駅
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クリスマスソングが街を駆け抜け、誰もが何故か急かされながら過ごす そんな季節だった。
貴重な忘れ物を届ける為に向かった都心。
私の沿線と 彼女の行動距離を考えて 、待ち合わせをしたのは池袋。
家を出る時間と所要時間とを計算し、忙しい彼女のことも考え、駅ナカのあの階段の下…くらいの約束で….。
誰もが足早に通り過ぎる。
誰が何をやってるかなんて気にも止めない。
そんな場所。
コーヒーショップにでも入ればいいものを ほんの12〜3分待つだけだからと 立ったまま 待っていた。
…のに
降車駅を寝過ごしたと ライン
財布を忘れて家を出たと ライン
乗り換えを間違えたと ライン…
結局私は1時間以上 何もないその場所で 立ち尽くしていた。
あなたのことを考えていた。
ファジーな仕事柄のあなたに“会える?”って聞いたら 何て返事が返って来るだろう。
私の為に “時間”を作ってくれるだろうか…。
あっちのライン
こっちのライン…平行しながら、だんだん足が悲鳴を上げ始めた。
重い荷物。
座る場所も無くて。
もうすぐ着く…を散々繰り返され お店にも入れなくて。
私何をしに来たのかなぁ…
そんな思いで 苦笑い。
最初の約束の時間から2時間近く待たされ、ほんの30秒の会話で PCとUSBを渡した。
いつか あなたを誘った 美術展に 1人で向かった。
平日の夕刻は 美術館に行くには素敵な時間だった。
鳴り物入りのその絵画展でさえ 人はまばらで 時間をかけたい鑑賞も、独りになりたい想いも、叶えられた。
あなたはいない。
“ごめん”
そんな文字が 画面で揺れていた。
試したわけじゃない。
試したとすれば、それは あなたを ではなく、私を だったのだろう。
一緒に行こう と言ってくれたその美術展。
見逃したら オランダまで行くぞ!とさえ言ってくれた想い。
あの日 私が見たものは 光と影が織りなす 刻(とき)のポワンティエ。
キャンバスの向こう側にあった 自分の後ろ姿だったのかも知れない。
既に墜ちていたのだ。
あの日はもう
あなたに。
晴れた夜空に三日月が静かに微笑んでいた。
触れそうで触れない距離の金星。
煌めいていたはずのそれは 私には儚く滲んで観えていた。
新宿に移動して 楽しい女の子2人と美味しいお酒を少しだけ楽しんだ。
空を彩る星より 煌びやかな光で埋め尽くされた創造の街。
その夜 見上げた空の色を 私は忘れる事が出来ない。
大丈夫
ごめんね
ありがとう
気にしないで
頑張って…
そばにいるはずのあなた
あなたの腕の中にいるはずの私
それなのに
待っている 私
今でも
ずっとあなたを待っている。
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瞳
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抱き寄せながらふわりと包み
薄氷のような心を両手で掬い
膝の上で転がしながら 私を抱きしめていた
カシャリ カシャリと 音を発て
気づけば 全て脱がされていた鎧
誰にも見せたことのない 私の奥を撫で
一枚一枚 剥がすように転がし
何も纏わない私を抱いている
泣くことも 感情も
さらけ出して掬われて
真っ白な私を あなたは…
一糸纏わぬ私の 心の奥さえ裸にして
その指で 瞳で 撫でていく
無防備な私は 感じるままに 委ね
私も知らない私を見せられる
甘え方を知らない私を 子猫にした
泣き方を忘れた私の スイッチを外した
自分でさえ 狼狽えるほど
初めてみる私に途惑う
あなたの腕の中
感じるままに揺らされて
あなたの瞳に墜ちていく…
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こころ
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アメブロでブログを始めて12年になる。
何回か書いた事だけど、その頃はまだこのサイトはもっと硬派だった。
色んな表現者達は お互いを刺激し合いながら、時には 暑い討論を交わしながら 高め合っていたし、 日々のさりげない風景を綴る方々には 唸るような文章力を持った人がたくさんいた。
virtual故に この画面の中の世界は 私の心の中全て。
リアルでは 決して表に出すことの無い 弱い私も見せている。
それで 私の中のバランスを保って来たとも言える。
誰かの文章に励まされたり また 私の書いた文章が 意図もせず誰かを救ったり 不思議な空間の中で 心を抱きしめ会える 特別な居場所なのだ。
そして…
眠れない夜をやり過ごしながら スマホに手が伸び 開いた画面で 見つけたタイトル。
[ sara さんへ ]
一瞬 息が止まり 私の事……? よね?
めくったページには 私へのメッセージが綴られていた。
添付されていた とあるアーティストの曲。
折しも 私の好きなシンガソングライターだ。
流れて来たメロディー。 歌詞。
その方のメッセージを指で辿りながら ただただ 涙が止まらなかった。
今も この文章書きながら 涙は止まらない。
その方の 優しさと 今の私に降るように贈られた言葉と……。
ありがとう。
言葉にならないほど救われました。
ここ数日 悲しいことばかりで 泣いてばかりの日々だった。
色んな 気力 を失いかけていた。
また この世界の 素敵な方に 救われました。
ありがとう。
心から 感謝です。
ありがとう。
ありがとう。
まだまだ。
まだまだ この世界にいたい。
心から思った。
そして
ここには ちゃんと 心がある。
あたたかな 空間なのです。
sara.

