➁【農水省へ抗議のご協力のお願い】豪産WAGYU「脅威」世界で流通、質向上狙う | 中谷良子の落書き帳

中谷良子の落書き帳

核武装・スパイ防止法の実現を

①からのつづき。読売新聞で連載されている和牛問題事件について緊急性があり、見逃せないものでしたので以下、ご意見先を載せていますので、農水省には今回の事例を受けて、刑事告発の基準を厳しくすることなどを念頭に、対策を強化するようご意見をお送りください。皆様のご協力を宜しくお願い致します。

【ご意見・抗議先】農林水産省総合窓口
https://www.contactus.maff.go.jp/voice/sogo.html


また、不正持ち出しを疑う事例や照会事項がありましたら、以下の連絡先までご連絡いただきますようお願いいたします。
農林水産省 消費・安全局 動物衛生課
TEL 03-3502-8295 (国際衛生対策室)
農林水産省 動物検疫所
TEL 045-751-5923(企画調整課)
045-751-5955(危機管理課)




★豪産WAGYU「脅威」世界で流通、質向上狙う★~和牛流出現場から(中)~

壇上の大型スクリーンに、肉牛の全身写真と、そのプロフィルが映し出された。

「2万豪州ドル(150万円)。他にないか?この雄は2万で売却!」5月中旬、豪州南部アデレードで開かれた肉牛の競りに、豪州や欧米、アフリカ、中国などの畜産農家らが詰めかけ、金額を競り合っていた。

出品されていたのは、海外で「WAGYU」と呼ばれる肉牛。名前の通り、かつて海外に輸出された日本の和牛の子孫。

WAGYUには、今も和牛の血統だけを受け継ぐ「フルブラッド」(純血種)という品種がある。最高品質ゆえに高値で取引され、会場でも価格は高騰。この日最高値の約2100万円で落札されたのは雄の純血種だった。同様に純血種の受精卵も平均約24万円の値がつき、日本で売買される和牛受精卵の相場(数万~10万円)を大幅に上回った。

競りにはインターネット経由でも世界から入札が相次いだ。主催した「豪州WAGYU協会」の担当者は誇らしげに語る。

「WAGYUは元をたどれば、約240頭の和牛に行きつく。豪州の畜産農家が苦労して増やし、世界に広めた。」

日本が流出を警戒する和牛がなぜ輸出されたのか。話は1990年代初頭の米国に遡る。米国はこの頃、日本との間で牛の輸入に関するルールを締結しており、和牛を輸入できる唯一の国だった。日本が91年、牛肉の輸入自由化に踏み切ると、米国の畜産農家や企業などは、日本で人気の和牛を輸入して安く肉を生産し、逆に日本に売ろうと考えた。

そして、約240頭の和牛の雌雄を順次、輸入した。

これに反応したのが、和牛の肉質の良さを知っていた豪州の畜産農家だった。彼らもまた、「豪州産和牛」の生産を計画し、約240頭輸入した米国企業などから、その受精卵や精液などを購入。純血種を繁殖させたり、豪州にいた牛と交配させたりてWAGYUの生産を急拡大させた。

WAGYUは、飼育方法の違う海外では、和牛ほど軟らかく、うま味ある肉には育たない。一方、和牛肉より脂分が少ないところは、ステーキを好む海外向き。何より価格が安いという強みがあった。

豪州での飼育頭数は今や推計で交雑種約30万頭、純血種約6万頭。今年の肉の輸出量は日本の10倍にあたる3万6000トンと見込まれる。豪州産WAGYUは今、世界を席巻している。

「うちの肉は、北米やアジア、中東の約15ヵ国に輸出され、1つ星レストランでも提供されている」

そう語るニック・シャーさん(57)は、南部・メルボルン近郊などにある総面積9100エーカー(東京ドーム787個分)の牧場で、約1万頭を飼育する。体重や健康状態を管理し、サシ(霜降り)を増やし、年に5000頭を出荷。その肉は、自ら名前を冠した「射和牛(シャーワギュウ)」と名付け、ブランドとして浸透を図る。

大規模畜産農家に支えられる豪州産WAGYU。バラ色の話ばかりかと言えば、そうでもない。別の大規模農家(45)は「リスクにさらさられている」と先行きを懸念する。

あの約240頭から派生した豪州産WAGYUは、近親交配の影響などで、優良な遺伝子を持つ子牛が生まれにくくなる恐れがある。そうした事態になれば、品質の低下は避けられない。別の生産者も「品質の維持、向上には和牛の遺伝子は必要だ。日本が和牛を開放すれば、真っ先に買い付けに行く」と本音を明かす。

豪州事情に詳しい日本の畜産関係者は危機感を募らせる。「和牛の遺伝子が再び流出し、WAGYUの品質改良に使われれば、価格や生産性で太刀打ちできない日本には脅威でしかない。将来、豪州が飼育技術を向上させれば、味の面でも追いつかれかねない」

③へつづく