涼風文庫堂の「文庫おでっせい」465 | ryofudo777のブログ(文庫おでっせい)

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私が50年間に読んだ文庫(本)たち。
時々、音楽・映画。

<ニール・R・

ジョーンズ、

シルヴァーバーグ>

 

1403「二重太陽系死の呼び声」 

ジェイムスン教授シリーズ<1>

ニール・ロナルド・ジョーンズ
連作短編集   野田昌宏:訳  早川文庫
 
目次(収録作品)
 
第一部 機械人間21MM-392誕生!
      ジェイムスン衛星顚末記
 
プロローグ ロケット衛星
1.四千万年後・・・
2.謎の宇宙船の正体は?
3.生きかえってみたら――なんと・・・
4.地球は死んでいた・・・
5.死ぬに死ねない生き埋め
 
第二部 奇怪! 二重太陽系死の呼び声
 
1.青い太陽ブルー・サンの呪い
2.三脚人骸骨の謎
3.怪物は乱舞して・・・
4.自爆のまきぞえ
 
第三部 仇討ち! 怪鳥征伐団出撃す!
 
1.虚空の幽閉者
2.三脚人に救われた教授は――
3.いざ、怪鳥退治に出撃!
4.仇討ち空中戦――そして返り討ち!
5.機械人の亡霊かとおもったら――
 
 
 
遠く古代エジプトの昔より、
人類は死者を永遠に保存する方法を求めつづけてきた。
 
ジェイムスン教授もまたその研究に没頭し、
ある日ついにすばらしい方法を思いつく。
 
それは遺骸をロケットに納め、
厳重に密閉した上で地球周回軌道に打ち上げてしまうのだ!
 
彼の死後計画は実行されたが、
やがて四千万年後――
 
死滅した地球の回りで
偶然異星生物ゾル人の一行に発見された教授は、
彼らの手で脳を再生、移植されると、
いまや彼らと同じ不老不死の機械人間として
再びこの世に甦ることとなったのである!
 
もっとも愛され親しまれたスペースオペラの英雄本邦初登場!
 
                        <ウラスジ>
 
登場人物
 
21MM-392……ジェイムスン教授
 
25X-987
4R-3579
9G-721
8B-52
459C-79
72N-4783……以上 ゾル人
 
グルルグ
ブルルクス
スヌルプド
ラヴルト……以上 三脚人 
 
 
その宇宙船の内部では、
奇怪な形をした金属製の生物が操縦席について、
じゃじゃ馬のようないきおいで飛びつづける船を操縦していた。
<中略>
この奇怪な生物は、
鋼鉄とおぼしい金属でつくられた直方体の胴体をもち、
それぞれジョイントをもった四本の脚部がそれを支えている。
 
そしてその四角い胴の上部からは、
やはり金属でつくられたらしい
六本の触手がつき出ているのだ。
 
さらにその胴の頂部には
円錐形をした頭とおぼしきものがついていて、
その周囲にぐるりと眼玉が並んでいるのである。
 
したがってその生物は、
金属板のまぶたのついた機械の眼メカニカル・アイ
三六〇度方向を同時に見ることができる。
 
それだけではない。
円錐形をした頭蓋部のてっぺんにも
もうひとつ眼玉がくっついていて、
真上もちゃあんと見ることができるのだ。
 
かれらこそ、
地球から数百万光年もはなれた星系の惑星――
ゾルに住むゾル人ゾロームであった。
 
 
この描写はゾル人の形態であると同時に、
シリーズの主人公
ジェイムスン教授の形態でもあります。
 
 
「われわれは、
 あんたの遺体をこの(ロケットの)中で発見したのさ」
25X-987が答えた。
「あんたの脳は、もういちど活動するように
 刺激をあたえたあとで機械の中へ移植したんだ。
 残りの遺体は捨てたよ」
 
ゾル人たちが教授のロケットを発見した時の挿絵(23P)。
 
 
こうして機械人間となった教授は、
他のゾル人とともに――
 
ところで、
惑星ゾルの住民たちのもっともポピュラーな娯楽は
宇宙探険であった――
 
出かけることとなりました――。
 
<追記 1>
* この機械人間の描写を忠実にイラストにしたのは、
  藤子不二雄先生です。
  (今では「F・藤本」先生と分かっているようです)
 
* 私が読んだものの中では、
  ハリスンの『宇宙兵ブルース』の
  表紙と挿絵も担当しておられます。
 
* この時期(?)、
  早川SF文庫の背表紙「白」の作品においては、
  著名な漫画家の先生が何冊か
  表紙や挿絵を描いておられます。
 
* 石森章太郎 『砂の惑星』
  モンキー・パンチ 『テクニカラー・タイムマシン』
  永井豪 『超革命的中学生集団』
  松本零士 <C・L・ムーア作品>
 
* 探せばもっとあるかも。
 
<追記 2>
* 四千万年後だ、
  不老不死の機械人間だ、
  そしてお楽しみは宇宙観光だ、
  と言った、
  この多少ぶっ飛んだ設定――
 
* これを1930年代初頭にやってのけた
  ニール・R・ジョーンズ。
 
* ハミルトンやスミスと違って、
  すっかり忘れられた作家扱いされてしまってますが……。
 
* 機械の身体って言ったら『銀河鉄道999』だし、
  宇宙探険(トレック)って言ったら『宇宙大作戦』だし、
  生きている脳って言ったら『サイモン・ライト』だし、
  冷凍睡眠って言ったら『夏への扉』だし――
  
* 何気にその影響は計り知れません。
 
* その他にも、最初に
  <宇宙飛行士>アストロノート astronaut
  という言葉を使った御仁でもあるようです。
 
* ちなみに<nault>は航海士ということ。
  「アルゴノート」なんて言葉もありますねえ……。
 
<追記 3>
この後、シリーズは二巻続きます。
 
ほんとは全部で四巻あったはずなんですが、
四巻目の作品は入手することが出来ませんでした。
 
この機会に古書市で探そうっと。
 
 
<緊急追加>
 
申し訳ございません。
 
次の準備でSF系の資料や目録を調べていたら、
何と、<ジェイムスン教授シリーズ>第四巻、
『双子惑星恐怖の遠心宇宙船』
も読んでいたことが判明いたしました。
 
おそらくこの一巻だけ時間を置いて読んだんでしょう。
完全に忘れていました。
 
C・L・ムーアも
<ノースウェスト・スミス>シリーズ三巻を読んだ後、
云十年も経って<処女戦士ジレル>を読んだという
経緯もありますし、
他にもまだ記憶違いをしているかもしれません。
 
重ねてお詫び申し上げます。
 
 
あああ。
齢を取ると……。
 
 
 
 
 
 

1404「時間線を遡って」

ロバート・シルヴァーバーグ
長編   中村保男:訳  創元推理文庫
 
 
時は21世紀。
 
時間旅行を企画・実施している<時間サーヴィス公社>。
 
同社には、過去を監視し、
”復旧” させることを任務とする時間パトロール隊と、
時間観光客を過去へ案内する随伴ガイド部がある。
 
ホワイト・カラーの仕事に嫌気がさし、
随伴ガイドとなった青年ジャッドは、
幾多の性遍歴の後、
ビザンチン帝国の首都で絶世の美女に出会うが……。
 
SF界の俊英シルヴァーバーグが
全編にまたがる克明なセックス描写とタイム・パラドックスに
正面から取り組んだ異色作!
 
                        <ウラスジ>
 
 
シルヴァーバーグの2作目。
 
で、こちらにもある
”大胆な性描写” 云々。
 
近々に読んだ『時の仮面』という作品にも、
未来から来たという全裸の男が現れて……。
 
まあ、
SFで ”性” を扱うって言ったら、
ハインラインの
『悪徳なんかこわくない』
『愛に時間を』
ファーマーの
『恋人たち』
なんかが思い浮かびますけど……。
 
私の場合、
タイム・パラドックスに限らず、
”時空を超えた恋”
ってのには、どこかしら少女趣味的な
純愛路線を求めてしまう傾向があるので、
 
『夏への扉』 ハインライン
『宇宙に旅立つ時』 ハインライン
(同じハインラインでも真逆)
『たんぽぽ娘』 ヤング
 
なんかを理想としてしまっているところがあります。
 
……実際過去の女性との間に、
子供を成すことなんて出来るんでしょうか?
 
その点、映画は気楽でいいなあ……。
『ターミネーター』とか。