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鈴木 彰の ミドル・シニアランナーのためのランニングブログ

@runnerのCEO、e-Athletesヘッドコーチの鈴木彰が、なるべくプライベートな部分は避けつつ、主に概ね40歳以上のミドル・シニア(中高年!)ランナー向けにランニング関係のあれこれを綴ってみようかなってとこです。

 

 女子1500m予選

 

 この種目の標準記録を突破して、日本選手が出場するというだけでも感慨深いものがあります。

 

 2組に卜部蘭選手、3組に田中希実選手が出場。正直、予選通過ラインはちょっと遠いのですが、2人とも伸び盛りの真っ最中!ですので、PB、そして日本記録の更新に期待したいところです。

 

 国内ではこの種目で無双する田中選手―。序盤から飛び出して自分のペースで独走するしかパターンがないので、国際レースでハイペースに食らいつく展開で、どこまで闘えるか・どんなタイムがでるのか~に期待です。

 5000m予選では、あのラストスパートが通用しなかった…というのが見ている方もショックでしたので、よりスピードレベルが上がる今回はどうか!?というところですね。

 

 卜部選手も国内レースでは田中選手を後ろから自力で追うというパターン。実力が少し上の選手に理想的なペースで引いてもらい、タイムを狙ってもらいたいところです。

 

 卜部さん~わが母校から久しぶりに選出された五輪選手で、お父さんもお母さんも私と同世代の中長距離選手でした。

 

 

 

 女子3000m障害予選

 

 女子種目としてオリンピックに採用されたのは近年で、比較的歴史の浅い種目です。長年、棒高跳・ハンマー投げ・三段跳・3000m障害は、女性には無理な種目とされていました。それが今では、、、

 

 それでもハードルは男子よりも低めに設定されています。障害の位置自体は男子と同じですが。

 

 男子と比較すると、全般に障害飛越の技術はちょっと未熟なところもありますね。まあ、日本の男性選手より身長の高い欧米選手が低めの障害に挑むと、技術はそれほどではなくても軽々飛んでっちゃいますが。ウガンダのチェムタイ選手は、両脚を横に曲げる、まさかの「女の子跳び!」でした…。

 

 予選とはいえ、今日の気温で、午前中の実施は大変そうでした。日本の山中柚乃選手は、わずかにPBに及ばず落選となりましたが、そもそもランキングがこの組で後ろから2番目でしたので、10着でのフィニッシュは上々で、しっかり闘えたといってよいかと思います。

 序盤の2~3周は、国内レースではあり得ないほどのハイペースに食らいついていきましたからね。

 

 小柄な山中選手―国内では常に先頭集団(ほとんど先頭)で走っているので、大きな背中の壁が立ち塞がり、前が見えにくい状況で、ハードルの前でチョコチョコになってしまう場面もありました。

 

 歴史が浅いとはいえ、この種目はレジェンド・早狩実紀選手が長年、日本記録を保持したままになっています。しかし、高温下の過度なハイペースという中でもこれだけ走れたということを考えると、条件が整えば、その更新も近いかも知れません。

  早狩さんは1500mや5000mでも国内のトップクラスでしたので、そのあたりも近づけていきたいですね。

 

 

 

 

 

 

 女子5000m予選―

 

 日本勢は、この暑さの中、3人とも自己ベストを更新するものの、廣中選手のみが予選通過―。期待の田中選手は僅か0.4秒ほど及ばす落選となってしまいました。

 

  「たられば」を言ったらキリがないのが<2組5着+5>の予選通過のシステムです。<2組6着+3>であれば、2人とも予選通過でした。

 結局、+5は1組から全部出て、2組はゼロ。やっぱりおかしいだろ<2組5着+5>は~。

 廣中選手が自分で引っ張ったことでペースが上がり、その結果、自分自身が通過できることになりました。これはですね。

 一方、田中選手は、スローペースに付き合い、その中で善戦したのですが、ラストのペースアップが想定以上で着順で入ることが出来なかったという誤算が生じた結果になります。

 

 もう少しだけ速いペースで進んでいれば―。早い段階で廣中選手のように自分で引っ張ったら―。そういう「たられば」が通用しないのがこの世界です。

 

 決してラストがキレていなかったわけではありません。いやむしろ、キレてましたね。ラスト1000mは2分50秒を切ってるんじゃないかな?それでも置いて行かれたわけで、世界は広くて強いです。。。

 

 決勝は廣中選手1人になりますが、もっと良いコンディションの中、入賞はなかなか難しくても、ハイペースで押し通すことで日本記録を大幅に更新することに期待しましょう。

 

 

 男子10000m決勝―

 

 高温下、一昔前のようなレース展開になりました。

 ウガンダの選手が1人、イチかバチかで飛び出す。後ろは追うようで追わない。追わないようで追う。昔はこういう展開がよくあったものですですが、昨今の高速レース時代にはすっかり見なくなりましたね。

 中盤で追いつくのは想定内。そして、こういう時、だたい先頭を行くアフリカ勢はレースをリタイアします…。

 6000~8000mでもっと荒れるかと思いましたが、そこも温存するくらいコンディションが厳しかったのでしょう。結局は終盤勝負となりましたが、中盤のおかしな展開の中でいかに余力を蓄えておくか~が勝敗を分けたようです。あの「おかしな展開」に付き合ってはいけないわけですね。

 

 日本の2選手は、そういった展開の中で、勝負に入る前段階で千切れてしまいました。グチャグチャにさえされなかった…というのが本当のところです。酷い時は、前半の段階でもっと酷い目に遭いますので。

 

 自己ベストで走ったら金メダルを取れた!というのは論外です。こういう展開のレースでのタイムは、野球のスコアほどの意味しか持ちません。

 

 女子5000mも男子10000mも、日本代表は期せずして若手のみの編成となりましたが、コロナ禍の中で恒例の欧州遠征が2年出来なかったことがけっこう大きく影響したかと思います。欧州では、アフリカ勢を交え、今年に入ってからはこういうレースはやってましたからね。

 

 その点ではみんな、これからでしょう。コロナが解消されたら、世界を転戦してこういう経験を積み増して結果を出していってくれるはずです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 女子5000m予選 

 

男子もそうですが~5000mの予選は2組5着+5というのが決勝進出の条件となっています。

 リオ五輪の男子5000mがそうだったのですが、片方の組の6着でも落選となることもあれば、もう片方の組の10着でも決勝に進めることがある…というおかしな編成です。歴史的にこうなので仕方ないですが、これが実力よりもほとんど運で決まってしまうことがあるのがミソです。。。

 

 2組しかないので、2組目は1組を見てからペースを決められる~そうすると、2組目は少し速いペースで進めて10着以内に入れば良いという展開になるわけですね。

 1組はそうならないように、なるべく速いペースで進めようと考える選手もいれば、ラストスパートで5着に入ればいいんでしょ~という選手も出てきます。そのあたりの思惑の交錯がおもしろいところです。

 

 そういうことで予選の展望~

  廣中璃梨佳・萩谷楓選手が1組目。2人にとっては速いペースになった方が良さそうですね。廣中さんは自分で引っ張ってペースを上げる局面もあるかも知れません。

 

 2組目には田中希実選手が登場!決勝進出の期待がかかります!!

 サンショーの三浦選手同様、国内では自分でペースをつくってばかりなので、国際レースで食らいついていく展開で結果的に凄いタイムが出るのでは?という期待が持たれます。

 日本人離れしたラストスパートの強さがあるので、まさに三浦選手みたいな展開で通過できるかも知れません。

 日本記録の大幅更新は決勝で―ということになるか!?

 

 

 男子10000mは予選なしの1発決勝。

 この種目は五輪でも世界陸上でも、激しい揺さぶり合い・潰し合いになりますので、どうなるかまったく分かりません…。日本の気候ではなおさらですね。

  相沢晃・伊藤達彦の両選手が出場しますが、国内レースのように一定のハイペースで押していく…みたいにはいかず、グジャグジャにされることもあります。どれだけ凌げるか!?ですね。

 

 

 

 陸上競技の最初の種目は、女子100m予備予選でした。

 

 予選ではなく「予備予選」です。予備予選を勝ち抜くと、普通の予選に出場できます。

 

 オリンピックは、世界中のトップアスリートだけしか出場できない!…わけではありません。200か国にも及ぶ国々のすべてがなんらかの種目のトップアスリートを必ず抱えているわけではなく、スポーツ全般に発展途上的な位置付けにある国はたくさんあります。(特に女子種目)

 

 団体競技はほとんど大陸別の予選を勝ち抜かなければなりませんが、陸上競技や水泳の場合は、参加標準記録や世界ランキングによって出場の可否が決まります。

 その一方で、国内で誰も参加標準記録を突破できなかった場合、男女各1名ずつ、どれかの種目に出場できるという特別な出場枠があります。

 これには普及的な意味合いがあり、誰かにオリンピックという場を経験させることで、その国のスポーツの発展を促すということです。非常に重要な枠ですね。

 

 この枠は、混成競技やリレー以外、何に使っても良いのですが、そもそもスポーツがそれほど普及していないわけですから、その多くは男女ともに100mに使われることが多いのです。

 そういうことで、100mのエントリー数はけっこうな数になり、そのままでは2次予選(準々決勝)を設けなくてはならなくなり、選手の負担が増え、タイムの期待も薄れます。

 そこで、この枠で出場権を得た選手だけで予備予選を実施し、これを通過した人を通常の予選に出場させようということになっているのです。

 

 今日の女子100m予備予選には3組27名の選手が出場。アジアやアフリカ諸国の選手が目立ちます。パレスチナの選手もいましたね。

 レベル的には、日本の中学~高校生くらいですが、10名の選手が正規の予選へ駒を進めました。

 

 NHK大河ドラマ「いだてん」でも描かれていましたが、日本も初出場のオリンピックでは大苦戦の上惨敗しています。しかし、この時に現地から持ち帰った器具や見聞きしたトレーニング方法などがその後の陸上競技の発展に大きく寄与しました。

 今の時代にもそういう機会があるわけですね。