<ハミルトン、
E・E・スミス>
1400「異次元侵攻軍迫る!」
キャプテン・フューチャー
エドモンド・ハミルトン
長編 野田昌宏:訳 早川文庫
太陽系警察本部から、
キャプテン・フューチャーに緊急連絡が入った。
奇妙な光を放つ宇宙船がだしぬけに出現、
超スピードで太陽に向って突進しつつあるという!
急遽出動した<コメット>号のすて身の行動で、
かろうじてその宇宙船を救出することに成功した。
やがてフューチャーメン一行の前に現われたその乗員は――
スヴァードという奇怪な生物をつかって、
つぎつぎに星系を征服している謎の人物ゴーマ・ハス。
かれらは、
はるかアンタレス星系から、
ゴーマ・ハスの怖るべき企てを阻止すべく、
キャプテン・フューチャーの助けを求めて
やってきたのだった……!?
<ウラスジ>
ゴーマ・ハスとは何者?
「やつに被害を与えることは不可能だ。
やつはこの空間内に、
精神的に存在するだけだからだ」
「四次元空間内に
無数に浮かんでいる三次元宇宙のなかから、
めざすやつの宇宙をみつけることは
できるわけがありません」
「そこでわれわれは、
敵意を抱く連中と対決した場合に備えて、
精神波のシールドを開発する必要がある」
云々。
何となく、映画『禁断の惑星』に出て来た、
”イドの怪物” めいたものを想起してしまいました。
肉体は別の場所にあって、
精神だけが跳梁跋扈する――
いきおい、攻撃も精神波によるものとなる――
おまけに、<イスタル>という、
支配者たち(マスターズ)も登場します。
この発想、
スミスの<レンズマン・シリーズ>にも
同じような ”宇宙の上級者” が出て来ますが……。
<追記 1>
早川文庫版における、
ハミルトン名義の<キャプテン・フューチャー>は
全部で19巻あります。
その内、10作品が終わり(?)ました。
ここで一旦、小休止。
途中下車となる作品が
<”脱” 太陽系>、
というのも、
これからのキャプテン・フューチャーの行く末を
暗示しているような……。
<追記 2>
次の作品・作家は、
ハミルトンの先達でありながら、
早々に太陽系を脱出しています。
1401「宇宙のスカイラーク」
スカイラーク・シリーズ①
エドワード・エルマー・スミス
長編 中村能三:訳 解説:厚木淳
創元推理文庫
超高速宇宙船スカイラーク号を完成した
青年科学者リチャード・シートンは、
大気圏外に誘拐された恋人ドロシーを救うべく追跡を開始した。
太陽系を瞬時に飛び出したスカイラーク号は、
銀河系から銀河系へと航行をつづけ、
無事恋人を救出した。
しかしエネルギー源である燃料の銅がきれて、
シートンは未知の惑星に着陸することとなり、
異星人同士の無気味な戦乱にまきこまれることとなった。
レンズマン・シリーズとならぶ
E・E・スミスの雄大なスペース・オペラの傑作。
<ウラスジ>
スペオペの創始者とも言える
E・E・”ドック”・スミス降臨。
わが<SF文学>の虎の巻、
『世界のSF文学・総解説』で、
いの一番に登場したのが、
このスミスとスカイラーク。
博士号を得ているために
ドック・スミスと呼ばれている
エドワード・エルマー・スミス
(Edward・Elmer・Smith、1890~1965)の処女作
『宇宙のスカイラーク』1928 は、
SF史上最初に人類が太陽系の外へ出ていった物語であり、
スペース・オペラ出現の直接の原動力となった。
<鏡明・『世界のSF文学総解説』より>
<シリーズの登場人物>
【善玉】
リチャード・シートン……物理学者・主人公
ドロシー・ヴェインマン……シートンの婚約者
マーチン・レイノルズ・クレイン……ロケット研究家・大富豪
マーガレット・スペンサー……ブルッキングスの元秘書
【悪玉】
マーク・デュケーヌ……希有金属研究所員
ブルッキングス……ワールド・スチール株式会社支店長
この<地球人同士>の因縁が
シリーズを通しての根幹となっています。
「……シートンは殺さなくちゃならん――
やつは知りすぎているからな。
あんたんとこの暴力団員を二人ばかり貸してもらいたい」
初登場の5章で、いきなりの暗殺計画を
ブルッキングスに持ちかけるとこなんざ、
とても同僚の科学者とは思えません。
後は立ち寄る惑星でのエピソードや、
シートンとデュケーヌの ”代理戦争” っぽい展開。
<では追ってストーリーを>
シートン、未知の金属「X」の研究中に、
それが銅と結合することによって、
凄まじいエネルギーを発することを発見。
そのエネルギー利用して、
富豪の親友マーチンとともに宇宙船スカイラークの建造に着手。
デュケーヌ、「X」と銅の秘密を盗み出す。
そしてシートンより先に宇宙船を完成。
加えて、
シートンからより一層の秘密を引き出すため
その宇宙船で、ドロシーを拉致。
ドロシー、抵抗したはずみで、
宇宙船のレバーに触れる。
そのまま大宇宙へ――。
シートンとマーチンはスカイラークで
地球から5000光年離れた宇宙空間で、
デュケーヌの船に追いつく。
ドロシーと、もう一人監禁されていた
ぺギー(マーガレット)を救出。
(マーガレットとペギーがなかなか結びつかない……)
しかし、銅は無くなった。
近くの惑星オスノームに着陸。
マルドナーレとコニダール、二大勢力の争いに介入、
味方した側(コニダール)が勝利。
シートンとドロシー、
マーチンとペギー、結婚。
地球に帰還途中、
デュケーヌ、脱走。
……『スカイラーク3号』に続く
1402「スカイラーク3号」
スカイラーク・シリーズ②
エドワード・エルマー・スミス
長編 中村能三:訳 創元推理文庫
画期的な超音速宇宙船スカイラーク号を完成した
青年科学者リチャード・シートンは、
これに乗って銀河系宇宙を遍歴し、
惑星オスノームを発見して友好関係を結んだ。
ところが、
そのオスノームが敵の侵攻をうけ、
いまや壊滅寸前の状態にあることを知ったシートンは、
敢然としてスカイラーク2号を駆り救援にむかった。
しかしその渦中で、
彼は全銀河文明の壊滅をねらう、
更に凶悪なおそるべき宇宙の敵がいることを知った。
彼は全力をあげてゴールに邁進した……
史上空前の大宇宙船スカイラーク3号の建造へと!
<ウラスジ>
<追ってストーリー>
オスノーム対ウルヴァニア。
シートン、スカイラーク2号でオスノームへ。
そこへ降ってわいたような強力な敵、
フェナクローン人現る。
オスノームとウルヴァニア、和議(?)を結び、
協力してフェナクローンに対処する。
ここでデュケーヌ、再登場。
フェナクローンと手を結び、シートンを滅ぼす気満々。
シートン、
宇宙の上級者の住む惑星ノルラミンに
スカイラーク3号で到達。
精神科学が発達した惑星ノルラミン。
ここに、
”力” (フォース)
という言葉が登場。
これが、<レンズ>になり、
しいては
『スターウォーズ』の<フォース>に連なることは
言うまでもありません。
この(フォース)で勝利を収めるシートン。
そしてデュケーヌは?
……『ヴァレロンのスカイラーク』に続く