数週間前
4時間遅れの飛行機で帰ってくる
中学生の息子を
空港まで迎えに行った。
自宅までの交通手段がなくなるから。
夜更けの高速道路。
小雨。
久しぶりの
一人
夜のドライブ。
単調に繰り返す
ワイパーのモーター音
高架の継ぎ目を踏む振動。
カーブに沿った黄色いネオンの点滅。
工業地帯の青白い灯りの群れ。
小さくなる追越車線のテールランプ。
「こんなに美しかったかな」
闇と静寂の中
ただ息子一人をめざして
気持ちを走らせている。
「こんなに愛おしかったかな」
脳裏に
ふと
地球が。
わずかな緑の陸地
渦巻く白い雲
大きな青い海。
闇の中にぽつんと浮かんでいる。
若くて健気に
なんて愛おしい。
両掌で包んで守りたい。
しばらくその光景を眺めていると
「地球に来た理由がわからない」
と心がつぶやいた。
息子をピックアップして
不思議な出来事を
反芻しながら
宇宙を突っ走った帰路。
失職直後の
何十年振りかの'リラックス'。
今日もありがとうございます。