涼風文庫堂の「文庫おでっせい」12 | ryofudo777のブログ(文庫おでっせい)

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私が50年間に読んだ文庫(本)たち。
時々、音楽・映画。

<筒井康隆、

アダムソン、

フィッシュ、

A・C・ドイル/カー>

そろそろ文庫以外の本もあげないと……。

 
 

25「幻想の未来」

筒井康隆

短編集(中編含む)   山下洋輔:解説  

角川文庫

収録作品

 

1.幻想の未来 (中編)

2.ふたりの印度人

3.アフリカの血

4.姉弟

5.ラッパを吹く弟

6.衛星一号

7.ミスター・サンドマン

8.時の女神

9.模倣空間

10.白き異邦人

 

まずは表題作から。

 

Ⅰ.前意識紀―後期  思考遊離への初段階   

Ⅱ.分意識紀ー前期  残存意識による伝達

Ⅲ.分意識紀ー中期  遺伝記憶復活の萌芽   

Ⅳ.分意識紀ー後期  大気性思考粒子の自覚

Ⅴ.汎意識紀ー前期  群居生物の自滅     

Ⅵ.汎意識紀ー後期  個体趨異による自然淘汰

Ⅶ.静生代ー合意識紀ー無機世界へ

 

七つの章から成るこの未来史は、

荒廃した大地で女が怪物の子を産み落とすところから始まります。

分娩後に女は息絶え、生まれた怪物の子の食糧になります。

カニバリズムのような描写は,しばし続きます――。

そして章が進む毎に人間はヒューマノイド型であることを棄て、

怪物に、やがて生き物の形態をとる事さえ止めていきます。

最後は『陸』と『海』にまで変容するのです。

 

今まで読んできた筒井さんの小説とは

全く違う世界観(宇宙観)が、

この作品にはありました。

やっぱり、筒井康隆はスゴイ。

その他。

「ふたりの印度人」は笑えます。

「アフリカの血」は後に漫画を読みました。

「ラッパを吹く弟』は何気に切ない話です。

 

 

 

 

と、ここで文庫は小休止。

 

以前にも申し上げましたが、

さすがに文庫ばかり読んでいる訳にはいかないので、

ここからは文庫以外の書籍も随時取り上げていくことにします。

 

ただし、私の目録では、

[海外小説][日本の小説][新書][ノベルズ版]と分けていますので、

その都度属している(属させている)カテゴリーを表示し、

番号付けていくつもりです。

 

何でそれをそのカテゴリーに入れたか、

は余り追求なさらないよう、お願い致します。

 

また、先走って写真だけを紹介したものは、

再び同じ写真付きで載せていきます。

 

さっそく始めます。

 

[日本の小説] Vol.1

 
 

1「時をかける少女」

筒井康隆
短編集(中編含む)   福島正実:解説
SFベストセラーズ  鶴書房盛光社
 
収録作品
1.時をかける少女

2.悪夢の真相

3.果てしなき多元宇宙
 

1972年元日から始まったNHK少年ドラマシリーズが、

この本を原作とする『タイム・トラベラー』です。

 

全6回でしたから、2月の2週目には完結してしまいましたが、

後々このドラマは伝説化していったようです。

 

私は主演の島田淳子さんが好きでした。

のちの浅野真弓さんです。

 

 

1972年7月23日から再放送が始まりましたが、

その時に付けていた日記のようなノートにはこうあります。

 

1972

7・23:タイムトラベラー再放送。

     これほどうれしいことはない。

     「ラベンダーの謎」

7.24:「ケン・ソゴルの謎」

     島田淳子抜群! 木下清め!

7・25:「テレパシーの謎」

     畜生!見そこなったではないか。

7・26:「トカリベツの謎」

     あの二人抱きつきやがって……。

     いくらテレビの中とはいえ……。許せん!キショ―メ‼

7.27:「タイム・ルールの謎」

7・28:「タイム・エネルギーの謎」

     Big Surprise!

     11月4日から、「続・タイムトラベラー」

     淳子ちゃんにまた会える。

以下略。

 

いかにも高校生が書きそうなバカ文ですが、

結局「続・タイムトラベラー」は一回観ただけで終わりました。

 

何か違っていたので。

 

 

 

 

 

[海外の小説]  Vol.1

 

 

1「野生のエルザ」

ジョイ・アダムソン

長編   藤原英司:訳  ポケット文春

 

これを読んだのは(読まされたのは)、

中学の頃だったと思います。

自発的に買ったものではなく、読書感想文を書くために、

提示されたいくつかの候補から選んだものでしょう。

 

動物好きなもので、

「野生の王国」や「動物王国」は欠かさず観ていましたし。

 

 

 

 

しかしこの話を語る上で絶対に外せないのは、

映画の存在でしょう。

 

◎「野生のエルザ」 BORN FREE

1966年(英) コロンビア

監督:ジェームズ・ヒル

脚本:ジェラルド・L・C・コプリー

撮影:ケネス・タルボット

音楽:ジョン・バリー

原作:ジョイ・アダムソン

出演:ヴァージニア・マッケンナ、

    ビル・トラバース(怪獣ゴルゴ)

 

 

マット・モンローの歌とともに、

アフリカの広大な自然が記憶に甦ってきます。

この映画に対しては、老いも若きも、右も左も、

概ね高評価を与えているようでした。

特にラストの、

いったん野生に戻ったエルザが

子ライオンを連れて再び帰って来るシーン、

この場面が素晴らしいとみんな褒めたたえていました。

本当にこのシーンは感動ものでした。

 

しかし。

 

​この物語の ”キモ” とも言える

エルザが子供を連れて来るシーン、

これが原作には存在しないのです。

 

終わり間際にこんな文があります。

 

――そしてエルザが母親となり、

可愛い子供たちをつれてキャンプへ遊びに来る日も、

そう遠いことではないような気がする――。

 

子供を連れて戻って来る、

これはどうも続編の

「永遠のエルザ」に登場するエピソードのようです。

 

映画の方も続編の「永遠のエルザ」がありますが、

こちらの原作はアダムソンの3作目

「わたしのエルザ」を下敷きにしているようで――。

 

何か、原作と映画で少しタイム・ラグがあるみたいですね。

 

ちなみに、ジョイ・アダムソンのエルザ・シリーズは、

「野生のエルザ」「永遠のエルザ」

「わたしのエルザ」「エルザの子供たち」

の4作が、同じく藤原英司さんの手で訳されています。

文庫だと文春文庫かな。

 

 

 

 

 

 

2「シュロック・ホームズの冒険」

ロバート・L・フィッシュ
短編集   深町真理子・他:訳  
ハヤカワ・ポケット・ミステリー

収録作品

 

1.序文

2.アスコット・タイ事件

3.赤毛の巨人

4.アダム爆弾の怪

5.黒眼鏡の楽団

6.奇妙な手紙

7.消えたチェイン=ストローク

8.画家の斑紋

9.ダブルおばけの秘密

10.罠におちたドラマー

11.贋物の君主

12.誘拐された王子

13.シュロック・ホームズ最後の事件

 

 

3「シャーロック・ホームズの

功績」

アドリアン・C・ドイル
ジョン・ディクスン・カー
短編集   大久保康雄:訳  小泉信三:寄書
ハヤカワ・ポケット・ミステリー

収録作品

 

1.七つの時計の事件

2.金時計の事件

3、蝋人形賭博師の事件

4.ハイゲイトの奇蹟事件

5.色の浅黒い男爵の事件

6.密閉された部屋の事件

7.ファウルクス・ラス館の事件

8.アバス・ルビーの事件

9.黒衣の天使の事件

10.二人の女性の事件

11.デプトフォードの恐怖の事件

12.赤い寡婦の事件

 

この2作については、すでに一度登場していますので……。