ruitek times -6ページ目

#午前一時半の記憶

コツンと音がした。


ちょうど全身をジンワリと包む脱力感が眠りの淵に僕を引き込もうとしていた。
だから特に気にも止めなかった。


するとまたコツンと窓の方から音がした。

気のせいかかな?と思いそのまま眠ろうとしたところ、確実にコツンと何かが窓に当たる音がした。


何かを感じた僕は、眠気で重くなった体をベッドから起こすと恐る恐るカーテンを開けてみた。

すると近所に住む悪友ジョシュがマグライトで自分の顔を照らしていた。
ジョシュのパパがミリタリーサープラスストアで買ってきたヤツだ。
一昨日ガレージで見たばかりだった。


アダムも一緒だが驚きもしなかった。

小石を窓に当てて僕を起こしたのはこいつらだった。
侵入者を知らせるセンサーライトが感知する範囲を熟知しているのも納得だ。

僕は手首を指差してから中指立てた。
こんな時間になにしてんだのジェスチャーだ。

 
午前一時過ぎに現れた無礼な来訪者へのメッセージを送ったが二人は一向に気にしてないようだった。
窓を開けるとAdamが寄ってきた。 

窓の隙間に顔をネジ込むと小声で「Let's go dawg」と言った。


僕は何も聞かずにベッドサイドに脱ぎちらかしたアディダスを履いてそのまま窓から飛びだした。



眠気はどこかに行っていた。




学校は8:30からだ。 まだ時間はタップリある。

こんな何かが起きそうな夜は大人になってからは味わった事がない。



#午前一時半の記憶

アートってのはおもしろいもんで素人が適当にペイントを跳ね散らかした紙を額に入れるだけでそれなりに立派に見えるし、展示とかしたら「素晴らしい!」ってそれに価値を見出す人もいるかもしれない。


見方であり見せ方なのです。


人生も似たようなもんで自分が歩んできた人生がクソのようだと思っていても、他の人から見れば素晴らしいクールな憧れのライフスタイルだったりするワケ。


クソな部分は自分にしか見えてないからね。
上記の例だと『適当にペイントを跳ね散らかした』って事は本人しか知らないとこに相当。


そこが人によって:
・ラッパーだけど元看守
・安月給
・社畜
・税金払ってない
・実はバイト
・実はヒモ
・実はまだ親の弁当
・中卒
・ラッパーだけど裕福な家庭で育った大卒
・実は保険書がまだ親の扶養
・実はデトロイト出身じゃない
・ブルックリン出身と偽り竹下通りでジョーダンを売っている
・買い付けはニューヨークではなく韓国
・2PACは生きている
・マジックジョンソンまだ元気


等々人それぞれ色々あると思います。


そこが分っているからこそ、自分では過大評価されたと感じ卑屈になる事もあるかもしれないけど『評価』とはそもそも他人が決める事なので、過大評価されようが過小評価されようが、それが周りから見た貴方の評価=見え方なのでそれを受け入れましょう。


その内容が本当の自分とあまりにもかけ離れているようなら、それを正す努力をしておかないと、世間のイメージ通りの自分を演じたりしなきゃならないhecticなことになるからね。


『自分』を『演じる』とかもはや本末転倒でしょ?


素を受け入れてもらうのが世知辛いサイバージャングルと化した現代社会を生き抜く賢いコツ略してカシコツなのでは?と専門家は分析する。



著:ルイテック

#ダウンタウンモールの記憶

僕がかつて住んでいた街は典型的な郊外の中規模都市でダウンタウンの中心部にモール等の商業施設がかたまっていて、そこを中心に発展したような街だった。


繁華街の反対側に出るにはモールを突っ切って行くのが一番のショートカットだったんだ。
そのモールのメイン通路は反対側まで直線でつながっていて、200m位あったと思う。


迂回したり、歩くのもダルいから僕達はたまにそのモールをプッシュで駆け抜ける最高にスリリングな遊びをしていたんだ。


その度にセキュリティガードはモール内にいくつもある監視カメラを見てて、丁度いいバックドアから飛び出して来たけど、こっちもいくつもある出口を把握していたし捕まる事は無かったね。


僕達はセキュリティの責任者をジェネラル(将軍)と呼んだ。

何回かやってるウチにベンチや観葉植物の配置を変えて直線的に出れないようにしてきた。 
万引きもないような平和な街だったから俺たちを捕まえる事に情熱を燃やしていたと思う。


何度目かのミッションの日。
その日バーガーキングに偶然居合わせたインラインスケートのやつも参加したんだ。

当時はドーム型の監視カメラが普及する前だったから、カメラはむき出しで首振り式だった。
僕はshortysのフードを目深にかぶりると、いつものようにカメラがスゥイングした隙に、皆と一斉に動き出した。


全身にアドレナリンが駆け巡るのが分かった。

アイスクリームショップの女の子があきれ顔でこちらを見ているのが通り過ぎ様に見えた。


その日はタイミング悪かったのか、ジェネラルがどんぴしゃのドアから飛び出してきたんだ。
みんないつものように散々になって逃げたが、新参者のインラインスケーターのアルフィが狙われ、4番出口に追い込まれていったのが分かった。


その4番出口はすぐ11段のステアになっていて案の定アルフィは外階段を攻略できずにジェネラルに捕まった。


そのまま僕等は当初の計画通り、スーパーに行ってグリルチキンを丸ごと一羽とコールスローを買って、モールのパーキングの屋上でマウンテンデューを飲みながら彼が解放されるのを待った。
見た目より肉が少なくハズレのチキンだった。

しばらくするとアルフィの母親がボロボロのフォードで迎えにきたのが見えた。
屋上からコッソリ頭を出して見ているとジェネラルに連れられたアルフィが泣きながら出てきた。

みんな強がって「オカマ野郎だな!」とか言って笑っていたが、子供ながらに悪いと思ったのだろう。それ以来、僕を含めだれもこの件に触れなかったし、ミッションをやろうと言い出す者はいなかったかった。


テキストメッセージを送ったがリプライもなく、それ以来彼を見かける事はなかった。

#ダウンタウンモールの記憶

#Deck33BarRestaulantの記憶

レイカーズ対ロケッツの中継を見ていたリンがジャンプショットを外すとナッシュが素早くファストブレイクに入り、華麗なアリウープダンクを決めたところで画面に見いっていた。

背後からウェイトレスの手が伸びグラスに水を注いで去っていった。

華麗なプレーに熱中していた為、気にも止めなかった。

タイムアウトに入りバーガーを一口かじるとグラスに手を伸ばした時に一つ重要な事を思い出した。

僕はスプライトを飲んでいたのだ。
氷がカランとグラスの中で音を立てた。

#Deck33BarRestaulantの記憶

#ロスの記憶

本場でスキンフェイドをやってもらいたくてロスの適当なフッドのバーバーに行ったんだ。

中をチラリと覗くとキャレドみたいのがテレビのリモコンを握ったままドッカリとイスに座り、天井から吊るしたテレビでNFLのゲームを眺めていた。


その隣ではアイスキューブみたいのがシェイブされていた。

すると入り口で雑誌を読んでいたフレンチモンタナみたいのがくわえていたトゥースピックをペッと吐き捨てると、ジロリと僕を睨んだ。


僕は店を通り過ぎ、デイリーでチョコレートミルクを買って帰った。
店のガラスが全て鉄格子で補強されているネイバーフッドだった。


#ロスの記憶