(さあて、抜き去るか…)
そう思った次の瞬間、ボトルポーチに挿していた格安スマホ、俺のzenfone laserが後方へ吹き飛ぶ。
マジか!!
幸いにしてダメージはなく、デビルスピーカーと再接続して事なきを得る。それでもこの後は常にボトルポーチに気を配りながら走ることになる。これは軽くストレスだ。
と思ったのもつかの間…
ボロッ…
デビルウイングの右接合部があっけなく崩壊。経年劣化しているからか、疲労骨折しているのか、とにかく、ここに捨てていくことも出来ず、手で抑えながら走るしかねえ…。
残りの距離はまだ41キロ程。ボトルポーチに気を使い、ウイングを手で抑えながら常にバランスを崩した状態でどこまで行けるのか?普通ならここでリタイヤしてもおかしくはない。
行くしかねえ…。手でウイングを掴み、少し傾いた状態で再び走り出す。
「うわ!拔かれた!!」
「速くてついて行けない!」
「音楽流すとかありか?」
拔かれたランナー達は既にパニック状態に墜ちている。ただし自分では目一杯のスピードのつもりではあるが、渋滞を縫うように前へ出ていくので思っているほど速くは無い…。
♪空にそびえるクロガネの城~…
今回はデビルマンだけではなく、水木の兄貴が唄う『マジンガーZ』の主題歌もデビルスピーカーから流してみた。
デビルマンも良いが、このマジンガーZもランニングのお供には最適だ!!こんなことならグレートマジンガーも入れておくべきだったと少し後悔…。
なんとしても嫁さんランナーさんに追いつく!!
しかしそれは叶わぬ夢だと言うことをこの時のデビルはまだ知らなかったのであった。
《続く》