<A・B・
チャンドラー、
ハミルトン>
1477「異次元のエデン」
銀河辺境シリーズ<4>
アーサー・バートラム・
チャンドラー
長編 野田昌宏:訳 竹川公訓:解説
早川文庫
どこの世界にも
おせっかいな人間というのがいるもの、
ましてそれが
まったく融通のきかない機械が相手となると……。
ジョン・グライムスと
美人宇宙捜査官ウナ・フリーマンの相手が、
まさにそれだった。
核爆発の影響で
異次元空間に吹き飛ばされてしまった二人は、
パンツェンと名乗る奇怪なロボット宇宙船に出くわし、
あろうまいことか
滅びさった異次元の人類を再興するため、
アダムとイヴになるよう命じられたのだ。
そんな役目は願いさげの二人だが、
ロボット相手ではのれんに腕押し、
新人類の父母となるのも時間の問題とみえたが!?
はたして二人の運命やいかに!
<ウラスジ>
<銀河辺境シリーズ>
出発はこちら。
まずは、
シリーズ4巻目で登場した、
解説の『竹川公訓』なる御仁。
だ、だ、誰や?
六代目 笑福亭松鶴師匠のように口にしていたら、
何とそれは
『高千穂遥』
氏の別名だということ。
しかもこちらの方が<本名>ということで。
で……
思い出したように、
<ダーティペア>
ってどこまで読んだっけ?
と本棚に向かったしだいです。
(6巻めの『大征服』までは読んでいる)
それはともかく。
ちょっと手にするのが憚られるような表紙絵。
相変わらずの ”性” を根底に据えたストーリー展開。
ボンド・ガールのように毎回入れ替わる女性陣。
本編ではロボットに監視されつつ、
エデンの園風な場所で ”S◯X三昧((?)”。
誰かに見られながらの生殖行為って、
ヴォネガットの『スローターハウス5』の
トラルファマドール星における生活とか、
筒井康隆さんの『うるさがた』に出て来る、
アメリカンという名のロボットの、
性行為に至る服の脱がせ方の余計なアドバイスとか、
この辺が頭に浮かんできます。
しかし、
ある意味終始一貫してますねえ……。
このスペオペ親父の関心事の追究法――。
<余談>
まだまだ続く、
スペース・”エロ”・オペラ。
1478「惑星スパルタの反乱」
銀河辺境シリーズ<5>
アーサー・バートラム・
チャンドラー
長編 野田昌宏:訳 竹川公訓:解説
早川文庫
宇宙開発時代の初期に開発されたまま、
何らかの事情によって放置され、
他の世界との一切の交流が絶たれた植民地が
広大な宇宙には数多くあった。
そうした ”失われた植民地”
スパルタの調査におもむいたのは、
めでたく大型駆逐宇宙艦艦長に昇進したグライムス。
だが、
孤立した惑星の文化が特殊なものとなる例はあまりにも多く、
はたしてこの世界も異常というにはあまりにも異常、
なんと男性ばかりの世界だった。
この異常な世界がどのように、
また、なぜ出現したのか?
謎を追うのは、
はねっかえり女性人類学者ラゼンビー。
はたしてこの調査行の首尾やいかに!?
<ウラスジ>
……男性ばかりの惑星へ乗り込む
女性学者……。
なにやらエロティックな風が巻き起こりそう。
で。
ちょっと前にも書いたと思うけど、
SFやスペースオペラのシリーズものに欠かせない、
(西欧人の郷愁を呼び起すらしい)
<ギリシア・ローマ時代もの>
が、定番通りここに登場。
<本編>
シリーズものにときたま見られる、
ちょっと毛色の変わった書き方。
三人称ではありますが、
まずは<惑星スパルタ>側の、
プラシダスという巡査部長目線で
物語は進んでゆきます。
で……
グライムス一行との出会いで、
「われわれはギリシャ語を話します」
「われわれはずっとギリシャ語だけを
しゃべっているのですが――」
他の人物も
ディオメデス、アクロン、テレマカス、
そしてスパルタ王はクレスフォンティス。
何気に引っかかって来るギリシャ名が
下手なパロディめいています。
そして初めて見る女性に関しての感想は、
その話の舞台となる惑星は大気が
――スパルタにくらべて――
希薄なため、肺が異常に発達しているのだと
いうことだった。
女性の胸のふくらみを
肺活量に見い出すとは。
で、
じつは一等最初に出て来る
”男だけの惑星” での ”分娩” の模様――。
通称 ”ゴミあさり” 。
結構なグロさです。
<余談>
この表紙、
『アルゴ探検隊の大冒険』
のタロスを思い出してしまいます。
う~ん。
ハリーハウゼン。
1479「挑戦!嵐の海底都市」
キャプテン・フューチャー
エドモンド・ハミルトン
長編 野田昌宏:訳 早川文庫
太陽系内のグラヴィウム鉱山が
次々と破壊されていった。
水星、火星、土星……。
グラヴィウムは重力等化機を作るため欠かせぬ物質であり、
それがなければ、
異なる重力を持つ他の惑星への飛行はいっさいできなくなる。
宇宙旅行が不可能になるのだ。
この太陽系政府の一大危機に、
月面のキャプテン・フューチャー向けて
直ちに出動要請の緊急信号が送られた。
しかし時すでに遅し!
<破壊王>と名乗る謎の人物の手によって、
キャプテンはいずこかへ拉致されてしまったのである!
彼の生命はいまや風前の灯。
おなじみフューチャーメンの面々は
愛機コメットにうち乗って、
必死の捜索を開始したが……!?
<ウラスジ>
大宇宙を、
いや銀河系を、
いや太陽系全土を股に掛けた、
<キャプテン・フューチャー>
再び登場。
(徐々に範囲が狭くなってくるって、
「タイムマシーン3号」のネタじゃねえか)
初登場はこちら。
<破壊王>とは何者?
そして囚われたキャプテンの運命は?
にしても、この作品の舞台は<海王星>。
太陽系第八の惑星である海王星は、
その名のとおりに<海洋惑星>として
ひろくその名を知られております。
太陽系内の諸天体のうちで、
その本体のほぼ全部が海におおわれているのは
この海王星以外にはないのであります。
海王星において陸地というものは
ほんの例外的な存在にしかすぎません。
<野田昌宏:あとがきより>
んでも、
<キャプテン・フューチャー>の世界では
すでに植民化されてるんだよなあ……。
ほかの惑星もそう。
現地人ではなく、
元々は地球人。
ブラッドベリの『火星年代記』。
<余談>
こっからまた
<キャプテン・フューチャー>ものが
始まります。
<も一つ余談>>
しかし、まあ……
この時代のスペオペでは、
海王星で泳ぐことが出来たんですねえ……。