでいたからです。

「これとソルダム、どっちが美味しいですか?」
「ソルダムは固いですからね」との答え。味の違いを尋ねるならまだしも、僕の愚問に困ったかもしれません。
そして買ったのがこれ。

サマーエンジェル

サマーエンジェルは山梨県のオリジナル品種として生まれ、現在山梨県での産地化がすすめられています。
ソルダムよりやや遅く7月の下旬頃から出回り始め、鮮やかな紅色が特徴で果実は150g程と大きく、果肉は黄色で柔らかく、とてもジューシーで糖度も15~17度と高く甘いスモモですが、皮の部分に適度な酸味もあり、非常にバランスが良い食味です。
「ソルダム」×「ケルシー」として誕生し、2005年に品種登録された。

いつ頃からそうなったかは忘れちゃったけど、僕にとって夏の果物といえば、スイカではなくプラム。

もう8月。夏だ。
でも8月は、夏が終わっていく恐れを孕んでやってくる。
泳げないから、海にもプールにも無縁な僕に、もっと太陽とすももを。


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帰国子女の栄美は桜の美しさを楽しむ余裕もなく、不安いっぱいで日本の高校での初日を迎えた。

幸いにも友達ができ、気になる男の子とも仲良くなれたものの、やがて辛い別れを経験することに…。

時は流れ、大学生となった栄美の前に現れたある人との出会いをきっかけに、高校時代の思い出はまったく別の形を見せてゆく―。『慟哭』の著者が仕掛ける、忘れられない青春ミステリ。


─「BOOK」データベースより─



お休みの日に読み終わった本。
貫井徳郎作『明日の空』

編集者の要望が、どんでん返しだったらしい。
うん、たしかに。

え?
と思って、何度かページを戻って登場人物の名前を確かめた。

デビュー作『慟哭』が文庫本でヒットするという離れ業が記憶に残っているけれど、どんでん返しの仕組み方が、ああ貫井徳郎だなと思わせる作品だった。

まあもちろん、慟哭には遠くおよばないけれど、狙ったものがまるで違うから比較をしてはいけないだろう。

読後感が重いものが多い中、これは爽やかだった。
仕掛けが安易な感じは否めないけれど、軽く読める小説だった。これはこれでよし。


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