この大会、かなり細かく時間を区切ってペーサーがいる。なんでも15分おきくらいにペーサーがいるとのこと。そういうホスピタリティについては長年の経験値が物を言うのだろう。
「2時間のペーサーはいないの?」
「いや、それは流石に居ない」
「あ~残念、いたらそれくらいで走るのに~!!」
そんなわけは無い…。
「先に行くからポジティブスプリットで追いついてきてね!」
嫁さんランナーさんからそう言われるとこいつは本気で突っ込まにゃと更に強く思う。デビル、サンダル、ウイング、と速く走るには最も不向きと思われるこのスタイルも
「いや、この装備が今俺が一番速く走れるスタイルだから問題なし。」
10時きっかりにスタート。
トイレに行ったおっさんランナーさんは戻って来てない所を見ると自分たちより後方の位置からだろうか?一旦見送って再度後ろから追いかけるか…。
(まさかこの時点で前に行っていたなどとは夢にも思わないが…)
作戦其の一発動!!
「みんな頑張れよー!!」
歩道に位置し、後続のランナーに手を振るもしくはハイタッチをかます。
「あれ?デビルマン走んないんだ。」
「なんだ応援の人だったのか」
ランナーの中からそんな声が聴こえて来た時、デビルの中の悪魔がほくそ笑んでいたのは誰も知らない知られちゃいけない~。
おっTの人達も沢山見送った。アクアラインに比べればスタート時のロスタイムは半分以下の約8分だ!
さあて、行ってみっぺかね。
最後尾のポジションを奪うと、おもむろにデビルスピーカーのスイッチを入れデビルマンは走り出す。
♪裏切り者の名をうけて~、全てを捨てて闘う漢~…
準備運動なんか当然ながらしていないので、スタート直後はアップがてらの走りではあるが、既に何人か抜き去っている。
「うそ!」
「はええ!」
早くも後ろの方からスタートしたランナー達を阿鼻叫喚の地獄絵図に落とし込むデビルマン、この直後に自らが地獄の業火に身を焼かれるような事態に陥るとはまだ知らないのでいたのであった…。
《続く》