アニメ【チ。地球の運動について】 第21話「時代は変わる」あらすじと感想 | 占いworld♡エンタメ部

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騎士団に止められたシュミットたち。鋳造職人としての証明書を見せ、通過できそうになりますが、布を求める騎士が馬車の中に入ろうとしてピンチに。ドゥラカが首に巻いていた布を提供することでどうにか難を逃れ、再び馬車で走り出します。ドゥラカへ感謝するシュミットにドゥラカは語ります。ヨレンタからもらった頭巾をかぶって。

 

ここで終わったら、ヨレンタさんの感動も死ぬ。あなたたちが感動を情として切り捨てるなら、私が拾う。あなたたちの未来にはヨレンタさんの目的はあっても、記憶がない。あなたたちがヨレンタさんの計画を引き継ぐなら、私はヨレンタさんの想いを引き継ぐ。

 

いつの間に組織長に情が入ったのかと聞くシュミット。ドゥラカは答えます。「知らない。手紙を出すって約束しちゃったから」

 

これ、前回20話のシュミットがヨレンタに聞いた「(ドゥラカを)消しますか?」にヨレンタが返した「印刷機貸すって約束しちゃったから」に対応してますね。

 

拠点に到着したシュミットたち。

 

 

シュミットたちを待っていたボルコにドゥラカのことを聞かれたシュミット。

 

シュミット「協力者だ。彼女が原本を燃やした。だから現状彼女しか本の内容を知らない。そして、その内容を教えることを引き換えに印刷機を貸す約束をした。また先日、窮地を救ってくれたこともある。以上が彼女の概要だ」

 

ボルコの「信用できるのか?」の問いに「現状、信用する他ない」と答えるシュミット。

 

シュミットは印刷機を前に、組織長ヨレンタが死んだことを皆に伝えます。

 

シュミット「我々の組織理念とは何か。この世界の風通しをよくすることだ。既存秩序と対峙し、新たな地平を次世代に広げることだ。そのためにどうするか。どんな雄弁も語りを止めれば、声は消える。どんな支柱も時が経てば、いつかは朽ちる。皆死ぬ。万物は流転する。だが我々は方法を知った。信念を固定化し、思想を可視化し、瞬間を永遠に。今を遠い場所へ。遥かな未来へ。または別の誰かのところへ。届くようにする方法を。この方法は強烈だ。既存秩序を破壊し、階級を解体する力を持つ。我々はそれを実行する。これより、出版活動を開始する!」

 

組織理念と理念の実行のための出版活動。シュミットのこの台詞は、とても風の時代的、水瓶座時代らしい言葉だと感じました。

 

思い切り話を飛ばしますが、スーパーでの買い物時、BGMに「チ。」主題曲サカナクションの「怪獣」のメロディが聞こえてきて何故か妙な感動を覚えました。この主題曲は歌詞がとても感慨深いので、メロディだけなのが残念でしたが、「チ。」を知らない全ての人に聞いて欲しいなぁとか思ったりして。

 

活版を組む作業が始まります。

 

ボルコ「記念すべき1ページ目、本のタイトルは?」

シュミット「地球の運動について」

 

 

ドゥラカが発言します。「ヨレンタさんって解放戦線の組織長として名前は知れてないですよね?発行人として、表紙に名前を組むのはどう?」

 

ドゥラカの提案に皆も了承し、早速、取りかかろうとしますが、活字の一部が壊れていました。『N』は全滅。街で鉛を入手する必要があるため、作業は一時中断することになります。その時、ドゥラカは父の形見のお金を差し出します。

 

ドゥラカ「これは鉛銭だから、溶かせば使えない?」

 

ドゥラカのお金を利用することで、作業が開始されます。

 

作業が順調に進み、あと数日で輸送に移れるようになった夕方。夕日を見るシュミット。馬の見張り番をしていたフライの足元は血で汚れていました。

 

フライ「しつこいようですが、確認させてください。この任務は我が組織にとって最重要と言ってもいい計画でしたよね。この場所は組織長が命と引き換えに隠した。だからここがバレたら、大惨事ですよね。それとここにいた馬たちは唯一の移動手段でした」

 

フライにより剣で殺された馬たち。シュミットに襲いかかるフライ。格闘の末、シュミットはフライの喉元に剣を突き立てます。

 

フライ「どうぞとどめを。数十分もすれば、騎士団が来る。印刷機を移動させる時間もない。こっちの勝ちは確定だ」

シュミット「何故、裏切った?誰の命令だ?どこに仕えてる」

フライ「どこにも。強いて言うなら、神と正義かな。俺はな、ずっと憎かったんだ。貴様らみたいな異端のクズどもがな!」

シュミット「君も私とともに、何人もの騎士団を殺した。共犯だぞ」

フライ「信念のため、必要な犠牲だ。貴様らを消す。それが物心ついた時からの俺の信念だ!迷いなどない!」

シュミット「信念を達成するにはツメが甘かったな。白状するのが早すぎじゃないか?騎士団が到着してからでなければ、我々はまだ逃げられる。確実には殺せないぞ」

フライ「わかってないな。これは慈悲だよ。時間をあげてるんだ。自分の浅はかさを理解する時間。絶望する時間。そして、改心する時間を。さぁ、まだ救いはあるぞ。この模範教徒の俺が特別に聞き届けてやる。だから言え!貴様らのコケにした教会正統派は間違ってませんと!この俺に言え!」

 

 

フライに剣を突き刺すシュミット。いまわの際に差し出されたフライの拳。幼き日の回想。燃やされる十字架、父が斬られ、母が自分を逃すために殴られる光景。子供が首に下げていた十字架を、死に際のフライが掲げている。それは幻影。この記憶はシュミットではなくフライのものだったのか?シュミットの記憶だとばかり思っていた。そういえばフライは、父親を殺し、多分母親も殺した叔父さんに似てる。

 

フライはスパイだった。けれど教会側のスパイではなく、フライ個人の信念でやっていたってことなんだね。父母を殺した異端者の叔父と村への復讐でもあるのかも。だから犠牲を厭わず、異端を消そうとした。原作を読んでいたにも関わらず、フライ裏切りの件は何故かすっかり私の頭から抜け落ちてました。何故だ?

 

レヴァンドロフスキより騎士団の接近の報告があり、シュミットはフライの裏切りを皆に伝えます。モールドと原本は埋めて隠した。問題は印刷機。しかし、敵はすぐそこに迫っていて、逃げる手段の馬がない。この拠点は視界が開けていて、逃げたとしてもすぐバレる。最悪全員死ぬ。皆バラバラに逃げ、運よく逃げ切れた者が一から立て直す選択肢しかない。

 

ドゥラカ「いや、ふたつだ。出版するにはもうひとつ選択肢がある。みんなで協力して私を逃がすって選択」

シュミット「どういうことだ?」

ドゥラカ「作戦を説明します」

 

ドゥラカ「私は教会じゃなく彼個人と話しに行く。馬を奪えば数時間で行ける」

レヴァンドロフスキ「不可能だ!」

ドゥラカ「不可能なんて存在しない!とくに人の心に関しては」

 

 

ドゥラカ「私は神を信じていない。あなたたちはそれを拒絶するかもしれないけど、だからこそ見える景色もある。時代は変わる。いや、変わらざるを得ない。私ならそこを突ける。彼を説得できる」

 

あんたを逃がすためにあんた以外が死ぬってわかって言ってるんだろうな、とのレヴァンドロフスキの言葉に答えるドゥラカ。もちろん。でも出版する。それがこの組織の目的でしょ?だから選択肢はふたつ。偶然の数人か、選んだひとりか。

 

説得成功の根拠がなさすぎると主張するシュミット。しかし、ドゥラカ以外の数人が逃げきれても、その先で印刷機を手に入れ、出版、流通までこぎつける可能性も非常に低い。

 

「どうする?隊長」の声がかかる中、ドゥラカは言います。

 

ドゥラカ「私は、こういう行き詰った時のいい方法を知ってる。神に聞きましょう。(コインを取り出し)表ならみんなで逃げる。裏なら私を逃がす。では、行きます」

シュミット「待て。君は、このやり方で決めていいのか?」

ドゥラカ「はい」

 

出たのは表。「みんなで逃げよう」皆が外へはける中、コインを裏返すシュミット。

 

シュミット「君が逃げろ。我々が守る」

 

 

シュミット「皆聞いてたか?」

レヴァンドロフスキ「隊長、それは提案ですか?」

シュミット「命令だ」

レヴァンドロフスキ「了解」

 

すご~く気になっているんですが、ドゥラカが説得しようとしている人物とはもしかしてアントニ?もしそうなら、説得は無理だと思う。アントニは信仰者ではないので、儲け話に乗る可能性はある。でも、地動説の出版は教会の権威を根底から崩すもの。教会権威の存続を己の利益の基盤と考えてるであろうアントニが受け入れるとは到底思えない。

 

今回はフライの裏切りが胸に堪えました。裏切りなんだけれど、信念の元に命を賭けてやったと思うと、単に裏切者として断罪できるのか、と思った。善悪、正誤で片付けられない気がするのです。「チ。」はこのフライやノヴァクのように、地動説を受け継ぐ人々の敵であっても、信念の元に生き、行動している。改めて、信念のストーリーなんだなぁと感じました。ということで、第21話のあらすじと感想を終わります。