小学校での読み聞かせ活動記録 -25ページ目

おはなしのろうそく/東京こども図書館

【1】
エパミナンダス(創作)

季節-頭に載せたバターが溶ける季節なので晩春~初秋/読み聞かせにかかる時間-7分程度

かなり間抜けなエパミナンダスという男の子のお話。おばさんの家に行くたびに何かをもらって来るのですが、きちんと持って帰ってきた事がありません。お母さんはその度に、エパミナンダスにアドバイスをするのですが、どうしても上手くいきません。

素話の中では、かなり有名なお話です。図書館のお話し会などてもよく使われているようです


●こぶたが一匹(指あそび)

かしこいモリー(イギリスの昔話)

おいしいおかゆ(グリム昔話)

くまさんおでかけ(指あそび)

ブドーリネク(チェコの昔話)

【2】
スヌークスさん一家(創作)

ぼくのおまじない(人形劇)

十二つきのおくりもの(スロバキアの昔話)

森の花嫁(フィンランドの昔話)

なぞなぞ(創作)


●●

絵本-ま

E・ラチョフ, M・ブラトフ, うちだ りさこ
マーシャとくま―ロシア民話

12P/28×23/福音館書店/1962年初版/読み聞かせにかかる時間-7分程度/季節-春~秋の間


ある時、村の女の子達が連れ立って森へきのこやいちごをとりに行く事になりました。マーシャも祖父母に許可をもらって出かけることになりました。祖父母の注意を忘れてしまったマーシャは、みんなのそばから離れて、迷子になってしまいました。


森の奥深くを彷徨っていると、一見の小屋を発見しました。そこは、熊の家だったのです。マーシャはこの家に置いてもらうかわりに、くまの世話をしなければならなくなりました。家に帰りたいマーシャは、知恵をめぐらせます。


マーシャは、熊に一日だけ家に帰りたいと申し出ます。「おまんじゅうを持って行きたいの。」と。けれども熊は承知しません。「迷子になるよ。どうしてもおまんじゆを届けたいというのならわしが持っていってやろう。」と言い出します。マーシャは、おまんじゅう共々、つづらに入り、まんまと家に帰りつくのでした。


昔々あるところに・・・で始まる典型的な昔話の一つで、この作品は特に有名なロシアの民話です。さて、このお話の冒頭でマーシャは、守られているばかりの小さな子どもから、家族とはなれてでかけられる少女になった事を示唆しています。一人で外出できる歓びは、やがて何かに夢中になり、好奇心を抑えきれず、祖父母との約束を忘れるという愚かな失敗を招きます。


幼い好奇心は、時として大いなる危険を呼ぶのです。この作品でいえば、熊の家に軟禁されてしまうことがそれにあたります。けれども、マーシャは決して悲観せず、知恵を働かせます。しかし、その知恵だってギリギリの賭けみたいなものです。紙一重で見つかってつかまってしまうかもしれません。この、紙一重の冒険談に子ども達はハラハラするのです。


そして、ハッピーエンドになると判って、マーシャが無事に帰ってくれば心からほっとするのです。祖父母は、そんなマーシャを抱きしめてひと事言います。「おりこうさん。」と。


心と体が満たされ、マーシャは、森にでかれる前の小さな女の子から、知恵の働くしっかりした娘さんに成長するのです。日本の昔話でも、似たような内容として『三枚のおふだ』などが挙げられます。子ども達の心の機微というのは、深いところで一つなのかも知れませんね。

高楼 方子
まあちゃんのながいかみ

28P/20×27/福音館書店/1989年初版/読み聞かせにかかる時間-4分程度/季節-お友だちもまあちゃんも半そでなので初夏


はあちゃんと、みいちゃんが長い髪の自慢をしています。でも、まあちゃんの髪は短いおかっぱです。まあちゃんは、二人に向って、自分も髪を長く伸ばすと宣言をしました。その長さといったら・・・


橋の上からおさげを垂らして魚が釣れる位で、牧場の柵の所からおさげのロープをビューンと飛ばせば牛だって捕まえられる位で、海苔巻きみたいにくるまれば、ふかふか布団になる程なのです。右のおさげと左のおさげをぴーんと張って木に結べば、うち中の洗濯物を全部いっぺんに干せるほどなのです。


まあちゃんの想像力には限りがありません。梳かしたり洗ったりするのだって、まあちゃんの想像力にかかれば何の問題もありません。石鹸を泡立てれば、天まで届く甘くないソフトクリームみたいになるし、川でゆすげば、川のこんぶになり、10人の妹が髪を梳かしてくれる・・・。長すぎて邪魔になったら、パーマをかけて森にする。三人はそれらを想像して、うっとり。まあちゃんの髪、早く伸びるといいね。


というお話です。女の子の想像力って無限だなぁと感心させられました。女の子は、一時期とても女の子らしさを大切にしたい時期があるみたいで、ピンクや赤の服しか着なかったり、スカートしかはかなかったり、髪を長く伸ばしたがったり・・・。そんな女の子らしさと想像力を上手に組み合わせた絵本なので、女の子にはとても人気がある絵本です。


ところで、次女が気づいたのですが、まあちゃんの髪で洗濯物を干しているとき、洗濯物が乾くまでまあちゃんは本を読んで待っているのですが、その時まあちゃんが読んでいる絵本が『どろんこハリー』なんですよね。次女は『どろんこハリー』が大好きなので、一気にこの絵本も大好きになってしまいました。


やっぱり、読み聞かせの時には『どろんこハリー』を抱き合わせて読みましょうかねぇ。何人の子ども達が気づくでしょうか。ちょっと楽しみです。


姉妹作に、『まあちゃんのまほう』(1992年)と『まあちゃんのエプロン』(1997年)があります。

たかどの ほうこ
まあちゃんのまほう

28P/20×27/福音館書店/1992年初版/読み聞かせにかかる時間-4分程度/季節-お母さんもまあちゃんも半袖だから初夏


まあちゃんは、魔法の本を読んでいました。ヒトを動物にするおまじないの言葉が載っています。まあちゃんは、お母さんに魔法をかけてみました。「れろれろ ぷぷんぷん ぺぺんぽん おかあさん なれなれ なんかの どうぶつになーれ らりるれ れろれの ぽん!」するとお母さんはたちまち狸になってしまいました。お母さんがすっと狸のままだったら嫌なので、まあちゃんはモトに戻るおまじないをかけました。すると、モトのお母さんに戻ったのですが・・・。


一体、どこから偽者のお母さんになってしまったのでしょう?狸が化けたお母さんは天真爛漫で、意外にもまあちゃんは、狸のお母さんと楽しそうに遊んでいます。いっつもこんなお母さんだと困ってしまうけど、たまには、こんなお母さんがいてもいいな。と思える一冊です。


『まあちゃんのまほうのかみ』は、女の子らしさを前面に出していましたが、こちらの絵本は男の子でも楽しめそうです。一緒に自転車にのってくれたり、つまい食いをしたり、洗濯物を飛ばしたりするなんてお行儀が悪くて、元気で、びっくりするような事は、男の子の方が得意な気がしますからね。

Virginia Lee Burton, 石井 桃子, バージニア・リー バートン
マイク・マリガンとスチーム・ショベル

48P/24×26cm/童話館/1995年/読み聞かせにかかる時間-15分/季節-スチーム・ショベルの活躍できる時期だから通年。


元々は、福音館から出版されていた絵本です。版権が福音館書店から童話館に移ったのでしょう。福音館では、1978年が初版ですから、かなり長生きをしている絵本ということになります。そういう訳で、働く車である、スチーム・ショベルもかなりレトロな車種に分類されます。スチームを動力にしたショベルカーですから、現代では知っている人はほとんどいないのではないでしょうか。


マイク・マリガンは、自分のスチーム・ショベルにメアリ・アンと名前をつけて大切に仕事で使っていました。手入れも怠らなかったので、メアリ・アンはいつでもピカピカの状態で仕事をしていました。けれども、時代は移り変わり、新式のガソリン・ショベルや新式の電気ショベルや新式のディーゼル・ショベルが発明されたので、シチーム・ショベルには仕事がなくなってしまったのでした。


マイクとメアリはがっかりしたものの、ポッパビルという田舎町で市役所を作る計画がある事を知り、その街へ行って働く決意をします。街では、市役所の地下室を作ろうとしているところでした。マイクとメアリは大張りきりで、地下室要の穴を掘りました。期限は日暮れまでてす。さて一体どうなる事でしょう。


作者は、あの『ちいさいおうち』『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』『はたらきもののじょせつしゃけいてぃー』のバージニア・リー・バートンです。残念ながら、普通に音読をしただけで15分もかかる大作です。朝自習の時間だけでは納まりきらない予感がします。例えば、通常の読み聞かせの時間を延長して頂くとかの配慮をしていただけた時に使用する絵本としてとっておきましょう。


自動車関連の絵本にとても惹きつけられる子が少なくありません。『トラックトラックトラック』『のまなローラ』『しょうぼうじどうしゃじぷた』など、車関係の絵本は枚挙にいとまがありません。その集大成のようなこの作品。旧式のスチーム・ショベルにメアリー・アンという素敵な名前をつけて、いつまでもかわいがるマイク・マリガンからは、旧い友人を大切にする友情とか愛情のようなものを感じます。


1978年というと、オイルショック前後の時代。この絵本、使い捨てが全盛期になりつつある時代に、描かれた作品なんですよね。きっと、作者は、旧き善きモノを使い捨てにしてしまう時代に大いなる危機感を感じて、この絵本を描いたのではないでしょうか。

ルドウィッヒ・ベーメルマンス, 瀬田 貞二, Ludwig Bemelmans
マドレーヌといぬ

52P/31cm/福音間書店/1978年初版/季節-冬~春/読み聞かせにかかる時間-5分程度


あらすじ
パリの寄宿学校の話です。そこには、12人の女の子がいました。その中の一番のおちびさんがマドレーヌです。ある、冬の寒い日、マドレーヌは河に落ちてしまいました。先生のミス・クラベルも吃驚しています。もう少しでもくずになるところだった、マドレーヌを助けてくれたのは一匹の犬でした。皆は、その犬にシ゜ュヌビエーブという名をつけて、可愛がる事にしました。



関連図書


元気なマドレーヌ(シリーズ第一作)

マドレーヌとジプシー

マドレーヌのクリスマス

ロンドンのマドレーヌ

マドレーヌといたずらっこ



孫が仕上げた作品として



アメリカのマドレーヌ

マドレーヌのメルシーブック



この作品は、シリーズの第二作目で、1954年にコールデコット賞を受賞しています。作品の内容もさることながら、セーヌ川を取り巻くパリのオペラ座やノートルダム寺院、リュクサンブール公園などの景色が美しく描かれており、美術的観賞価値の高い絵本です。



ルドウィッヒ・ベーメルマンス, 瀬田 貞二, Ludwig Bemelmans
げんきなマドレーヌ

46P/31×23/福音館書店/1972年/読み聞かせにかかる時間-4分程度/季節-通年


マドレーヌシリーズの第一作です。前半は、マドレーヌたちがどんな生活をしているかを詩的でリズム良く描いています。エッフェル塔やコンコルド広場を描いているかと思えば、宝石泥棒や傷ついた兵士が描きこまれているシーンもあります。

後半は、マドレーヌが盲腸になって入院してしまう話。マドレーヌの表記は気の毒だけれど、お見舞いの品も、盲腸の傷跡も素敵!。お見舞いに行った日の夜、みんなは、声を揃えて「わーわー、盲腸を切って頂戴。」と泣きます。それを見た、ミス・クラベル「おやすみ、みなさん、元気で何より。」


文章も絵も模範的に素晴らしい絵本ですが、私が何より気に入っているのは、冷静なようでちっとも冷静ではない、子ども達の見方のミス・クラベルです。子ども達は、絵本の主人公に自分を重ねて物語の中に入り込みます。だから、読み聞かせには、主人公が大活躍するハッピーエンドな作品が推奨されるのですが、大人だって、作品の中の誰かが自分とダブって見えてしまうことがありますよね?


であるならば、ミス・クラベルは、私の理想の姿という事になりましょうか?たくさんの子ども達を平等に扱い、平等に愛するというのは至難の業ではありますが、せめて娘達が連れてきた友人達には、最大限の敬意を払って接してあげたいと思う今日この頃です。

モーリス・センダック, じんぐう てるお, 神宮 輝夫
まよなかのだいどころ

39P/29cm/富山房/読み聞かせにかかる時間-4分程度/季節-着ぐるみを着たかと思うと裸・・・だからいつでもいいかな。


センダックといえば、


モーリス・センダック, じんぐう てるお, 神宮 輝夫, Maurice Sendak
かいじゅうたちのいるところ
モーリス センダック, Maurice Sendak, わき あきこ
まどのそとのそのまたむこう

以上の三作はセンダック作品の中でもひときわ有名な作品といわれているようです。空想の世界と現実の世界が曖昧で、混沌としていて未整理なところが理解不可能なストーリーと緻密で完成度が高くマニアックな挿絵というセンダックワールドに惹きつけられております。


さて、まよなかのだいどころも、不思議なストーリーです。主人公のミッキー少年が、真夜中にあんまり騒がしい音がするので目を覚まし、「うるさい!」と怒鳴ったところから、別世界の真夜中の台所に迷い込んでしまいます。そこには三人のコックさんがいて、ミッキーを練り込んだクッキーを焼こうとします。どうやら「ミッキー」と「ミルク」を混同しているみたい・・・。ミッキーが「僕はミルクじゃないよ!」というとコックさんたちが、「朝のケーキが焼けない」と悲しそうな顔をします。そこで、ミッキーがミルクを取りに出かけます。お陰で、素敵な朝のケーキが焼けて、ミッキーは無事に寝室に戻りました。よかったね。というお話しです。


現実と空想の世界が曖昧な幼児期に読むと絶大な支持を得るようで、何十回、何百回も読まされたというお母さんがいる一方、現実と理想の区別がしっかりついている人が読むと、センダックの混沌とした世界は、未整理で無意味な作品で面白くないのでしょう。正直、私も大人になってから読んだので、理論的には理解できる気がするのですが、感覚として理解できるという境地にいたることはできませんでした。絵本の世界は、まだまだ奥が深いなぁと思います。



絵本-み

松岡 享子, 大社 玲子
みしのたくかにと

60P/17×17/こぐま社/1998年初版/読み聞かせにかかる時間-30分近く/季節-通年


普通の読み聞かせでは長すぎるお話です。


お話を聞きなれたちょっと大きな子向けの特別なイベントで朗読とか、


素話で語るのがむいているお話だと思います。



昔、あるところにふとっちょおばさんがいました。


ふとっちょおばさんは台所で何だか判らない種を見つけます。


通りすがりの人たちはその種を見て、


「あさがお」と言ったり「すいか」と言ったり・・・。


おばさんは何が生えてくるか、「とにかくたのしみ」に待つ事にしました。


これがこの物語の発端です。



種を植えたところに立てた看板には



 「あさがおかもしれない


  すいかかもしれない


  とにかくたのしみ」



と書いてあったのですが、たまたま通りすがりにこれを読んだ王子様が


反対から読んでしまったから大変・・・。




この本は、子どもたちだけでなく


「良い子を育てたい」と思っているお父さんやお母さんにも


是非読んで欲しいと思います。


子どもが子どもらしく育つために必要なものが


この絵本の中にぎゅっと詰まっていますよ。

おざわ としお, 赤羽 末吉 みるなのくら

36P/22×25cm/福音館書店/1983年初版/読み聞かせにかかる時間-4分程度/季節-うぐいすの季節って、春でしょうか?


昔々、貧しい若者が山の中で迷ってしまいました。若者が途方にくれていると、遠くに明かりが一つ見えました。そこは大きな屋敷で、中には美しい女がいました。女は「ちょっと里へ用足しに行きます。この家には十二の蔵がありますが、十一の蔵までは見てもいいけど、十二番目の蔵だけは絶対に見ないで下さい。」と言い置いて出かけてしまった。お約束の通り、若者は、好奇心から全部の蔵を開けて見てしまう。最後の蔵にあったものは・・・。


この昔話は、『うぐいすの一文銭』とか『うぐいすの里』という題名等、色々な語られ方をしている作品です。この絵本では、一の蔵から十一の蔵までが、一ペーシずつの見開きで構成されていて、各月の季節を象徴する行事が描かれています。日本の昔話は、季節感を大切にしていたのだなぁと実感させてくれる絵本だと思いました。

中川 ひろたか, 村上 康成
みんなともだち

32P/20.7×22.2cm/1998年初版/読み聞かせにかかる時間2~3分/季節-卒業シーズンだから3月ごろがベストかな。


中川ひろたかのピーマン村の絵本たちシリーズの中の一作。各ページは、イラストチックな絵に簡潔な文章で構成されています。そして、何回も繰り返される「みんなともだち」「ずっとずっとともだち」という言葉。繰り返せば繰り返すほど、ドキドキしてきます。「ともだち」っていう単語って、どうしてこんなに心が温かくなるんでしょうね。

絵本-む

絵本-め

絵本-も

絵本-や

絵本-ゆ

加古 里子
ゆきのひ

28p/20×27/福音館書店/1966年初版/読み聞かせにかかる時間-7分位/季節-冬(の雪の多い地方)


ちょっと田舎の雪の多い地方の冬の様子を細かく描いた絵本です。初版が1966年ということもあり、出てくる子どもも描かれている街や家庭の様子も古き良き昭和の匂いを漂わせていて、レトロ感たっぷりです。


この作品は、こどものとも傑作集ですから、発売当初は幼稚園児向きだったと思われますが、今となっては、少し昔を学ぶ小学校三年生あたりにの教材としても役に立つ絵本のように思われます。


少し前の雪国の様子の描写もさることながら、雪国で生きる事の厳しさもしっかり描かれていて、家族を案じる気持ちは、今でも通ずるものがたくさんあるように思えます。


同じ題でエズラ・ジャック・キーツの『ゆきのひ』はとても有名ですので、比較するつもりで手に取ったのですが、そんな必要は全然ありませんでした。どちらも良いところがたくさんあり、同じ題材を使ってもこれぼと違うものが出来上がるとは、絵本の世界って無限に広がっているんだなと思いました。


五味 太郎
ゆびくん

31P/25cm/岩崎書店/1977年初版/読み聞かせにかかる時間-4分程度/季節-通年


右手の人差し指に、ゆびくんがいます。自分だけど自分じゃないゆびくんは、兄弟のような存在です。着替えをするときもごはんを食べるときもお持ちで遊ぶときも一緒です。


独り言のようなそうでないような・・・。ゆびくんの言葉は、自分の心の声みたいです。寝るときも一緒にいるゆびくんのような親友がいたらいいなって思える絵本です。ゆびくんのシュールな存在も五味太郎さんのイラストで可愛らしく描かれている逸品だと思います。

絵本-よ


レイ・ブラッドベリ, ディロン夫妻, 今江 祥智
夜をつけよう

33P/24×19cm/BL出版/1998初版/読み聞かせにかかる時間-9分/季節-通年。こだわるとしたら、芝生の上で駆け回れる季節でしょうか。



夜が嫌いな男の子がいました。


男の子は夜になると


家中の明かりをすべてつけ


ひとりぽっちでいつも家にいました。



両親が出かけてしまったある夜、


男の子はいつにも増して明かりをつけて回った。


すると、外から女の子が声をかけてきた。


女の子は、夜と仲良しになれる方法を教えてくれた。



女の子は玄関の明かりを消した。


女の子は言う。


明かりを消したんじゃないの。


夜をつけただけのこと。


夜をつけると、コオロギの声が聞こえたり


カエルの鳴き声が聞こえたり


星が見えたりするのよ。


二人は家中の夜をつけて回った。


男の子はもう夜が嫌いじゃなくなった。


夜をつけるスイッチわ手に入れたんだもの。




ちょっと不思議すぎる内容です。


でも「夜をつける」という発想が面白いと思いました。


子どもたちには、不思議なことや謎がたくさんあります。


お化けは、本当にいるのかいないのか。


判るまでは、一人で夜中にトイレなんて行けませんもの。


不思議や謎がたくさんあるから知ろうとするのです。


判ろうとするために、たくさん質問したり


試してみたりするのです。


大人から「うるさい」とか「いたずらっ子」と呼ばれるのは


その為なんでしょうね。



さて原作者は、『火星年代記』や『ウは宇宙船のウ』などをを書いた


SF作家のレイ・ブラッドベリです。


個人的にスペース・オペラが大好きで


作者の名前を見て、この絵本を選んでしまいました。


それにしても、文章に負けず劣らず


ディロン夫妻の絵も不思議が満載です。


前半は、灯りをつけた男の子の家の中を描いています。


不思議な形にねじれていて、まるて夜が嫌いな男の子の


心の中を描いているみたいです。


「夜をつけた」後半は、黒がベースになります。


暗い中に浮かぶ人やモノはとても幻想的で


ちょっと危険な匂いのする魅惑に満ちています。


だからこそ、手にとってみたい誘惑が大きいのでしょう。



読み聞かせに適しているかどうかと問われたら


集団にはちょっと向かない作品かと思います。


眠れぬ夜に、ドキドキしながら読む絵本でしょう。


これを読むと、もっと眠れなくなってしまうかもしれませんけどね。

絵本-ら

『ランパンパン』

32P/20.1×24.8/インド民話、マギー・ダフ再話/山口文生訳/ホセ・アルエゴとアリアンヌ・ドウィ絵/評論社/1989/読み聞かせにかかる時間-訳9分/季節-なし。インド=暑い=夏というのは、私の先入観に過ぎません。


昔々のインドのお話。ある木の上にクロドリの夫婦が住んでいたのですが、この亭主があまりにいい声で鳴くので、亭主と間違えられて奥さんが王様に連れ去られてしまったのです。この奥さんを取り戻すべく、クロドリは、ねこ・あり・木の枝・川の水を仲間に王宮へ乗り込んでゆくというお話です。ここで、日本昔話の『さるかに合戦』『かにむかし』にそっくりの展開だと気づく人が多いんじゃないかと思います。


結末だって、ちゃんと王様をこらしめて、女房を連れてかえることができるので、安心して読み進む事ができます。この絵本の場合、このクロドリが行進してゆくときの「音」が面白いです。例えば、王様のところへ行くときの描写は次のようです。


さあ、王さまとたたかいだ。クロドリは、たいこをたたいて行進した。ランパンパン、ランパンパン、ランパンパンパンパン。*1


という具合で、一度音読すると、頭の中からランパンパンパンパンしばらくリフレインしちゃうと思います。お話って、筋だけではなく、こういう語呂の楽しさや親しみ易さも大切な要素なんですよね。内容を忘れてしまっても、「ランパンパンパン」という言葉だけは、一生忘れられない気がします。


引用 *1 M.ダフ再話『ランパンパン』理論社、1989、p6