【番外④】二代目会長についての話 前編 | 元J民の色々考察ノート

元J民の色々考察ノート

思うがまま好き勝手に考察を書いていきます

エホバの証人が「天国に行く油注がれた144,000」人と「それ以外の大群衆」を切り分けて、

後者には、主の晩餐で「パンを食べ、ワインを飲む」という慣習を「守らせなくなった」のは

ものみの塔聖書冊子協会の二代目会長の時代です。

 

二代目の時代には

 

「エホバの証人」と言う組織名が採用され(※1)

世界には「エホバ​の​組織」​と「​サタン​の​組織」​の2種類しかないという見方が定着し(※2)

野外宣教への参加が全信者に求められ(※3)

国旗敬礼等が偶像礼拝に結びつけられ(※4)

クリスマスの祝いが否定され

キリストが磔にされたのは「十字架」ではなかったとされ

ほとんどの信者は天に召されることなく「大群衆」として地上で永遠に生きると言う

教えが採択されました。

 

(※1)エホバ​の​証人 ― 神​の​王国​を​ふれ告げる​人々 155P-156P

(※2)エホバ​の​証人 ― 神​の​王国​を​ふれ告げる​人々 78P-79P

(※3)エホバ​の​証人 ― 神​の​王国​を​ふれ告げる​人々 563P₋564P,637P-638P

(※4)エホバ​の​証人 ― 神​の​王国​を​ふれ告げる​人々 196P-197P 

 

こうしてみると、現在の「エホバの証人」という宗教を特徴づけている教義の大部分は、

二代目会長の体制下で作り上げられたものだと分かります。

 

というわけで、ここからは二代目会長についての考察を書き進めていきたいと思います。

 

 

断っておかなければならない点として、私は二代目の人間性が嫌いです。

そのような私情を持つ人間による考察なので主観的な評価も混じります。

 

ただ、直接的な面識のない故人の方を一方的に批評するというのも気が引けるので、

せめてもの礼儀として、実名は使わず「二代目」という言葉に代えさせて頂きます。

 

また、エホバの証人の公式の刊行物以外を源とする情報は、できるだけ出しません。

 

 

まずは、二代目の人格的な特徴について。

 

彼が新しい会長に就任した時の周囲の反応について、次のようなことが書かれています。

 

「C​・​T​・​ラッセル​と​J​・​F​・​ラザフォードは,全く​タイプ​の​違う​人​でし​た。性格​も​違え​ば,

経歴​も​違い​まし​た。中​に​は,こう​し​た​違い​を​受け入れ​にくい​と​感じ​た​人​も​い​まし​た。

その​よう​な​人​たち​は,『ラッセル​兄弟​の​代わり​を​務める』こと​など,だれ​に​も​でき​ない​と

​考え​て​い​まし​た。特に​本部​で​は,実際​に​ラザフォード​兄弟​に憤り​を​抱い​た​人々​も​少数​ながら​

い​まし​た。」

 

エホバ​の​証人 ― 神​の​王国​を​ふれ告げる​人々 66ページ

 

なぜ、初代との性格の違いを「受け入れにくい」と感じる人がいたのか。

 

初代会長C・T・ラッセルの人物像について、豪州支部の書記を勤めていた人物は、以下の

ような評価をしています。

 

​「私​は​ラッセル​兄弟​を​その​業​の​ため​だけ​で​なく,その​すばらしい​人格​ゆえに​愛し,(中略)

また,思いやり​の​ある,親切​で​愛情​深い​気質​を​称賛​し​て​き​た。(中略)この​非常​に​頼もしい

​人物​が​もはや​生き​て​は​い​ない​と​いう​こと​を​知る​と,寂しさ​を​感じる」

 

エホバ​の​証人 ― 神​の​王国​を​ふれ告げる​人々 624ページ

 

これはあくまで組織が公に出版した刊行物の中に出てくる人物評にすぎません・・・が、

初代会長を「思いやりのある」「親切で愛情深い気質」の「頼もしい人物」と見る評価が

書かれています。

 

次に、会長交代後、ある信者が二代目に対して書いた手紙のメッセージを紹介します。

 

「親愛​なる​兄弟,これ​から​申し上げる​事柄​を​誤解​なさら​ない​で​ください。

あなた​の​気質​と​親愛​なる​ラッセル​兄弟​の​気質​と​は​全く​異なっ​て​い​ます。多く​の​人,

そう,非常​に​多く​の​人​が​ラッセル​兄弟​の​人格​や​気質​など​の​ゆえに​彼​に​好感​を​抱き​まし​た。

彼​に​反対​する​人​は​全く​と​言っ​て​いい​ほど​い​ませ​ん​でし​た。

多く​の​人​は,ラッセル​兄弟​が​真理​だ​と​言う​から​と​いう,

ただ​それ​だけ​の​理由​で​真理​を​受け入れ​まし​た。(中略)

しかし,ラザフォード​兄弟あなた​の​気質​は​ラッセル​兄弟​の​気質​と​は​全く​異なっ​て​い​ます。

(中略)あなた​は​協会​の​業務​の​責任​者​に​任命​さ​れ​た​時​以来,不当​な​批判​や​最も​悪質​な​中傷​の​的​

と​なっ​て​こら​れ​まし​た。そう​し​た​批判​や​中傷​は​みな​兄弟​たち​から​の​もの​です。

主は,(中略)異なっ​た​気質​を​持つ​被​造物​を​業務​の​責任​者​に,いえ​むしろ​業,つまり​収穫​の​業​

の​責任​者​と​言う​べき​でしょ​う​が,その​よう​な​立場​に​任じ​られ​た​の​です」

 

エホバ​の​証人 ― 神​の​王国​を​ふれ告げる​人々 625-626ページ

 

このメッセージの全文を読めば、執筆者が二代目の擁護をしていることは分かるのですが、

非常に多くの人が好意を持つような人格・気質だったとされる初代会長とは真逆の性格

だったことも伝わってきてしまいます。

 

そんな二代目会長の気性の一端が垣間見えるエピソードとして、

ものみの塔1984年10月15日号に書かれている

元統治体のカール・F・クライン氏の体験談を挙げることができます。

 

ある時、彼は二代目から𠮟責を受けました。

次に二代目と会ったときは「心の傷がいえていなかったために(原文ママ)」

覇気がない返事をしてしまいました。

すると二代目その態度に激高して

気をつけろ!悪魔がおまえを捕らえようとしている!恫喝し、

慌てて弁解するクライン氏に、もう一度同じ言葉で脅しつけました。

 

もっとも、そんな二代目をクライン氏は心から敬愛していたようなので、

このエピソードひとつだけで二代目の人間性すべてを決めつけることはできません。

 

ただ、なんでこのやり取りをわざわざ公開したのだろう?というのは疑問に感じます。

 

このエピソードの直後に、クライン氏自身が

ある兄弟に対して恨みの気持ちを抱くと,

相手の兄弟が職務上言う権限のある事柄を述べていた場合にはなおのこと,

悪魔のわなにかかる危険に防備もなくさらされることになります。

と書いており、

 

「上の者に何を言われても不服に思うことすら許されざる罪」

と信者に念を押そうとしている組織側の思惑は伝わってくるのですが、

 

二代目が、部下が自分の厳しい言葉に傷ついて落ち込んでいる部下を見て

相手の気持ちも考えることなく、脅しつけて強引に態度を改めさせるような人間なのだという

イメージが先行してしまうんですよね。

そんな上司は珍しくないとしても、そんな人物像に対しては好感を持つ人はいないでしょう。

 

 

 

二代目の体制下の組織の性質を特徴づける要素としては、無責任な言動があります。

 

 

1920年代に「キリスト​教​以前​の​神​の​忠実​な​僕​たち​が​天​の​王国​の​君​なる​代表​者​と​し​て

​地上​で​奉仕​する​ため​に​復活​さ​せ​られる​」と​いう偽予言が提唱されたせいで、

信者達が「熱心​に​その​見込み​を​他​の​人​に​知らせ」てしまう事態が起きました。

 

エホバ​の​証人 ― 神​の​王国​を​ふれ告げる​人々 632‐633ページ

 

これが公式に提唱されたのは、

初代会長が掲げていた1914年の希望が壮大に空振ってから10年も経っていない時期です。

予告された時期に何も起こらなかったことでこれはまがい物だったことが証明されましたが、

心を改めるには至らなかったようで、

組織は1940年頃に「ハルマゲドンが数か月後に来る」などと吹聴して

性懲りもなく同じ失態を繰り返しています。

 

 

ここからは二代目「個人」だけの問題ではないのですが

 

無責任な言動」の中でも私が個人的に一番問題があると思うのは、

エホバの証人の活動の禁止に着手していたナチス・ドイツのヒトラー政権に対して

わざわざ刺激するような声明DMしたことです。

 

 

他の49の国々のエホバの証人たちは特別な大会を開き,

ヒトラーに次のような電報を送りました。

エホバの証人に対するあなたの政府の虐待ぶりは地上の善良な人々すべてに衝撃を与え,

神のみ名を辱めています。エホバの証人をこれ以上迫害するのをやめなさい。

さもなければ,神はあなたとあなたの党を滅ぼされるでしょう」。

これに対し,ナチスは即座に迫害を強化しました

ヒトラーは自ら,「このやからをドイツから根絶せよ!」と叫びました。

 

目覚めよ 1995年8月22日号 8ページ

 

 

わざわざエホバの証人が組織ぐるみでヒトラーを怒らせたことで、

現地にいる信者達に対する迫害は 当然 甚だしく激化しました。

 

描写が過激すぎるので詳しくは書きませんが、

 

「エホバ​の​証人 ― 神​の​王国​を​ふれ告げる​人々」660ページ-664ページには、

ドイツのみならず周辺諸国のエホバの証人達が次々と強制収容所に投獄され、

「あり​と​あらゆる​非常​に​残酷​で​サディスト​的​な(原文ママ)」拷問を受けたり

「命​を​落とし​た​人​は​何百​人​も​い」ることが詳細に書かれています。

 

エホバの証人をこれ以上迫害するのをやめなさい。

さもなければ,神はあなたとあなたの党を滅ぼされるでしょう

 

この声明文については、エホバの証人の刊行物の中で何度か取り上げられています。

 

 

私が不思議でしょうがないのは、なぜ組織

 

仲間を迫害している地域の政治指導者に対して

わざわざ安全地帯から挑発するような発言をした

 

という過去の事実を、まるで正しかった行動であるかのように語っているのか

という点です。

 

 

エホバの証人の組織みずから、その行動がアドルフ・ヒトラーを激怒させたと認めています。

そこからドイツ周辺国のエホバの証人の信者に対する迫害が非常に過激なものになったことも

エホバの証人の組織が刊行してきた様々な出版物が証明しています。

 

苦境に立たされている仲間を想う気持ちは間違いではありません。

でも、苦境の原因を作り出している権力者に対して遠方から「ちょっかいを出す」のは、

現地にいる信者達を更なる危険に晒してしまう「無責任な独善」ではないでしょうか?

 

さらに踏み込んで言えば、迫害の要因となったのは、二代目以降の組織の教義にあります。

迫害が始まった元々の理由は、「エホバの証人」という宗教に属していたこと自体ではなく、

信者達が「中立を求める命令」に従わなければならない立場だったためだと言えるでしょう。

もっとも、これは信者が自分で望んで選んだことかもしれませんが。

 

彼らの中立は第二次世界大戦中に特にドイツで厳しく試みられました。歴史家のブライアン・ダンはこう述べています。『エホバの証人はナチズムと相いれなかった。ナチが彼らに反対した理由の中でも特に重要だったのは,エホバの証人の政治的中立の立場であったそれは,信者であればだれも武器を取ることはできず,公職に就くことも,公の祝祭に参加することも,忠誠を表わすいかなるしぐさをすることもできないという意味であった』。(「大虐殺に対する教会の反応」,1986年)さらにポール・ジョンソンは自著「キリスト教の歴史」の中で,「多くの人々は兵役に就くことを拒否したため,死刑を宣告されるか……さもなくばダハウや精神病院で最期を遂げた」と書いています。ドイツでは,どれほど多くの証人たちが投獄されたのでしょうか。後にドイツのエホバの証人は,6,262人の証人が逮捕され,そのうち2,074人が強制収容所に送られたと発表しました。

 

エホバ​の​証人 ― 神​の​王国​を​ふれ告げる​人々 194ページ

 

 

現代のエホバの証人の組織も、同じようなことをしています。

 

近年、隣国ではエホバの証人の活動が禁止され、一部の信者達が刑務所に収監されています。

組織は「平和をよくることでられているたちをし,扱った」

遺憾の意を表明しています。(JW.ORG〝信仰ゆえに投獄される ロシア〟)

 

そんな隣国に対して、組織はどのような対応を取ったのか。

 

ものみの塔(研究用)2020年5月号によると、

 

エホバの民は強い迫害を受けても,

政府を転覆させたり政権交代を求める反対運動に加わったりはしません。

聖書の勧めに従い,「高い地位にいる人たち」について祈りを捧げます

 

と、自分達には敵意が無いように見せかけておいて、

 

同じ記事内で、ダニエル書11章で滅びることが確定している存在として描かれている

北の王」が隣国そのものだと断定しています。

 

その理由としては、ダニエル書11章41節に出てくる「美しい地」

エホバの民の活動(集会や伝道という形でエホバを崇拝することが含まれます)

指しており、そこに侵攻したから「北の王」なのだと主張しています。

自分たちを攻撃したから邪悪な存在だと言っているわけです。

 

隣国の未来については、

 

北の王が他の政府と共にエホバの民を攻撃する時,全能の神は激怒します。

こうしてハルマゲドンの戦いが始まります。

ハルマゲドンの戦いにより,北の王は,マゴグのゴグを構成する他の国々と共に,

終わりを迎えます。彼を助ける者は誰もいません」。

 

と、凄惨な末路を予告しています。

 

信者達を迫害している国に対するヘイトスピーチを

公式教義として数百万人の信者達に教え公式見解として世界中の人々に公開すると言うのは

敵意と言う炎にせっせとガソリンをくべるようなものだと思うんですが?まあ所詮は他人事だからな

 

隣国は人口の4割を正教会の信徒が占めており(もっと多いという資料もある)

大統領自身が同国の正教会と蜜月な関係にあると言われています。

 

エホバの証人の組織は自分達以外の宗教を「大いなるバビロン」の蔑称で呼び、

信者達に「彼女から出なさい」と呼び掛け続けるよう求めているわけですから、

ずっと喧嘩を売り続けてきたのはエホバの証人側のような気もするんですがね。

 

 

二代目会長の話に戻りますと、

ヒトラーに対する組織的な挑発には、当時の会長職である彼も関与していたと思われますが

彼自身はナチス政権の終焉を見ることなく、ヒトラーよりも3年以上早く亡くなりました。

 

さもなければ,神はあなたとあなたの党を滅ぼされるでしょう(キリッ

 

 

 

二代目会長および彼の体制下の組織の性格・特質についての話題はここまでにして、

次の記事では、彼がどのような方針を打ち出し、どのような教義を広めたのかについて

紹介していきたいと思います。