アニメ【烏は主を選ばない】 第11話「忠臣」感想・雪哉が朝廷を嫌う理由 | 占いworld♡エンタメ部

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12年前の垂氷郷。継母梓に抱かれ眠る雪哉。年齢は2歳くらい。中央の宮烏たちは北家姫の子である雪哉を中央で育てると父雪正に迫ります。宮烏に運ばれる中で目覚める雪哉。火がついたように泣きわめき母の梓を呼び求めます。梓は「雪哉は私が育てます」と雪哉を我が手に取り戻します。宮烏の「跡目争いになるぞ!」との言葉にも毅然として雪哉を離そうとはしませんでした。

 

雪哉の回想として描かれていますが、前回の最後に雪哉がつぶやいた次のセリフの大元とも言えるシーンかと思います。

 

雪哉「そうですよね。欲しかったのは僕じゃない。北家の血だ」

 

明鏡院座敷。

 

路近「二人とも出て行ってしまったぞ。いったい雪哉は何を怒ってるんだ」

長束「やってしまった。つい興奮して。雪哉に出自の話は鬼門だと奈月彦から聞いていたのに」

路近「そう言えば、自分だけ母親が違うとか言ってましたなぁ」

長束「雪哉を生んだのは北家の姫だが、兄と弟は今の育ての母の子だ。つまり嫡子である兄よりも弟の雪哉の方が上位の血筋を持っているのだ」

路近「なるほど。それは周りがほっておかん。しかし、どこかで聞いたような話ですな」

 

長束さま、若宮から雪哉の出自は鬼門と聞いてるのにダメじゃない!でもうっかりやらかしちゃって、しょげているところが可愛いです♡

 

若宮と雪哉。雪哉が北家当主の孫であることを知って利用しようとしていたと、若宮に不信感を募らせる雪哉。

 

雪哉「僕を使って何を企んでたんです?」

若宮「北家との橋渡しだ。私たちは味方を必要としていた。四家の中で最も危険が少なく手堅いのは北家だったから」

 

そもそも長束が北家を訪れたのもぼんくらの噂があった雪哉を見定めるため。長束は雪哉に会い期待以上の人材と判断、中央に呼ぶこととなった。

 

雪哉「最初から僕を引き込む計画だったんですね。和麻呂のことがあってもなくても」

若宮「そうだ」

雪哉「垂氷から離れることは僕が死ぬほど嫌がってたって、あんた知ってましたよね。なのに僕を連れてきた。あんたたちの都合で。ただ北家当主の孫という理由で」

若宮「そうだ」

雪哉「あんたみたいな奴らに僕の家族はどれだけ苦しめられて」

 

雪哉が一番大切にしているのは垂氷の家族。ぼんくらを装うのも余計な騒動を起こさないため。母梓は器の大きい素晴らしい人で、雪哉は誰よりも尊敬しています。

 

 

北家の姫が垂氷郷郷長雪正の妻になったのは、姫が病弱で長く生きられないことを不憫に思った北家当主が、雪正に頼んで嫁いだことに始まります。雪哉を生み、姫は亡くなりますが、梓は雪哉を実の息子として愛情を注ぎ育てていくのです。賢い雪哉はそれがどれほど貴重なことかをよく理解していて、垂氷の家族を愛し、次男坊として垂氷に骨を埋めるつもりでいる。雪哉にとって北家の血など「くそくらえ」くらいのものなんでしょう。そして若宮がかつて自分にかけた言葉を回想する雪哉。

 

若宮『お前が全力か全力でないか、そんなことに興味はない。要は私の役に立つかどうかだ』

若宮『私は無能だし、うつけと呼ばれても仕方ないと思っている。だけどね雪哉。これでも人を見る目は確かなつもりだよ。お前は絶対に私を裏切らない。なぜなら私がお前に寄せた信頼以上にお前にとって価値あるものを敵が用意できると思えないからだ』

 

この若宮の言葉を聞いた雪哉は、若宮がまっすぐ自分自身を見てくれたと感じたのだと思います。出自や身分でなく、ただの地方貴族の次男坊雪哉として見てくれていたと思っていた。でも。

 

雪哉「なんなんだよ。それらしいこと言っちゃって。結局誰でもよかったんじゃないか。別に僕でなくたって。北家の血筋でさえあれば」

 

路近が現れ、北家の血は否定しようのない事実と雪哉に言いますが「そんなことわかってますよ!でも、僕はそれを利用されて平気でいられるほど図太くはないんです!」と雪哉は言い返します。

 

雪哉「あなたこそ汚れ役ばかりやらされて周りから憎まれてる。長束様にいいように利用されて悔しくないんですか?」

路近「私か?利用価値があるなら喜ばしい」

 

雪哉は、路近に無理やり敦房の元に連れて行かれます。

 

雪哉「あなたは最初から若宮を金烏にするつもりはなかったんですね?」

 

雪哉の問いに、全ては自分の独断でやったことで長束様はいっさい関係ないと言う敦房。「長束様ご自身も金烏になることを望んでいるとそう考えていたんでしょう?そんなあなたを長束様は利用したんだ。その忠誠心を。あたかも自分が若宮と敵対していると見せかけるために。その結果あなたはあんなことを」と言う雪哉。

 

信じていた主に裏切られたことを怒っていいと言う雪哉に敦房は「長束様は関係ありません」と繰り返します。

 

 

敦房「私は失敗したけれど、いずれ皇后さまが必ず若宮を殺すでしょう。そして母親に楯突くという過ちを冒した長束様を皇后様は広いお心でお許しになり、金烏の座におつけになる。山内中の八咫烏が凛々しい金烏を祝福することでしょう。歓声が聞こえるようです。そばにいるのはお世継ぎを胸に抱いた撫子様。そして、あぁ本当なら長束様のおそばには常にこの私がいるはずだったのに。それはもう叶わないけれど、いつか長束様も懐かしく思い出すことでしょう。自分のために命を投げうった真に得難い忠臣がそばにいたことを。その名を敦房と」

 

 

雪哉「忠臣なんかじゃない。あんたは夢を見ているだけだ。自分の見たい夢を」

 

しがない貧乏貴族だった敦房が長束の目にとまり、引き立ててもらえるきっかけは敦房の叔母が南家当主融に嫁いだことでした。撫子は敦房の従妹なので、長束が金烏となり撫子が世継ぎを生めば、自分の血統が宗家に入ることになる。だから敦房は長束を金烏にしたかった。要は敦房自身の欲望を果たすための長束への忠誠なのですが、その自分が描く理想が長束様のためだと心から思い込んでいるのです。

 

若宮「もし撫子が金烏の后になれば自分の血筋も宗家に連なるものとして扱われる。しかし南家は撫子を登殿させず、代わりに送り込んだ浜木綿は私の暗殺を果たせぬまま逃走」

雪哉「残る手は自分で若宮を殺すこと」

若宮「おそらく皇后の入知恵があったのだろう。あのお方はそういう方面に恐ろしく鼻が利くから」

雪哉「結局誰でもよかったんだ敦房は。長束様でなくても。夢を叶えてくれる主なら誰でも」

若宮「路近が言っていたよ。元は敦房も生真面目で家族思いの普通の青年に過ぎなかったと」

雪哉「何なんだ朝廷って!」

若宮「敦房は氷山の一角だ。朝廷では正気を保つのも容易ではない。そういうところだ。そんな場所をお前が嫌うのは分かっている。そして私が未だお前の信頼を得ていないことも。それでも雪哉。私はお前が必要だ。程なく私は名実ともに金烏となる。ここに残り、私を助けて欲しい。今度はお前自身の意志で」

雪哉「約束通り、春までは近習として仕えます。だからそれまで返事は待ってもらえますか?」

若宮「わかった」

 

秋と冬が過ぎ、春の桜花宮。宴の場に鳥形の姿を見せる若宮。続いて雪哉も鳥形で飛んできて人形に変化し宣言します。

 

雪哉「姫君ならびに女房の皆様方。お待たせいたしました。今から若宮殿下が后をお選びになります」

 

 

次回予告のナレーションに「若宮殿下の后選びが始まる。闇に隠された真実を残して」とありました。そうですよ、まだ早桃の死亡事件が解明されていません。桜花宮の斬首された侵入者についても。そして若宮は后を誰に選ぶのか。公式サイトを覗くと白珠が指名され、となっていますが、そこは「烏は主を選ばない」です。軽く予想を超えてきますので、楽しみですね。で、次回が最終回ということなのでしょうけど、NHKで放映されてる作品なので、いったん終了したとしても「キングダム」や「進撃の巨人」みたいに第2、第3シーズンと続くものと信じてるのですがいいですか?これでおしまいってことないですよね?

 

このアニメがあまりに面白かったので、原作の八咫烏シリーズ6巻「弥栄の烏」まで読み進めております。最初、ジャンル的にはライトノベルなのかと思ってたのですが、「烏に単は似合わない」で松本清張賞、八咫烏シリーズで吉川英治文学賞を受賞しているライトノベルに収まらない作品なんですね。「十二国記」を彷彿とさせるものがあると思います。「十二国記」も未作成部分を現在版のアニメにしてくれたら凄く嬉しいのですが。もちろん最初から制作してくれたらもっと嬉しい。

 

八咫烏シリーズは話が進むに連れ、だんだん深刻になってくる感があるんです。それと八咫烏を題材にしているので、日本神話とかの関連はないの?と当初思っていたのですが、後にその辺のことも出てきます。と言うことでアニメ第11話の感想を終わりたいと思います。