フルの距離を超えてすぐは実際の距離よりも長く感じるのが常。ここは淡々と進むに限る。
すると私設エイドで
『いつ走るの?』
『いまでしょ!』
と書かれた札を持って応援してる人達が!
「いや、もう少し後にとっとかないと…。」
なんてことを呟きながら先へ進む。
いつもなら観光客で賑わう河口湖もこの天気では人もまばらだ。
やがて…
前方にやたらと垢抜けた感じのアメリカナイズされた応援の人が。
「あれ?もしかして東吉さんですか?」
「そうだよ~」
うおおお!高校生から大学生にかけて読みまくっていたPOPEYEの兄貴、そして現在はワラーチでも有名な木村東吉さんではあ~りませんか!
「いやあ、今日は地下足袋なんすよ!」
「うお、すげーなー!」
この時ほどルナサンダルを忘れたことを後悔した事はないが、それでも兄貴と固い握手をかわすと、デビルご満悦のままは先に進む。
今回デビルは荷物預けには一切荷物を預けずにいた。これも経験値が増えたからだろうか?112キロでエイドがこれだけの数あれば手ぶらで走って問題ない事を身を持ってわかっていたからだ。
程なく西浜小エイドに続く坂道に差し掛かると走るのを止めて歩き始める。
エイドで休まない代わりに、この坂道は歩く。
いい加減で適当な作戦しか考えないデビルが、唯一具体的かつ入念に立てた作戦はこの坂は歩くだ。
こうして、西浜小のビッグエイドを必要最小限の補給ですまし、上り坂を歩いて行く。この後は歩きたくても歩く暇など無くなるとはまだ夢にも思っていないデビルなのであった…。
《続く》

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