租税特別措置法第84条の2の3第2項の適用の考え方について☆ | 司法書士講師・三枝りょうのブログ

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司法書士試験の受験情報を中心に、日々考えたことを書き連ねていきます。

皆さんこんにちは、司法書士講師の三枝りょうです。

 

租税特別措置法です。
以下条文を少々加工しつつエッセンスを記載します。

(相続に係る所有権の移転登記等の免税)
第八十四条の二の三
1項
個人が相続により土地の所有権を取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、当面の間、当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さない
2項
個人が、土地について相続による所有権の移転の登記を受ける場合において、これらの登記に係る登録免許税法の課税標準たる不動産の価額が100万円以下であるときは、これらの登記については、登録免許税を課さない

いわゆる相続登記の免税条項です。
なかんずく「ハシノニノサン・ダイニコウ」は、必ず憶えておいてくださいと実務研修会でも申し上げております。

Tが死にました。
Tの相続人は、Tの妻Sと、TS間の子Wです。
その後に
Sが死にました。
Sの相続人は、子Wのみです。


こんな感じです。
相続財産は、甲土地のみです。机上の事例です。
なお、相続人間で遺産に関する協議は行われておりません。

なすべき登記は何でしょう。
司法書士受験生さまは考えてください。

<1件目>
所有権移転
年月日相続
相続人(被相続人T)
持分2分の1 S
持分2分の1 W(申請人)

<2件目>
S持分全部移転
年月日相続
相続人(被相続人S)
持分2分の1 W

です。
残念ながら1件の申請で一気にW名義、とは行きません。

で。です。
1件目の「S名義にする分」の登録免許税がタダですよと。土地の価額が100万オーバーであったとしても、です。
これがハシノニノサン・ダイイイッコウです。
84の2の3第1項。

そうでなかったとしても。
甲土地の価額が金100万円以下だった場合は、SW名義の全体がまるっとタダです。
これがハシノニノサン・ダイニコウです。
84の2の3第2項です。
ここまでがファーストステップです。

次に。
ここからが本題です。


Xが死にました。
Xの相続人は、Xの子A及びBです。
その後に
Aが死にました。
Aの相続人は、Bのみです。
相続財産は、甲土地のみです。
甲土地の価額は、金160万円です。
相続人間で遺産に関する協議は行われておりません。

<1件目>
所有権移転
年月日相続
相続人(被相続人X)
持分2分の1 A
持分2分の1 B(申請人)

<2件目>
【省略】

Aの承継分(価額金80万円分)については、84の2の3第1項で非課税となる。
そして、存命のBが納付すべき登録免許税についても、課税標準たる不動産の価額が80万円となるので、84の2の3第2項の適用を受けてタダになるのではないか。
結果、全体としてゼロ円になるのか。

なりません。
この考え方は、令和6年3月19日事務連絡により否定されました。

本条は、84の2の3「第2項」から検討します。なんと。
本件の課税価格=甲土地の価額は金160万円、つまり100万円オーバーです。
したがって、84の2の3第2項の適用はありません。

1,600,000 * 4 / 1,000 = 6,400
登録免許税額は、金6400円です。
ここで終わりません。

この金6400円のうち、Aの登記分の登録免許税額は、金3200円です。
6,400 * 1 / 2 = 3,200

この3200円分は、84の2の3「第1項」によりタダです。
6,400 - 3,200 = 3,200
本件で納付すべき登録免許税は金3200円です。
以上です。

これが2024年5月28日現在の租税特別措置法第84条の2の3第2項の適用の考え方です。
司法書士試験では出題されませんのでご安心ください。

合格してからウンウンと悩む部分です。

 

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