ハードボイルドは流行らない? 『未必のマクベス』 | そろそろ、ソロ活

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<基本データ>

  • タイトル:未必のマクベス
  • 著者:早瀬 耕
  • 出版社 ‏ : ‎ 早川書房 
  • 発売日 ‏ : ‎ 2017/9/21
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 624ページ
 
<あらすじ・内容>
 
IT系企業Jプロトコルの中井優一は、東南アジアを中心に交通系ICカードの販売に携わっていた。
 
同僚の伴浩輔とともにバンコクでの商談を成功させた優一は、帰国の途上、澳門(マカオ)の娼婦から予言めいた言葉を告げられる――「あなたは、王として旅を続けなくてはならない」。
 
やがて香港の子会社の代表取締役として出向を命じられた優一だったが、そこには底知れぬ陥穽が待ち受けていた。
 
異色の犯罪小説にして、痛切なる恋愛小説。
(Amazonより)
 
 
<おすすめ度>
 
★★★☆☆
 
 
<所感>
 
本屋さんに行ったときに、この本が積まれたところに書店員さんが書いたポップがたてられていた。
 
「どうか最初の1ページだけでも立ち読みして欲しい
 あわよくば2ページ目も読んで欲しい」
 
この殺し文句にやられて、即購入。
 
(ちゃんと2ページ目まで立ち読みもしました!)
 
 
ジャンルとしては、ハードボイルドに入るのだろうか。
 
私の中のハードボイルドの代表作といえば、レイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』
 
確か大学生のころに読み、わかったようなわからないような、なんとも曖昧な読後感があったことを覚えている。
 
どうやら私は、いわゆるダンディすぎる男性には、実生活でもフィクションでも惹かれない質だということが分かった。
 
 
それからハードボイルドはなんとなく敬遠していたのだけれど、今回は書店員さんの熱量に押されて購入したのだから、読まないわけにはいかない。
 
実際に読んでみての感想は、これは現代版ハードボイルドであり、サスペンスであり、ミステリーであり、恋愛小説でもある、ジャンル分け不可能な作品だな、と。
 
 
ハードボイルドのセオリーでいけば、主人公は私の苦手な、ちょっと斜に構えた無口な男性ということになる。
 
しかしこの作品においては、主人公はハードボイルドというよりソフトボイルドな感じ。
 
いや、ソフトに見えて芯はしっかりしているから、温泉卵が一番しっくりくるかもしれない。
 
 
ミステリーとしては、ちょっと無理やり感がなきにしもあらず、と思ったため、その分おすすめ度の★を1つ減らした。
 
でも、どちらかというと淡々とした流れるような文体ながら、飽きさせずに最後まで読ませる力は素晴らしいと思う。
 
私のようにハード過ぎないハードボイルドをお探しの方には、ぜひおすすめしたい。