幕が開くと、落語家さんが次々と登場して話術を繰り広げます。
「みなさん、SNSで繁昌亭のこと、宣伝してくださいね。
...あ、今日の年齢層やとちょっと無理か...。」
など、出だしの小話でお客さんをリラックスさせておいて。
おもむろに羽織を脱いだかと思うと、落語本編にするっと入っていく。
その様は、お見事のひとこと。
いつの間にか、噺家さんが紡ぎだす世界にどっぷりはまり込んでいました。
この日見に行った寄席は、たまたまですが桂福丸さんの繁昌亭特別賞受賞記念公演でした。
お笑いにも落語にも疎い私は、当然、桂福丸という名前を聞いたのもこれが初めて。
全く先入観なく見させていただいたのですが、なんとこの方、日本でも屈指の名門校である灘高校のご出身だとか。
さらに京都大学法学部に進学されているので、まさにエリート中のエリート。
失礼ながら、なんでそんな人が落語家に?!
が、噺を聞いてみると、その素晴らしさに唸らされました。
身振り手振りも話し方もそれほど大げさではなく、他の噺家さんと比べて、どちらかと言うと控えめ。
なのに、それぞれの登場人物のキャラクターがくっきりと浮かび上がる。
座って話しているだけなのに、登場人物がまるで目の前で実際に動き回って会話をしているよう。
さすが、賢い人は何をやっても見事にこなすなぁ、と感心しました。
口上のときのみ、撮影可でした。
寄席の雰囲気をほんのちょっとお裾分け。
声を出して何度も笑っている内に、あっという間に終演時間。
つまらなかったら途中で出て来よう、と考えていた自分を叱りつけたい。
言葉の持つ力に、改めて気が付かされた貴重な体験でした。