涼風文庫堂の「文庫おでっせい」474 | ryofudo777のブログ(文庫おでっせい)

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私が50年間に読んだ文庫(本)たち。
時々、音楽・映画。

<フランク・

ハーバート>

 
1426「デューン 砂の惑星 ➊」
フランク・ハーバート
長編   矢野徹:訳  早川文庫
 
 
アラキス……砂丘……砂漠の惑星。
 
ポウルの夢に一面乾ききった死の世界が広がる。
 
そこが、
彼がこれからの一生を過す所なのだ――
 
アラキスは苛酷な星ではあったが
同時に唯一の老人病特効薬メランジの宝庫でもあり、
皇帝の直命を受けたアトレイデ公爵にとって、
そこを仇敵ハルコンネン家にかわって支配することは
この上ない名誉と富を意味した。
 
一人息子ポウルに、
より豊かな未来を継がせるのだ。
 
ハルコンネンの復讐の罠を、
皇帝の恐るべき奸計を、
充分承知しながら公爵はあえて砂の惑星に乗り込んでいく……!
 
SF界最高の栄誉ヒューゴー、ネビュラ両賞受賞に輝く大傑作巨篇、
ここに堂々の開幕!
 
                        <ウラスジ>
 
 
 
 

1427「デューン 砂の惑星 ➋」

フランク・ハーバート
長編   矢野徹:訳  早川文庫
 
 
悲劇はアトレイデ公爵家がアラキスに着いて
はじめて催した晩餐会の後に起った。
 
酒宴が終わって自室に戻りかけたレト公爵は、
廊下に倒れている人間に気づく。
 
抱き起してみると
それは背中にナイフを刺されたフレーメンの家政婦メイブズ――
 
はっとする間もなく麻酔銃を射られたレトのかすむ目に、
悲しげな表情を浮かべながら近づいて来る
裏切者ユエの姿が映った……。
 
やがて、
ハルコンネンの総攻撃からかろうじて
母と共に砂漠に逃れたポウルは、
一瞬、父の死を知った。
 
何故か、
いつの間にか、
彼の心は時間と空間の彼方を
果しなく拡がって行ったのだ……!
 
SF史上十指に入る大傑作長篇第2巻!
 
                        <ウラスジ>
 
 
 
 

1428「デューン 砂の惑星 ➌」

フランク・ハーバート
長編   矢野徹:訳  早川文庫
 
 
アトレイデ家滅亡の時――
 
からくも逃れた砂漠でポウルは母に言った。
 
「フレーメンの中に身を隠そう。
 彼らが僕達を助けてくれる」
 
父の副官アイダホと惑星生態学者カインズの
死を賭した献身により追手を振り切った二人は、
ハルコンネンから、
皇帝から、
そしてギルドの監視からさえ自由な広大な奥地をめざし
ひたすら砂の上を歩みつづけた。
 
宇宙船ほどもある巨大な砂虫の恐怖。
 
絶え間なく彼らを苦しめる
”熱” と ”乾燥” 。
 
だが、
この想像を絶する苛酷な環境こそが、
超人類たるポウルの予見した未来への、
最も大きな切り札だったのである!
 
白熱の長篇第二章!
 
                        <ウラスジ>
 
 

 

1429「デューン 砂の惑星 ➍」

フランク・ハーバート
長編   矢野徹:訳  早川文庫
 
 
復讐の時は来た。
 
フレーメンの一員となりきり、
その超能力の故に、
無数の時空の流れを自在に動くことのできるもの、
”ムアドディブ” として
砂漠の民の宗教的畏敬の的となったポウルは、
やがて彼ら全部隊を組織統率。
 
様々な生態学的手段を講じて
砂漠の緑化を計ると同時に、
またアトレイデ大公家当主として、
敢然、帝国の陰謀に挑戦する。
 
すなわち、
皇帝とハルコンネンがアラキスの情勢を危惧し
サルダウカーの圧倒的軍勢をもって
再び砂の惑星にせめよせて来るや、
フレーメンは総力を上げてこれを迎えうったのだ!
 
全宇宙の未来を賭け、
いま決戦の火蓋は切って落とされる……!
 
巨篇三部作ついに完結!
 
                        <ウラスジ>
 
 
イラストは石森章太郎先生。
これも文庫刊行の時、話題になりましたっけ。
 
奥付を見ると、
昭和47年暮れに刊行開始、
昭和48年夏に全4巻が出揃ったことになります。
 
私が読んだのは、およそその10年後。
12刷~18刷にもなってからのことです。
 
当時はブックオフなんて無かったから、
ちゃんと正規の書店で購入したんだろうな……。
 
と、感慨にふけるでもなく、
悠久(?)の時を超えた昨今。
 
 
ひとつの妖怪がネットニュースの中をうろついている。
”デューン” という妖怪が……。
 
てな感じで、
滅法評価の高そうな、”デューン砂の惑星” の映画版。
 
しかも、<PART2>とあるんで、
最初、
「えっ。デヴィッド・リンチの続編?」
とかズレズレの浦島太郎的感想を抱いたもんでした。
 
……なんせ2000年以降、
全くといって良いほど映画を観てないので……。
(「ロード・オブ・ザ・リング」が最後ぐらい)
 
ですから、
2021年に新たな『DUNE/デューン 砂の惑星』が
製作されていたことなど、知る由もありませんでした。
(まあ、「知っとけよ」って話ではあるんですが……)
その<PART2>だったんですね。
 
監督はドゥニ・ヴィルヌーヴという人。
名前からしてフランス人かと思ったらカナダのひと。
ケベック州生まれってことで妙に納得。
 
F1のジャック・ヴィルヌーヴも
カナダのケベック州出身だったよな……。
 
カナダのケベック州とスペインのカタルーニャ州は
定期的に<独立>を叫んでる気がする……。
 
あと、このヴィルヌーヴって監督、
『ブレードランナー』の新作でもメガホンを取ってたんだ。
 
これはうっすらと覚えている。
サタジット・レイの映画じゃないけど、
『遠い雷鳴』ぐらいな感じで。
たしかハリソン・フォードも出てたっていうやつ。
 
 
 
とにかく
1984年のデヴィッド・リンチ版の「デューン」の評判は
芳しくなく、
”原作の強引なダイジェスト”
とか、
”SF映画史上、初の ”ネクラ映画”
とか、
”スティングの持ち腐れ”
とか、
当時は原作のファンがオンタイムで観ている時期なので、
それはそれは非道いもんでした。
 
ゆえに――
という訳でもないんですが、
私はこの作品をスルーしています。
テレビの吹き替え版で<ながら観>はしたんですが……。
 
リンチはこの後、
映画『ブルー・ベルベッド』と
テレビ『ツイン・ピークス』で
捲土重来を果たします。
 
それはいいとして。
 
そろそろ中身を。
 
<本編>
 
この<ウラスジ>に書いてあることは、
まあ大体にしてそのまま起こった。
(ヴォネガット風に)
 
貴種流離譚と復讐戦。
多くの伝説に名を残す王道の物語。
 
<ウラスジ>にある ”三部作” の内訳がこちら。
 
『デューン砂の惑星➊』 「砂丘 上」
『デューン砂の惑星➋』 「砂丘 下」
『デューン砂の惑星➌』 「砂漠の鼠」
『デューン砂の惑星➍』 「予言者」
 
つまり、
「砂丘」「砂漠の鼠」「予言者」の三部作、
と、言うこと。
 
ちなみに<デューン>の全体像がこちら。
 
『デューン砂の惑星』 全4巻
『デューン砂漠の救世主』 全1巻
『デューン砂丘の子供たち』 全3巻
* ここまでは石森先生のイラスト。
『デューン砂漠の神皇帝』 全3巻
『デューン砂漠の異端者』 全3巻
『デューン砂丘の大聖堂』 全3巻(未読)
 
この本作4巻と<救世主>を読んだあと、
半生記過ぎた頃に古書店で
<子供たち><神皇帝><異端者>
が出揃ってたのを買い集め、
最初のデューン4巻と<救世主>を
改めて助走として読み直し(殆ど忘れていたので)、
しばし<デューン>の世界にどっぷりと浸かっていました。
 
そこで思ったこと。
 
いつまでもあると思うな主役の座。
* 「主役」のところを「善玉」に置きかえた方がいいかも。
 
前作の主人公が次回作では
敵役に転じるってのもあって……。
 
で、
誰かさんが砂虫(サンド・ウオーム)になっちゃうんだよな……。
 
で、
サンド・ウォームって、
ナウシカの ”王蟲” (オーム)に繋がるよな……。
 
ぶつぶつ。
 
 
<追記 1>
バロウズの<火星シリーズ>よろしく、
<デューン・シリーズ>にも
【帝国における用語集】
が付いています。
 
アイウエオ順。
 
たとえば、
 
アウト‐フレイン  ガラッハ語の ”近くの外国” 。
         つまり、同じ共同体に属さない、
         選ばれたものでない、との意。
 
アカルソー  シクン(70・オピウチ・A)に産出する植物。
       特徴は長方形の葉。緑と白の縞は、
       葉緑素部分の活動と冬眠が
       平行しておこなわれるような複雑な状況が
       絶えず存在していることを示す。
 
みたいな感じ。
 
<ウラスジ>に出て来た聞き慣れぬ言葉も、
しっかりと説明されています。
 
 
<追記 2>
……隠しテーマじゃないけど……
 
この壮大な長編小説は作者が深い関心を寄せる
環境生態学的視点によって貫かれている。
 
<市川昌夫:『世界のSF文学:総解説』より>
 
そう言えば、
ハーバートは巻頭にこんな献辞を載せています。
 
乾燥地帯ドライランドの生態学者エコロジスト
この予言としての著作を謙譲と讃嘆を込めて捧げる。
 
 
……アラキスの未来を予見するような言葉です。
 
<追記 3>
 
まさかとは思うけど、
こっちも名作なんで間違えないように。
 
『砂漠の惑星』 スタニスワフ・レム
 
こっちにも一応、<虫>みたいなのが出て来ます。
 
 
 
で、
まだまだ続く。