ryofudo777のブログ(文庫おでっせい)

ryofudo777のブログ(文庫おでっせい)

私が50年間に読んだ文庫(本)たち。
時々、音楽・映画。

<眉村卓、

今日泊亜蘭、

鈴木いづみ>

 
 

1450「まぼろしのペンフレンド」

眉村卓
短編集   真鍋博:解説  角川文庫
収録作品
 
1.まぼろしのペンフレンド
2.テスト
3.時間戦士
 
 
誰にでもよくある<へんだな……?>と思う一瞬。
 
それが実は、
あなたを知らず知らずのうちに、
とんでもない事件に引きずり込む
前兆であったりするのです。
 
ある日、
中学一年生の明彦に突然舞い込んだ、
見知らぬ女の子からの奇妙な手紙――
 
そこには下手な文章で、
”あなたのすべてを詳しく教えて”
と書かれ、
一万円を同封してあった。
 
好奇心に駆られた彼は、
それがこれから日本全国を
恐怖のどん底に落としいれる
事件の前ぶれとも知らずに、
返事を出したのだった。
 
鬼才、眉村卓の描く、
SFスリラーサスペンス、
表題作他2篇収録。
 
                        <ウラスジ>
 
 
『ねらわれた学園』 1976作 のちに映画化(1981年)。
『なぞの転校生』 1972作 のちにドラマ化(1975年)。
 
映像化を伴う眉村作品のジュブナイルでは、
一番早い時期に書かれたのが
『まぼろしのペンフレンド』 1970作。
 
NHKの「少年ドラマシリーズ」で、1974年に登場。
 
ちなみに
このNHKの「少年ドラマシリーズ」、
第一回は、『タイム・トラベラー』
つまり「時をかける少女」のドラマ化でした。
 
 
も一つ、ちなみに、
このドラマは池上季実子さんのデビュー作。
 
 
 
<本編>
いわゆる<地球侵略もの>。
 
フィニィの『盗まれた街』を白眉とする
”入れ替わり侵略法” の一つですが、
「ペンフレンド」という媒体を一個挿んだのが、
ミステリーの度合いをより深めています。
 
このテーマ、
ブラウンやディックの短編でも読んだっけ。
 
父親が入れ替わって、
子供がそれに気づいて対決するって言う図式の物語。
 
映像化も、しやすそう。
 
 
 

 

 

1451「最終戦争」

今日泊亜蘭
短編集   あとがき  早川文庫
収録作品(目次)
 
PART Ⅰ
完璧な侵略
次に来るもの
博士の粉砕機
地球は赤かった
ケンの行った昏い国
 
PART Ⅱ
無限延命長寿法
素晴らしい二十世紀
「おゝ、大宇宙」
スパイ戦線異状あり
恐竜はなぜ死んだか?
完全作家ピュウ太
最後に笑う者
秋夜長SF百物語
宇宙最大のやくざ者
「オイ水をくれ」
何もしない機械
古時機ものがたり
 
PART Ⅲ
溟天の客
幻兵まぼろし
カシオペヤの女
最終戦争
 
PART Ⅳ
天気予報
ミッちゃんのギュギュ
怪物
バンタ・レイ
 
あとがき
 
アメリカ原子力潜水艦の乗組員が
酔ったあまり口ばしった一言が、
世界を破壊と混乱の渦にまきこんでしまう
表題作、
 
もの好きな男女が怪談ならぬSF談義に花を咲かせる
「秋夜長SF百物語」
 
など、
良質なペダントリイとディレッタンチズムを
サロンの雰囲気で、
色付けした著者の傑作二十五篇!
 
            <1986ハヤカワ文庫:解説目録>
 
 
きょうどまり・あらん
 
 
わたくし、
ちゃんとSFを読むようになるまで、
その名前を存じあげませんでした。
 
しかも、最初、
何とお読みするのか判りませんでした。
 
”きょうはく・あらん” とかなんとか。
 
1910年(明治43年)生まれの、SF界のレジェンド。
 
”1921年(大正10年)生まれ” となっているものもある。
 
この後に、
矢野徹さん(1923年生)大正12年
星新一さん(1926年生)大正15年
が続きます。
 
振り返れば、
海野十三(1897年生)明治30年
押川春浪(1876年生)明治9年
 
明治は遠くなりにけり
 
稲垣足穂は入れていいのかしら。
(1900年/明治33年生まれ)
 
<先に余談>
あとがきに読めない漢字が出て来ました。
 
卄 = 20
玆 = ここ
 
その他、古色蒼然たる文章・字面が
著者の ”時代” を垣間見せているようで……
 
と、言う事で、ちょこっと本文を抜粋。
 
空々漠々と十数年生きている間に、
なんとなく彼方此方で書かせてもらった
大中小の擬科学小説が卄なん篇にもなりました。
<中略>
玆には、戦後まもなく手がけはじめた
小生のSF類が長篇と二三の例外をのぞき、
全部収めてあります。
 
<あとがきより>
 
これは主に早川書房に対する
感謝の念を述べたもののようです。
 
……折り合いの悪かった福島正実・編集長が、
例の<覆面座談会>で失脚した(1969年)後のようですね。
 
●<覆面座談会>……匿名で行われたSF作家への批評会。
 星・小松・筒井氏などが猛反発。
 
●福島正実さんはSFマガジンに
 今日泊亜蘭翁の作品を載せなかった。
 
<展望>
今日泊亜蘭翁の金字塔と言えば、
『光の塔』。
 
バカな先祖をたしなめにくる未来人の話。
 
元祖 ”ドラえもん” のハード版。
 
それはまた本編登場の際に。
 
 
 

1452「女と女の世の中」

鈴木いづみ
短編集   眉村卓:解説  早川文庫
収録作品
 
1.魔女見習い
2.朝日のようにさわやかに
3.離婚裁判
4.あまいお話
5.悪魔になれない
6.わるい夢
7.静かな生活
8.悲しきカンガルー
9.女と女の世の中
 
 
彼女はある日男の子を見かけた。
 
しかしだれも本当にしない。
 
男の人数は極端に減少し、
しかも居住区に強制的に収容されているのだ。
 
それでも、
彼女が男の子を見かけたのは本当だった。
 
自分でも気づかない つかのまの恋――
 
そしてまた、
すべてはあたり前の日々にもどり、
女と女の世の中はつづく……。
 
女性が支配する未来世界の少女を
さりげなく描いた表題作ほか、
軽妙な語り口の ”悪魔との契約” ストーリイ
「魔女見習い」、
童話的な味わいでつづる
「あまいお話」
など、
異色の女流作家の手になる
異色のノスタルジックにして
もの悲しい九篇を収録!
 
                        <ウラスジ>
 
 
下手こくと『ヤプー』になりそう。
 
 
かつて悶悶と暮らしていた若き日々、
新刊なんだか古本なんだか分からないような
エロ雑誌をちょくちょく――
 
日活ロマンポルノのようなメジャーな作品を載せている、
【スクリーン】でお馴染み、近代映画社刊の、
「映画の友」などではなく、
もっとマイナーな出版社刊で、
”ピンク映画” の情報誌のようなものを買っていました。
 
新東宝、大蔵、ミリオン、東活……
 
あまり馴染みのない映画会社が配給する
”ピンク映画” の宣伝を兼ねたスチール写真、
これが満載でした。
 
で、ここに登場していたのが、
女優の ”浅香なおみ” こと ”鈴木いづみ” 。
 
 
 
なんか圧倒されちゃいましたね。
 
ヌードモデルでピンク映画女優で、
文学界新人賞候補作を書いた純文学作家で、
戦後の女流SF作家の草分け。
 
彼女をSFの世界へといざなったのが
他ならぬ眉村卓さんで、
その辺の事情が<解説>で述べられています。
 
その後、結婚・出産・離婚、と来て、
36歳の時に自らの命を絶ってしまいます。
 
<余談 1>
ハヤカワ文庫から出ていたのが、この二冊
『女と女の世の中』
『恋のサイケデリック』(未読)
 
つらつら思ん見るに、
新井素子さんや栗本薫(中島梓)さんに
先んじて文庫目録に載っていたような……。
 
<余談 2>
女優で作家(小説家)って言うと、
『雨が好き』で中公新人賞に輝いた
高橋洋子さん。
 
 
これは映画『旅の重さ』の時の写真。
 
そして、
日活ロマンポルノの女優だった北原リエさん。
87年『青い傷』で女流新人賞受賞。
それ以降、執筆生活にはいったようで。
(悶々時代に散々見ていた写真が見当たらない……)
 
後は、
舞台女優としての、本谷有希子さん
ぐらいかな。
柳美里さんも元々女優だったって言うし。
 
そうそう最近だとAV女優の、
紗倉まな さんが作家デビューしたって。
 
……身体を張る仕事をしていると、
思うところが蓄積してきて、
文章に起こしたくなるのかしら。
 
原田美枝子さんも
『愛しのハーフ・ムーン』があったっけ。
映画は観た。
 
<最後に>
誤解を恐れずに言うと、
鈴木いづみさんの作品世界は、
どこかアンニュイでファンタジックで
長野まゆみさんに……。
 
と、
これ、どっかで言った記憶がある。
 
山尾悠子さんか殿谷みな子さんか――。
 
 
<も一つ>
文庫の裏表紙にあった著者近影の写真――。
 
 
なんか、<鳥居みゆき>さんに似てません?
 
ちょっとエキセントリックな感じが。
 
ヒット・エンド・ラ~ン。