【不動宮太陽考察】 蠍座(魏嬰、江澄、金凌)水瓶座(藍湛)前編 | 占いworld♡エンタメ部

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占星術の12星座は3つの区分である活動宮、不動宮、柔軟宮に分けられます。区分により行動パターンが異なり、活動宮は物事を始め、不動宮は継続し安定させ、柔軟宮は変化順応し次の開始に向けて完了する働きがあります。

 

ここで取り上げる魔道祖師の登場人物は蠍座の魏嬰、江澄、金凌と水瓶座の藍湛の4名。主役と主役に次ぐ主要な人物たちです。

 

不動宮の星座は牡牛座、獅子座、蠍座、水瓶座です。占星術では季節のピークとして捉え、暦の四立に対応します。暦との関連については↓の記事で触れておりますので、よろしければご覧ください。

 

不動宮は継続、維持、安定を得意としますので、ポジティブ面では意志が強く、自分を貫く強さがあり、物事を投げ出さずにやり遂げるため結果を出すことができます。ネガティブ面では柔軟性に欠け、変化に弱く、頑固で融通が利きません。保守的で自分のこだわりを変えることが困難です。

 

蠍座も水瓶座も共通してこの性質があり、その上に水の星座の蠍座、風の星座の水瓶座の性質が重なってきます。

 

そこに太陽があるということはその人の意思や主体性、意志決定や判断力がその星座の性質を持つことになります。それぞれ蠍座っぽいあるいは水瓶座っぽい主体性や意志決定力となる訳です。

 

占星術には年齢域という考え方があり、太陽意識が目覚めるのは25歳前後からとされています。ただ、一般的に用いられている年齢域以外の考え方や年齢域を用いない見方もありますので、ここではざっくりと太陽の意志決定力が育っているか否かで見ていこうかと思います。

 

まずは蠍座グループから。蠍座は水の星座です。水は感情。意志決定に感情が伴ってきます。蠍座の支配星は冥王星。副支配星は火星。強く深い感情は、時に問題となる場合があります。強い思慕は憎悪にもなりえますし、感情の苦痛をいつまでも忘れられず、嫌でもそこに集中してしまいがちです。

 

どうでしょう。これってまさに江澄ではないでしょうか。江澄の魏嬰に対する気持ちには実の兄に近い信頼と愛着があると思います。でも雲夢が焼け、両親は惨殺。双傑として自分を支えてくれるはずの魏無羨はあろうことか温氏のために江家を捨て、二人の大事な姉まで殺す結果に。蠍座の江澄からしてみたら13年経っても執拗に魏嬰を憎悪し続けるのは当然だと考えても無理はないように思います。

 

ここで重要なのは、温氏のために江澄を裏切ったのか、師姉を殺したのが本当に魏嬰なのか、事実か事実でないかは問題ではありません。江澄が、魏嬰は温氏のため江氏を捨てた、師姉を殺した、自分を裏切ったと受け取っているということが重要なのです。江澄のその後の判断と行動は、彼が受け取った事実から生まれた感情に突き動かされてなされています。

 

立場や魏嬰への愛情の質の違いはありますが、感情主導の蠍座・江澄と全体像を見ようとする水瓶座・藍湛の違いが現れているところだと思います。

 

江澄「教えたはずだ。邪道の使い手に出会ったら殺して犬の餌にしろと」

 

強い憎しみは深い愛情の裏返し。だから復活後の魏嬰につるんでいる含光君も気に入らない。江澄は雲夢が焼けた原因は魏嬰が藍湛を助けたからとも思っていますしね。藍湛と少し性質は異なりますが嫉妬心もそこにはあるでしょう。

 

雲夢の悲劇は魏嬰たちの20歳前に起きたことなので、先の太陽年齢域には該当しません。でも危機的事象により太陽を目覚めさせられたとも言えると思います。江澄は雲夢江家の嫡男で宗主になるべき人物。自らもそのことを強く自覚しています。雲夢江家の再興を第一の優先事項とする中では、恩ある温情や温寧を切り捨てる選択をとるのも、江澄の置かれた立場と性格ではある意味仕方がないのかもしれません。蠍座は切ると決めたら容赦なく切ることができる星座です。

 

次に金凌ですが、物心つくどころか子守歌で「両親を殺したのは魏無羨と温寧」と聞かされ育ったと思われますが、魏嬰や江澄たちとは違い温氏討伐のような混乱は経験していません。ですが、ストーリー終盤で金氏宗主で仙督の金光瑤が死亡し失脚。真実が明かされ、金凌にとって一種の危機的状況を迎えることになりました。金凌も今後は江澄と同様に金氏再興を担う立場になったと言えるのではないでしょうか。

 

(江澄に邪道の使い手は殺せと言われ莫玄羽・魏嬰を襲う金凌。魏嬰は師姉の息子であることを知ったため反撃しない)

 

物語中では金凌は金氏と江氏の庇護下にある子供。意思決定を必要とされることもさほどありません。金氏再興を担う立場になったこれからが金凌の蠍座太陽を輝かせ、本領を発揮していくタイミングだと思います。蠍座は変容の星座です。悲しみや痛みなどの複雑な感情を消化することで成長し、新しく生まれ変わる。たとえ時間がかかっても、将来は宗主として金氏を盛り立てていく人物になれると思いますし、願ってもいます。

 

少々長くなったので続きます。次は魏嬰と藍湛の予定です。