アニメ【烏は主を選ばない】 第10話「若宮暗殺」感想・長束側近敦房の正体 | 占いworld♡エンタメ部

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明鏡院。長束に『路近の解任』を迫る敦房。

 

敦房「あの男はあなた様の望む山内の安寧などどうでもいいのです。あなた様を金烏にまつりあげ、一番の功労者として賞賛を浴びる。それしか頭にないのです。全て長束様のためでございます。私の進言をお受入れください。私を信じ、私の言葉だけをお聞き入れくださいますよう」

 

 

敦房が斬られたことを澄尾から知らされた若宮と雪哉。敦房が若宮に直接伝えたいことがあると聞き、若宮は花街まで敦房に会いに行くことに。

 

 

花街哨月楼。雪哉は部屋の外で待つように若宮に言われ、若宮と澄尾の二人で敦房が臥す部屋へ入ります。敦房は肩から脇腹に渡って斬られたらしく、かなりの出血の様子。敦房は『長束様は今や私に耳を貸して下さいません。私の亡き後も長束様をお守りくださいましたら、あなた様に真に仇なす敵の名をお教えします』と息も絶え絶えに若宮に訴えます。若宮の「言われずとも兄上はお助けするつもりだ」の言葉に、敦房は敵の名を言おうとして、気を失います。

 

 

若宮の身体に異変が。澄尾は既に意識を失っています。室内には香が焚かれており、若宮はその香が伽乱であることに気づきますが、そのまま倒れてしまいます。その後に起き上がる敦房。

 

敦房「ようやく効いたか。多少の耐性はつけていたようだな」

 

敦房の出血は懐に入れていた鶏の血。敦房の配下が現れ、敦房は倒れている若宮に針を刺すことを命令しますが、ここで敦房は廊下で控えているはずの雪哉がいないことに気づき、配下に雪哉を追わせます。必死に逃げる雪哉。

 

人がよさそうに見えた敦房の正体がここで明らかになりました。すっかり騙されましたよ。最初、私は敦房のこといい人だと思ってましたもの。少なくともこんな企みを画策する人とは露ほども気づきませんでした。冒頭、長束に路近の解任を迫った折に「私の言葉だけをお聞き入れくださいますよう」と言っていましたが、このセリフが敦房の本音と長束への忠誠の限界を漏らしているように感じます。

 

逃走しながら懸命に考える雪哉。若宮が命を預けることができる味方が誰なのかを以前に聞いておかなかったことを悔やみます。絶体絶命で頼る相手に確信が持てない中、一か八かに賭けることに。

 

雪哉に逃げられた敦房は配下に若宮に針を刺すよう命じますが、若宮はその手を阻止。後ろ手に縛られた縄を切り、剣を手にします。

 

若宮「私をたばかったな。敦房」

敦房「あなたが悪いのですよ、殿下。綺麗な身体であの世にお送りして差し上げるはずでしたのに」

 

配下に若宮の殺害をまかせ、敦房は退出していきます。まだ思うように身体を動かすことができない若宮。応戦中、敦房が投げ出した鶏の死骸に足をとられ、危うく斬られるところに助太刀が現れます。

 

若宮と澄尾の無事な姿に安堵する雪哉。そして長束。長束様、今までとの雰囲気が全然違うではないですか。お兄様モード全開ですよ!

 

 

明鏡院。

 

路近「やはり山内衆を抱き込んで若宮殿下の暗殺を企んでいたようです」

長束「そなたの内偵通りか」

路近「敦房本人はだんまりですが、雑魚はよくしゃべる。元々は殿下が花街を訪れた時を狙って火事の煙にまかれて死んだように見せる計画だったとか」

 

若宮の命を助けたのは路近。そして明鏡院の僧兵たち。雪哉が必死に助けを求めたのは明鏡院でした。

 

雪哉「そろそろ種明かしをしてもらえませんか?」

 

若宮は語ります。理解者で応援してくれる存在が長束で、若宮の安全のため山内の外に遊学させ、若宮が戻った後は長束派として若宮の敵対勢力を束ね、監視と粛清を行ったと。

 

雪哉「長束様ご自身は金烏になろうと思ったことは一度もなかったのですか?」

長束「私は宗家だぞ。そもそも宗家は金烏を守るためにあるのだ」

 

出身家ばかり優遇する皇后、皇后にも政にも興味のない今上陛下。このままでは四家の均衡が崩れ、いずれ戦になる。弟の若宮が真の金烏として誕生したのは偶然ではなく意味があるのだと言う長束。

 

赤ん坊の若宮を抱くお子さま長束と、手をつなぐ子供姿の兄弟に胸がキュンとしました。子供時代の想い出とか、絆とか、こうゆうのにめっちゃ弱いんです。幼少期にどう過ごしたか、どのような関係性だったのかは凄く重要だと思うのです。その後の人生を決定づける位には。

 

若宮と対立関係の長束に決死の助けを求めた雪哉を長束は賞賛し、若宮が金烏になったあかつきには側近として支えて欲しいと力強く語りかけます。地方貴族の次男坊にすぎない自分には側近なんて務まらないと固辞する雪哉に長束は、雪哉が『北家当主の孫。文句のつけようもない一流の血筋じゃないか』と言うのでした。

 

雪哉「そうですよね。欲しかったのは僕じゃない。北家の血だ」

 

そう言って部屋を退出し、庭に佇む雪哉に若宮が「雪哉」と声をかけます。雪哉が振り返ったところで、第10話は終了です。

 

長束様には悪気はない。宗家の長男として生まれ、宗家で育った彼にはおそらく雪哉の心境には理解が及ばないのだと思います。生粋のサラブレットゆえの発想の限界というか、多分良くも悪くも血統重視なのはデフォルトで、それに何の疑いも持っていない。一方、若宮は側室の子で金烏として生まれ、常に命の危険にさらされてきた。外の世界も遊学で知り、広い視野を獲得できたのだと思います。真の金烏であることも大きいでしょうし、雪哉と共に過ごした時間もある。長束がわかりようもない雪哉の抱える葛藤も全てとはいかなくても察しているのだと思いますし、そのように描写されていると感じました。でもね、聡明でも所詮お坊ちゃまな長束様が私は好きです(笑) 敦房の言うように長束様には山内の安寧のためにという揺るぎない誠実さがあるからです。

 

次回第11話「忠臣」の予告で「忠誠とは誰のための言い訳か」とのフレーズがありました。敦房の長束に対する忠誠の本音が語られるのだと思われます。そして彼の発言に対する雪哉の反応は?ということで、第10話「若宮暗殺」の感想を終わりたいと思います。