ryofudo777のブログ(文庫おでっせい)

ryofudo777のブログ(文庫おでっせい)

私が50年間に読んだ文庫(本)たち。
時々、音楽・映画。

<夢枕獏、

コリン・ウィルソン、

種村季広>

 

1915「ねこひきのオルオラネ」

夢枕獏
短編集        集英社文庫
収録作品
 
1.ねこひきのオルオラネ
2.山奥の奇妙なやつ
3.自分ぼっこ
4.山を生んだ男
 
 
すごいものに出会った時の、
恐怖感にも似た寒けが、
チェロ弾きの青年をおそっていた。
 
ふと知り合ったオルオラネ爺さんの指が奏でる、
三匹のねこたちの演奏が始まったのだ。
 
曲はベートーベンの第九、
三匹たちから作り出される生きた音楽、
ねこの声の微妙な色あい、。
 
だがリズムは徐々に変貌していった。
 
これはジャズではないか。
 
拍手、喚声、口笛!!
 
イヴの晩の酒場は興奮と熱気に包まれていた。
 
<ウラスジ>
 
 
初期も初期の作品集、
デビュー作の『カエルの死』にもあった
”タイポグラフィー” 満載の一編。
 
<タイポグラフィーの基本>
文字の書体・大きさ・配列の仕方などの視覚効果の総称。
<広辞苑>
小説で用いられるときは、
「動き」「躍動感」を表わすときに使われること多し。
 
あとは ”落下” かな。
 
色んな ”ニャオ” が登場。
 
二  二             ニ  ニ  ニ
 ャ  ャ  二  ニ  ニ   ャ  ャ  ャ
 オ  オ  ャ  ャ  ャ   オ  オ  オ 
        オ  オ  オ 
 
みたいな表記。
 
<例>
『壁』 安部公房
『虎よ、虎よ!』 アルフレッド・ベスター
 
『ねこひきのオルオラネ』
クリスマス・ストーリー。
 
失業したチェロ弾きの青年の一夜の夢。
(題名からして宮沢賢治の
『セロ弾きのゴーシュ』を彷彿とさせます)
 
サンタクロースに見まがうようなオルオラネ爺さん。
 
ジョフレン、マレット、イルイネドという名のニャンコたち。
 
この三匹の猫の鳴き声をあやつって、
さまざまな音楽を奏でるオルオラネ爺さん。
 
今ならワンコやニャンコの鳴き声を
音階として打ちこんだシンセなんかがあるけど。
(私らの世代だと【メロトロン】かな)
 
爺さんと猫たちは
酒場<よさこい猫>で散々音楽を演ったあと、
お山へ帰って行きました。
 
まるでそこに居なかったかのように。
 
『山奥の奇妙なやつ』
失恋した男と奇妙なウサギとの
焚火をはさんでの奇妙な出来事。
 
『自分ぼっこ』
背後にいたのは「座敷ぼっこ」ならぬ――。
 
『山を生んだ男』
母なる大地、
母なる自然とのあいだに山を生む
冬山登山者。
 
<余談>
この先、
<魔獣狩り><キマイラ><陰陽師>
と読んでいくことになる夢枕獏さんとの
ファースト・コンタクト。
 
に、しても『カエルの死』は文庫にならんなあ。
 
 
 
 

1916「宇宙ヴァンパイアー」

コリン・ウィルソン
長編   中村保男:訳  新潮文庫
 
 
巨大な宇宙難破船から持ち帰った謎の生物体――
 
うち一体は妖艶な美女の姿をしており、
≪彼女≫を犯そうとした者は、
忽ち生命を吸い取られた。
 
人体から人体へ乗り移って
殺人を重ねる宇宙ヴァンパイアーとの
追いつ追われつの死闘。
 
やがて明らかになる彼らの来歴。
 
それは人類の生成をめぐる
壮大な宇宙ドラマへと発展する……。
 
英国文壇の鬼才が放つ
異色の怪奇SFファンタジー。
 
<ウラスジ>
 
鬼才(そう呼ばれてるので)
コリン・ウィルソンのSF文庫第二弾。
 
第一弾はこちら。
さてさて、コリン・ウィルソンはくだんの『賢者の石』、
『殺人の哲学』、『アウトサイダー』と読んできましたが、
これは映画先行で後読みの一品。
 
宇宙から飛来した吸血鬼ならぬ吸精鬼が
地球をパニックに陥れるというストーリー・
 
で、う~ん。
 
物語の終盤、
「ヴァンパイアー」に取りつかれた人間に催眠術をかけて、
内なるヴァンパイアーが饒舌に喋り出すシーンがあるんですが――
 
寿命があってないような「彼ら」は、
かつて地球に飛来した時、
ネアンデルタール人より優れた、
人間を作るべく腐心したというけど、
なんとそれが<アダムとイヴ>だとかなんとか。
 
この、どう受け取っていいのか分からん、
SFとオカルト(宗教色の濃い)の融合めいた話が飛び出してきて、
(なんか笑ってしまえるような)
冒頭の、
う~ん、につながる訳でして。
 
これだったら、人類VSヴァンパイアーに特化した
映画のほうがよろしかろうと、結論づけたような次第で。
 
B級エログロ映画ではありますが。
 
<余談>
『幼年期の終わり』のエログロ版。
 
って言うか、
この手の話、SFじゃ尽きないよねえ。
 
 
 
 

1917「吸血鬼幻想」

種村季弘
長編        河出文庫
目次
 
1.吸血鬼幻想
2.吸血鬼の系譜学
3.吸血鬼論争
4.吸血鬼百科
5.大吸血鬼の肖像
6.吸血鬼のエロチシズム
7.吸血鬼小説考
8.吸血鬼詩アンソロジー
9.生きている吸血鬼
10.吸血鬼の画廊
11.吸血鬼の眼・吸血鬼の言語
12.吸血鬼文献資料
13.あとがき
14.初出誌一覧
 
ドラキュラ伯爵としておなじみの吸血鬼の発生は、
人類の出現とともに古く、
その分布は広範にわたっている。
 
本書は吸血鬼伝説を広く渉猟して歴史的系譜をたどりながら、
文学、芸術、哲学、精神分析学、映画
などのさまざまなジャンルにその影を追い求め、
魂の陰画としての吸血鬼幻想、
戦慄すべき血のエロチシズムの世界を縦横に考察した、
吸血鬼研究の先駆的作品である。
 
<ウラスジ>
 
幻想文学の水先案内人/兼/翻訳者/兼/エッセイスト。
 
フランス……澁澤龍彦・田辺貞之助
イギリス……荒俣宏・平井呈一・紀田順一郎
ドイツ……種村季弘・前川道介
 
この方々の内、(比較的)文庫で
読みやすい(集めやすい)お三方が、
 
澁澤龍彦・荒俣宏(団精二)・種村季弘
 
になりますか。
 
お三方はそれぞれ各文庫で
<シリーズ>を刊行されています。
 
さてさて、いきなりこんなことを言うのも何ですが、
種村季弘さんの書かれたエッセイは
他のお二人が書かれたものよりも
ちょっと苦手にしているところがあります。
 
と、いうのも、軽い題材(小説(?)や映画)
を扱っていても、どこかアカデミックでペダンチックで、
読みにくさを感じてしまうからです。
(荒俣宏さんの、”若書き” 『別世界通信』が、
まさにそんな感じでした)
 
おまけに、なぜか、「字」が小さい。
 
<余談>
吸血鬼研究・特集の文庫としてはこのほか、
 
『ドラキュラ伯爵』 ニコラエ・ストイチェスク 中公文庫
『ドラキュラ学入門』 吉田八岑/遠藤紀勝 教養文庫
 
なんかを読みましたが、
ある意味一番分かりやすかったのが、
昔なつかし「豆本」のこれ。
 
 
小説、映画だけでなく、漫画も載っています。
 
萩尾望都「ポーの一族」から
手塚治虫「ドン・ドラキュラ」、
藤子不二雄「怪物くん」
まで。
 
著者はホラー・マニアとしても有名だった芦屋小雁さん。
 
”ぼくは少年探偵団……”
 
分かる人は、ほぼ同年代。
 
 
【涼風映画堂の】
読んでから見るか、見てから読むか
 
今回は当然これ。
 
 
◎「スペースバンパイア」 
LIFEFORCE
1985年 (英・米)
製作:メナハムゴーラン/ヨーラム・グローバス
 
監督:トビー・フーパー
脚本:ダン・オバノン/ドン・ジャコビー
撮影:アラン・ヒューム
音楽:ヘンリー・マンシーニ
原作:コリン・ウィルソン
出演
スティーヴ・レイルズバック
ピーター・ファース
フランク・フィンレー
マチルダ・メイ
パトリック・スチュワート
 
* 何気に「新スタートレック」のピカード艦長、
  パトリック・スチュワートが出てる……。
 
* それはともかく。
 
* かつて読んだ映画評。(正確ではないが)
 
* "前作『ポルターガイスト』で、
   スピルバーグに骨抜きにされたトビー・フーパーが、
   持ち前の歪んだホラー感覚を存分に発揮した一作"
 
* なんせ『悪魔のいけにえ』だし。
 
* とにかく、この映画、
  一般受けを狙った(?)
  精気を吸われてミイラ化していく
  特殊効果なんかよりも――。
 
* 「女吸血鬼」を演じ、 
  全編、ほぼ全裸で闊歩するマチルダ・メイ一択。
 
 
* これ、「日曜洋画劇場」でやったんだよなあ。
* 淀長さん、戸惑ってたような。
 
【涼風音楽堂】
このB級エログロ映画に似つかわしくない、
勇壮な音楽はなんとヘンリー・マンシーニ。
 
っぽくないけど、
当時流行ってたジョン・ウィリアムズあたりの
フル・オーケストラを意識したのかも。
(何曲かの共同制作者でもあったし)
とにかく、一時期やたらテレビ番組で
BGMとして使われていたっけ。