その友人の親戚と思われる若い女性が、小さなステージでこれを歌っていた。
なんていい曲なんだろう……僕は瞬きさえ忘れるほどに、その歌に聞き入った。
隣には僕の奥さんがいた。場所はどこだったかすっかり忘れてしまったけれど、街場のお店は貸し切り営業だった。
「この歌いいね」
「うん、いいわね」
「後でタイトルを訊いてみよう」
頃合いを見て、ぼくはそれを歌った女性の元へ行った。
「さっきの歌、なんて歌なの?」
僕の質問に、女性はビックリしたように目を大きくした。そして、恥ずかしそうに口にした。
「駅です」
「誰が歌ってるの?」
「竹内まりやです」
「ほぉ~そうか、ありがとう。とても上手かったよ」
僕は片手を上げて微笑んだ。
まあ、結婚のお祝いの歌にはほど遠いけれど、2次会だから許されるよね。

そのときの僕は、後々奥さんと別れるなんて思いもしなかった。だからこの曲には、いろいろと複雑な思いが交錯するんだ。
母子共々、元気でいるだろうかと、思ったりする。何の手出しもできないけれどね。
それでも僕は、僕たちは、計画したとおりの道を歩み、何事かを学んでいると思っている。
そのせいではまったくないけれど、僕は今、小説の先を書くパワーが出ないでいる。
「駅」詞:曲 竹内まりや
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