【陳情令】第20話「邪を呼ぶ笛の音」感想・魏無羨の帰還と忘羨心の隔たり | 占いworld♡エンタメ部

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夷陵監察寮の温晁と王霊嬌。笛の音が響き、各々が幻に苛まれています。笛を吹くのは所在不明だった魏無羨/魏嬰。

一方、藍湛と江澄は夷陵の監察寮に到着。怪死した温氏配下の累々たる亡骸と邪を招く護符を目撃します。王霊嬌は首を吊り自害していました。

地下牢には温情が繋がれていました。江澄は温氏と縁を切ってくれれば、と言いかけます。温情は「私には守るべき人がいる。私ひとりだけでなく十数人の命を守れる?」と返答します。江澄はかつて彩衣鎮で買った櫛を温情に渡し、何かあれば頼って欲しいと温情に告げるのでした。

この江澄の温情への恋心設定なんですが、これがあることで後の魏嬰との対比がより明確になったのではないでしょうか。温情は自分だけでなく、温寧や一族も守れる?と聞いていますが、これは江澄の器の大きさを問われているように感じます。ただ、江澄を擁護する訳ではないですが、江澄には江澄の優先順位がある。魏嬰とは立場が違います。江家宗主の彼にとっては射日の征戦の勝利と同じあるいはそれ以上に江家再興が最大の責務。温情は助けたい。温寧も(この時点では)なんとかなるかもしれない。でも一族全員までになると今の情勢では難しい、いや無理かも、みたいな感じになってしまうんだろうなぁ、という気がします。


藍湛と江澄は逃げた温晁と温逐流を追い、岐山へ。道中、怪死している温家配下の亡骸に遭遇します。ちょうどその折に温晁と温逐流が雲夢の宿にいるとの情報を得て、雲夢へ行先を変えるのでした。

温晁と温逐流の様子を宿の屋根から伺う藍湛と江澄。温晁は髪が抜け、肌は焼け爛れ、見るも無残な有様。風の音を笛の音と思い、恐れおののく温晁。藍湛と江澄が見守る中、行方知れずだった魏嬰が温晁と温逐流の前に現れます。

 


笛を吹く魏嬰。赤い衣の死霊(?)が現れ、温晁を攻撃。温逐流が魏嬰の首を絞めようとした時、藍湛と江澄が加勢に入り、江澄は温逐流の首を紫電で絞め、温逐流は息絶えます。

魏嬰に随便を渡し、再会を喜ぶ江澄。蚊帳の外的風情の藍湛。

 

 

江澄「この三月怖かった。教化司を襲った時に温氏の奴らが言っていた。お前は乱葬崗に捨てられたと」
魏嬰「俺が乱葬崗に捨てられたら生きてここにいられるか?」
江澄「それもそうだ。あそこからは生きては戻れない」

 

そして、これまで口を開かなかった藍湛がようやく魏嬰に話しかけます。

 

 

藍湛「魏嬰」

 

 

魏嬰「二の若様。あぁ、違うな。含光君だった」
 

これまでの魏嬰とは全く異なる受け答え方。とても冷え冷えとしてる。以前はこんな呼び方していなかった。

 

 

藍湛「温氏の門弟たちを殺したのもお前か」
魏嬰「だったら何だ」
江澄「夷陵の護符にも書き足したのか?」
藍湛「どんな方法を使って殺したんだ」
江澄「それはどういう意味だ?」
藍湛「なぜ剣を使わずに他の方法で?」
 

 

藍湛「答えろ」
魏嬰「もし答えなかったらどうする?」
 

 

魏嬰「藍湛。再会したばかりなのにそんな風に問い詰めるのは感心しない。玄武洞で別れてから数カ月は経つ。戦友との絆を忘れたとしても、さすがにつれないんじゃないか」
藍湛「答えろ」
魏嬰「言ったって信じないだろ?それに簡単には説明できない」
藍湛「では姑蘇に戻ってゆっくり聞かせてもらう」
魏嬰「姑蘇?掟が3千条もあるあの場所か。嫌だね。雲夢の方が好きだ」
藍湛「魏嬰。ごまかすつもりか」

 

 

魏嬰「藍湛。何が言いたいんだ?」
藍湛「魏嬰。邪道を修めればいずれ代償を伴う。古より例外はない。身体も心も蝕まれる」
魏嬰「邪道だって?二の若君。他人の霊識は奪っていない。それがなぜ邪道になる?護符を使い、笛を奏でた。それが邪道なのか?邪道だったとしても、どれだけ身体が蝕まれるか俺が一番わかる。心については主である俺が判断することだ」
藍湛「自分では制御できないこともある!」
魏嬰「俺の心のありようなんて他人は知りようがない。関係がないことだ」
藍湛「魏無羨!」
魏嬰「藍忘機。どうしてそう俺にくってかかろうとする?何様だ。姑蘇藍氏なら許されると思うな。俺が素直に従うとでも?」
江澄「二の若君。温氏討伐は今が正念場だ。姑蘇藍氏がそこまで干渉する必要はない。あえて言わせてもらうが、追及するにしても姑蘇藍氏の出る幕ではないし、連れていくにしてもお前ではない」

 

この後、意識を取り戻した温晁が命乞いをします。魏嬰の「二の若君。これは雲夢江氏の問題だ。どうぞ、お帰りを」の言葉に、藍湛はその場から振り返ることもなく立ち去るのでした。

 

暮渓山洞窟からどんなに長くても4ヶ月は経っていないと思うのですが、魏嬰の変貌が激しく、藍湛と全く相容れない状態になっています。蓮花塢の殲滅に始まり、金丹を体内から取り出してからの乱葬崗。短期間に魏嬰は壮絶な体験をしているので、無理もないというか、変わらないでいられる訳はないのかなと思います。

 

乱葬崗での3か月は他の媒体でもほとんど語られていないですが、怨念と3か月も一緒に暮らしたことが魏嬰を変貌させるのに多大な影響を与えているのかもしれません。それまで乱葬崗から帰った前例がなかったことを考えても、とても言葉にできない経験をしてきたのだと予想されます。

 

藍湛は必死のあまり、詰め寄る形になっていたのかなとも思いました。一方の魏嬰は、藍湛に拒絶的な態度なんですけれど、色気と底知れぬ感じがあって非常に恰好がいいですね。夷陵老祖様!という印象です。

 

私が思うに、陳情令の藍湛には第6話「志の継承」で登場した藍翼のことも念頭にあるのでは、という気がしてなりません。藍翼は藍家のため陰鉄の力を利用しようとして失敗しました。寒潭洞で彼女は「同じ轍を踏まないで」とも言っており、藍湛の心配はMAXなのだと思います。魏嬰が剣を使わないのではなく、使えないことを知る由もないですしね。

 

魏嬰に「お帰りを」と言われ、藍湛が監察寮の門をくぐった時に聞こえてきた温晁の断末魔の声。そして、先ほど魏嬰に言われた「藍忘機。どうしてそう俺にくってかかろうとする?何様だ。姑蘇藍氏なら許されると思うな」を反芻する藍湛の表情が切ないです(画像がないので、是非直接本編をご覧ください)

 

ということで、ようやく再会した忘羨ですが、外的要因で距離が遠ざかった感があるのがとても悲しいです。ただ、これを機に藍湛の気持ちはますます魏嬰へ向かっていくことになるのでしょうね。一方の魏嬰には次々と問題が引き寄せられていくので、目の前のことをその都度対処していくしかないのだろうな。ということで、第20話の感想を終わりたいと思います。