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ryofudo777のブログ(文庫おでっせい)

私が50年間に読んだ文庫(本)たち。
時々、音楽・映画。

<吉行淳之介、

結城昌治>

 
 

1519「女のかたち」

吉行淳之介
山口洋子:解説  集英社文庫
目次
 
女のかたち
はな / みみ / くち / 骨 / 爪 / せなか / 足 / 乳房 / 髪/ 胴 /
いろいろの付属品 / 眼
 
男と女のこと
 
女の歳時記
一月 一富士二鷹三茄子
二月 皹あかぎれと学校給食
三月 虫とおんな
四月 エープリル・フールと女
五月 料理とおんな
六月 梅雨とオンナの長電話
七月 老鶯と大根と女
八月 花火とルームクーラーと女
九月 夜食と女
十月 虫と恐怖心と女
十一月 バクチと女
十二月 鰤と初老の女
 
天使のささやきにも聞こえた恋人の口が、
恋心さめれば ”うるさい器官” となる――。
 
永遠に未知なるもの、女体にメスを入れ、
虚飾を剥ぎ、魅力と機能を語り、
ときには女の浅薄さを嘆く。
 
著者の豊かな人間性と優しさが流露とあふれたエッセイ。
 
”現代の絵師”
米倉斉加年が「女のかたち」をモチーフに、
美のあらゆる形・表情を、
精妙に巧緻に書き下した豪華カラー版・大人の絵本。
解説・山口洋子
 
                        <ウラスジ>
 
同系統の一冊がこちら。
 
 
ただし、こちらの文庫は、
ちゃんとした、”エッセイ” 。
 
で、当時、実際にやってみたことが、
これ。
 
握り拳を、
ジャンケンポンのグーの形につくって出してみてください。
とにかく、実際にそうやってみてください。
 
女の場合には、親指が内側に入る人がいる。
男は、ほとんどその形にならない。
<中略>
さて、握り拳ができた。
女は、親指の第一関節が伸びる。
 
何十人に一人くらいは、
内側に折れ曲がる人がいるが、
この曲がる形が男にとっての通常の状態で、
ほとんど百パーセントといってよい。
 
「男と女のこと」
 
これは吉行氏が
「気くばりのすすめ」の鈴木健二さんに聞き、
鈴木健二さんはこれを著名な生物学者から聞いたそうです。
(誰だ?)
 
でこの実験(?)は何を意味するのかというと、
 
要するに、女の場合、
内側から親指の筋を引張るものがあるので、
関節が伸びる、という。
 
引張るもの、というのは、すなわち子宮である。
 
「男と女のこと」
はあ?
今さらながらに思う、
ホントかよ。
 
<余談>
「女のかたち」って言ったら、やっぱりこれ。
アポリネール。
 

 

 

 

ただし、アポリネールの場合は、

女体への憧憬と礼賛に彩られていますが、

吉行淳之介の場合はちと違う……。

 

どこか皮肉っぽくて、諦念がかっていて、

それでも性の対象ゆえに取り上げざるを得ない……・

みたいな。

 

こんな感じだから、フェミニストから

”女の敵” 呼ばわりされたんでしょうねえ……。

 

<追記>

それにしても、私が探している

アポリネールのもう一つの ”変態ポエム” 、

どこに行っちゃたのか?

 

『アポリネール詩集』の時点で見つかってない、てこと。

(見つけていたら、絶対、掲載してるはず)

 

ああ君が好き 君が好き

 

で終わるやつなんだけど……。

 

<最後に>

わが同郷の才人、

米倉斉加年・画伯についてひとこと、ふたこと。

 

役者として、朝ドラで認識。

 

S大英文科出身、ということで、

ほぼ直系の先輩。

 

画家としては、

角川文庫の夢野久作(これまた福岡)作品で認識。

 

画風は……、

わたくし的感覚では――

 

竹久夢二とビアズレーのあいだぐらい。

 

(ご意見無用)

 

 

 
 
 
 

1520「不良少年」

結城昌治
長編   大塚雅彦:解説  中公文庫
 
 
荒涼とした大都会・東京で、
自分の生き方を求めてさまよい、
ついに連続殺人を犯す高校生と
薄幸な少女との出会い――
 
その悲劇的な愛と死をとおして、
現代社会の断面を鮮やかに描く
長篇推理小説。
 
                        <ウラスジ>
 
 
<非行少年>としないで<不良少年>と題したのは、
私自身の過去に由来している。
 
……十六歳から十八歳にかけて中学生時代の約三年間、
私は不良少年と呼ばれていた
 
結城昌治:ノート
 
……解説の大塚雅彦という人は、
(前橋家庭裁判所主席調査官)との紹介があり、
『非行少年 調査官の手記』
『非行を見るー家裁調査官の訴え』
などの著作も残しておられる方です。
 
つまり、この作品は、”ガチの犯罪小説” 
ということです。
 
「少年」「調査官」というチャプターが
交互にあらわれる構成が取られ、
その都度、
少年・澄川隆の心理や行動、
それを憂えて少年を探す調査官の言動が、
臨場感をもって描かれています。
 
ヤクザから盗んだ拳銃で、
二人の人間を殺すことになった少年の、
ひたすら破滅に向かう姿――。
 
その少年と運命をともにする、
つねに青酸カリを持ち歩いている栄子という少女――。
 
この二人のカタストロフィによる大団円。
 
なんか、いたたまれない話で……。
 
<余談>
不良少年の純愛といったら、こちら。
 
 
 
 
 

1521「白昼堂々」

結城昌治
長編   中田耕治:解説  角川文庫
 
 
大胆な手口で次々有名デパートの高級衣類を荒す万引団。
 
中年のスリの達人や足を洗って故買屋となる男、
濃艶な女スリや若い男女。
 
一味の際だった連繫プレーを追って
ベテラン刑事との間に虚々実々の駆引きが展開する。
 
北九州の廃鉱の村を根城に、
全国を股にかけて出没した
実在の集団窃盗団の生態を活写した
ユーモラスな犯罪小説。
 
                        <ウラスジ>
 
”泥棒村”
 
『白昼堂々』は、昭和四〇年の六月から一二月にかけて、
<週刊朝日>に連載されたユーモア・ピカレスクである。
 
集団万引を扱ったこの作品の連載中、
北九州から上京した本物の万引団が検挙され、
世間をあっと言わせる事件がおこった。
 
結城昌治がこの万引団の存在を知ったのは
昭和三四年頃だった――
 
    <二上洋一:『世界の推理小説・総解説』より>
 
有名だったんですね……。
 
なんか、
(結構幅はあるけど、乱暴にひとくくりして)
この時代、「泥棒部落(村)」とか「アパッチ族」とか、
いろんな犯罪集団が跋扈してたんですね。
 
あと、
長野の「奴隷村」とか
三重の「売春島」とか。
 
とにかく、
この集落が、わが故郷福岡の、
筑豊地方に存在していたとは……。
 
バカリさんとか小峠さんの出身地の近く。
 
いまは、中国人窃盗団「ピンクパンダ」の時代。
 
<余談>
この作品のラスト、
これが ”ユーモア・ピカレスク” と言われる
最たるもので、
古今東西の<犯罪/泥棒もの>の
落としどころの一例となっている気がします。
 
そもそも、
ルパン以外の<泥棒もの>には、
成功するにせよ、失敗するにせよ、
ユーモラスなものが多々あります。
 
ちょっと前に紹介した
『快盗ルビイ・マーチンスン』 スレッサー
をはじめ、
「レスター・リース」 ガードナー
「ドートマンダー」 ウエストレイク
「快盗ジバゴ」 北杜夫
 
映画だと、
『黄金の七人』
『トプカピ』
『おしゃれ泥棒』
『ブリンクス』
 
特に映画の場合、
<泥棒もの>とは相性が良いようで――。
 
サスペンス/スリラーには及ばないものの、
本格ミステリーなんかよりは
遥かに多くの映像作品がありそうです。
(個人的感想)
 
<追記>
私は観ていませんが、
この作品は映画化されています。
 
 
監督は野村芳太郎。
 
出演は、寅さんとさくら。