第10回全国女子ラグビーフットボール選手権大会 PEARLSー東京山九フェニックスラグビークラブ | ラグカフェ編集部の取材メモ

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2月3日(土)に行われたのが、「第10回全国女子ラグビーフットボール選手権大会」PEARLSと東京山九フェニックスラグビークラブの決勝。「THE CROSS-BORDER RUGBY 2024」の試合後に行われたこともあり、スタジアムには13,581人の観客が試合を見守りました。個人的に「女子ラグビー」をもっと取材したい気持ちはあるのですが、いつも懸念材料になるのが「男子ラグビー」と日程が被ってしまうことです。「rugby cafe」は、当初女子ラグビーを取材していた経緯もあるのですが、紆余曲折を経て、現在のスタイルに。でも、今回のように、男子の試合と抱き合わせで行えれば、「女子ラグビー」を沢山の方に知っていただける機会になるのではと、改めて実感しました。記者席を観ても、2試合目まで残っている記者の姿が多く見られました。試合後にラグビーファンの方からメッセージをいただくことがあるのですが、この試合の後に「初めて、女子の試合を見たよ。面白いね。」という意見をいくつかいただきました。度々、女子ラグビーの魅力を媒体でも取り上げていますが、「百聞は一見にしかず」、やはり生で試合を観て貰うのが、一番だなと実感した日でもありました。

 

以下、試合結果です。

 

撮影:国分

 

■2024年2月3日(土)第10回全国女子ラグビーフットボール選手権大会 決勝試合結果
PEARLS 24-40 東京山九フェニックスラグビークラブ(前半12-21) @秩父宮ラグビー場

 

撮影:国分

 

決勝戦は、東京山九フェニックスが2連覇達成

▶開始5分、PEARLS11番WTB三谷咲月(キャプテン)が先制トライを決め、5点を追加。しかし、前半18分・26分には、東京山九フェニックスラグビークラブ(以下、東京山九フェニックス)11番WTB野原みなみが2トライを返し、コンバージョンゴール(以下、CG)を10番SO大黒田裕芽が決めて、14-5へ逆転。その後、流れを掴んだ東京山九フェニックス15番FB松村美咲と大黒田裕芽もトライを重ね、前半36分には、21-5の点差に。しかし、前半40分に、PEARLS 18番LOブリアナ・ホイがトライを決め、12-21の点差で前半を折り返した。▶後半4分、東京山九フェニックス7番FL鈴木実沙紀がトライし、29-12。更に、東京山九フェニックス野原みなみが3トライ目を決め、35-12。後半16分には、PEARLS 7番FL木下そよ香、11番WTB三谷咲月がトライを2つ返し、24-35まで詰め寄る。しかし、後半40分、東京山九フェニックス17番PR高木恵がトライを決め、最後のCGも、10番SO大黒田裕芽が決め、40-24でノーサイドとなった。

 

撮影:国分

 

以下、試合後の記者会見の様子です。

 

●PEARLS

 

●ジャンナ・ヴォーンHC(写真中央)

「今日は、チームにとって、すごく難しい試合でした。強い相手とする難しい試合でした。自分たちが持っているポテンシャルを出せました。私たちは、ファイナルをプレーする機会があまりなかったので、相手チームの方がそれに優れていました。でも、三重を代表してここに来ましたし、今後のチームにとって、今日は貴重な機会となりました。」

 

●三谷咲月キャプテン(写真左)

「フィジカルやブレイクダウンでやはり負けてしまって、なかなかPAERLSらしさを出せなかったです。マイボールでアタックが出来なかったり、相手のフィジカルに押されてしまったりして、自信を持って望んでいった決勝ですが、最後の勝ち切れなったところは、自分達のメンタルやフィジカルの足りなさかなって思います。」

 

●9番・末結希選手(ジャンナ・ヴォーンHCの通訳も担当)(写真右)

「自分達のゲームプランなど、上手くできなかったことが今日の敗因です。ブレイクダウンでなかなかボールを出せなかったので、自分達のやりたいプレーなどが出来なかったように思います。」

 

■東京山九フェニックスラグビークラブ

 

■ケン・ドブソンHC(写真右)

「本当に勝ってうれしいですが、PEARLSのプレッシャーの中で粘れて、この結果につながりました。女子ラグビーとして、面白いなと思う試合だったと思います。レベルの高い試合でした。クラブチームは、本当に意識高くやっているし、それが現れた素晴らしいファイナルでした。」

 

■鈴木実沙紀キャプテン(写真中央)

「私たち、準決勝が終わってから2週間、すごくいい準備ができていました。試合は、80分通してPEARLSのプレッシャーが大きくて、苦しい時間帯もありましたが、最終的に勝ち切れたことは大きかったですし、今は嬉しい気持ちでいっぱいです。」

 

■東京山九フェニックス 大黒田裕芽選手(写真左)

「準決勝が終わってから、どんな結果になっても後悔しないような準備をしようと思ってやってきました。そして、今日の試合は、今シーズン入って、本当に一番いい準備ができて、それが今日の結果につながりました。」

 

●東京山九フェニックス 大黒田裕芽選手

 

――試合を終えての感想をお願いします。

「もう最高です。本当に、準決勝が終わってから2週間は、最初のミーティングから、後悔がない練習を毎日行いましょうっていうことで取り組んできたので、どんな結果になっても後悔しないようなプレーをしようっていうことで、(今日は)みんなで一つになって練習でしたことが、出せてよかったなって思います。」

 

――大黒田選手は、アルカスからの移籍っていうことだったと思うんですけど、何かチームの違いとか感じることって、ありますか。

「アルカラスの時は、もう本当に、1人1人がプロフェッショナルで、もうすごく真面目な人が多いチームだったんですけど、フェニックスは、ちょっと明るくて、なんかオンオフの切り替えがはっきりしたような、全然違うチームで、なんか最初はびっくりしながらでも、そういうのも大事だなって思ったりして、しながらって、感じですかね。」

 

――どっちが自分に合っているとか、ありますか。

「どっちもどっちの面もあるかなと思うので、どっちがっていうのは特にないですけど。本当に両方のチームに入れたことが、良かったなって思います。」

 

――今日もフェニックスは、応援席の盛り上がりがすごかったですよね。

「そうですね。そのあたりはあんまり意識してなかった。意識しないようにしてましたけど、いつも何かは、感じてはいます。」

 

――そして、先ほど会見でも聞かれていましたが、クロスボーダーマッチということでかなり観客が多く入っていたんですけど、そのあたりはご覧になっていかがですか。

「本当に何かもっとたくさんの人が帰ってしまうかなって思ったんですけど、思ったよりもたくさんの人が残ってくれて女子ラグビーの見てくれる機会があってすごく良かったです。」

 

――緊張っていうのは、あったりしましたか。

「緊張しました。お客さんがたくさんで、今日の練習試合の始まる前からずっと緊張はしてたんですけど、お客さんが結構いるなっていうので、またちょっと緊張しました。」

 

――先ほどの鈴木キャプテンが、自分に代わっていろんな言葉を大黒田選手がかけてくれたっておっしゃってたんですけど、具体的にこんなことのチームに声掛けしてたとか何かありますか。

「この試合は、やっぱりすごいコンタクトとフィジカルのところの勝負でになると思ってはいたので、練習のときからしっかり肩を当てるところは、厳しく言ったりとかっていうことは、ちょっと意識的にしたかなと思います。」

 

――声かけとか全ての部分があって、優勝ということになったと思うんですけど一番の勝因みたいなところって、どうですか。

「アタックもFWもBKも良く、本当にでかい選手や相手にしっかりと前に出て、ディフェンスできたのが一つ勝因かなって思います。」

 

――ご自身のパフォーマンスは、いかがですか。

「石ころみたいな(あまりよくない)プレーも結構あったので。でも、今日は本当に勝てたことは良かったかなって思います。」

 

――優勝ということですけど、今後どんなチームにしていきたいですか。

「皆さん、本当にスイッチ入れるところをしっかりスイッチ入れて、オンオフができるチームなので、もっとオンとオフが、はっきりとした、でもやるときにしっかりやれるようなチームに、引き続きなっていければいいなと思います。」

 

――ここまで応援してくださったファンの皆さんに。

「いつもフェニックスの応援ありがとうございます。やっぱり観客を見たりすると、関東大会からたくさんのフェニックスの応援団がいてくれることが私達にとってすごい力になったので、本当にありがとうございました。引き続き阪急フェニックスの応援よろしくお願いします。」

 

■東京山九フェニックス 野原みなみ選手

 

――今日、試合を終えての感想を。

「1人1人がすごく意識高く、守り抜くっていうところが徹底できたと思っていて、そこで粘れたってところが、勝利の要因だと思います。」

 

――2連覇という結果は、いかがですか。

「そうですね。もう本当一つ一つ重ねてきただけの結果なので、2連覇っていうのはあんまり意識してなくて、結果としてみんなの頑張ったおかげで、こうやって優勝して2連覇になったのは、本当すごいことだなと思ってます。」

 

――今日、フル出場ですよね。

「80分でした。もうヘトヘトです。自身のパフォーマンスは振り返ると、本当に結構シーズンとして一番良かったんじゃないかっていうぐらい上がりました(笑)。なんかちょっと....(シーズン中)落ちてたところもあって、大丈夫かなっていうのも思ってたんですけど、最後もう、この2週間、準決勝終わった後の2週間はすごいたくさん練習して、いろんな人とコミュニケーションも取れたので、そのおかげかなと思っています。」

 

――では、この2週間は、改めてどんなところにフォーカスして、練習してきたんでしょうか。

「個人個人のスキルとかを個人練習すること多かったんですけど。チーム練習以外に、バックスだけで集まって、バックスのユニットのところをすごい練習して、最後のラストパスのところだとか、バックスアタックの3対2のところとかをバックスだけで合わせたのが、よかったと思います。」

 

――クロスボーダーマッチということで、準決勝ちだいぶ違う雰囲気だったと思うんですけど、そのあたりはいかがですか。

「そうですね。まず観客が多くて、みんな帰っちゃうんだろうなと思ったんですよー。サントリーの試合やってるときは人いるけど、終わっても人がいる!!と思って、めっちゃいいなと思って、めっちゃ嬉しかったです。興奮しましたね。鳥肌立ったし、こんなところでできる日が来るとはって感じで、ちょっとウルッとしましたね。」

 

――緊張っていうのは、いかがでしたか。

「緊張が本当なんかしなくて、楽しいーーーみたいな、早くやりたいっていうのがすごいありました。」

 

ーー80分間は、楽しい感じで。

「もう楽しくやりましたもん。(みんな)見てる。もうなんか、みなみ~とか言われて、見てくれてるみたいな。やっぱウイングで、目立つの好きなんで、嬉しかったです。」

 

――改めてですけど、名前が名字が変わったということで、ご結婚された後、プレーに変化っていうのはありましたか。

「家に帰って褒めてくれたりするのは、嬉しいので。そこは、すごい応援してもらってるなと思う日々です。練習から帰ってきたら、ご飯作ってくれたりとかもあったので、すごい嬉しかったです。野原って名前じゃなくて、鹿尾のままでやってもよかったんですけど、野原に変えたっていうのは、もう自分が新規一転で。ちょっと変化が欲しかったので、そこの名前を変えて、また野原っていう名前でも、結果を残していきたいなと思ったので、それが実現できてよかったなと思ってます。(鹿尾は、もう兄がいるので、兄に頑張ってもらいます。)」

 

――皆さん、名字変わって気づいてくださる方とかも多いですか。

「そうですね。名前が変わってるみたいな。私、SNSやってなくて、その発表とかもしてなかったので、結婚したの?みたいな感じで言われて、そうです!とか言って、みんなびっくりだったと思います。」

 

――では、ここまで応援してくださったラグビーファンの皆さんに。

「応援ありがとうございます。もう皆さんのこと大好きです。ありがとうございました。」

 

■東京山九フェニックス 塩崎優衣選手

 

――見事、2年連続優勝ということで、今日の感想をお願いします。

「本当にチームのみんなにも恵まれて、選手スタッフ全員で勝ち切れたことかなって思います。もちろん今日、23人試合に出たメンバーも大事ですけど、やっぱ支えてくれたチームメイトだったり、スタッフだったりあとは自分の家族だったり応援してくれる人のおかげで、無事に2連覇を勝ち気勝ち取ることができたと思ってます。」

 

――クロスボーダーマッチの後ということで、観客もいっぱいだったんですけども、何度も聞かれている質問かと思いますが、ご覧になっていかがでしたか。

「正直、そのクロスボーダーの試合を生で見ることはできなかったんですけど。でも、やっぱ女子ラグビーが、こういう男子の試合の後とか、特に今回クロスボーダーで海外のもう有名人たちがいっぱい来るような試合の後にやっぱやれるってのは、今までじゃ考えられなかったし。それだけ女子ラグビーが発展して、この変化をすごい感じましたけど。」

 

――準決勝はみずほでしたけども、それとはだいぶ違う雰囲気でしたか。

「そうですね。やっぱり会場に入ってるお客さんの数も違いましたし、なんか雰囲気もなんか違う感じがしました。」

 

――緊張っていうのはいかがでしたか。

「緊張は、私結構するタイプで、元々どこでも。やっぱり緊張はしましたし、ただ、みんなでそれも楽しもうって話してて、80分間楽しめたかなと思います。」

 

――優勝という目標は達成したと思うんですけど、今後どんなチームにしていきたいとか、何か目標はありますか。

「今後はやっぱこれまでフェニックスの築き上げてきたチームの文化を、また次入ってくる子たちにどんどん引き継いでいけたらいいなと思います。」

 

――では、ここまで応援してくださっていたラグビーファンの皆さんに一言メッセージいただいてもいいですか。

「本当に、いつも女子ラグビー、そしてフェニックスを応援していただいてありがとうございます。皆さんの応援がなければここまで勝ち切ることはできなかったので、今後もフェニックス、そして女子ラグビーの応援をよろしくお願いいたします。」

※塩崎選手は、この試合後に引退を表明しています。

 

●PEARLS 三谷咲月選手

 

――今日、24対40という悔しい結果だったんですけども、感想をお願いします。

「自分たちの練習してきた、予定していたプランで、ラグビーができなくて。フェニックスさんの強いフィジカルだったり、ブレークダウンのところで、私達がうまくできなかったのが、プランの遂行ができなかったのに繋がっていて、点数の結果に繋がったのかなっていうふうに思ってます。」

 

――具体的に、一番の敗因って、どんなところにありますか。

「しっかり準備してきてましたし、私達もご自信を持って、この決勝には臨んでたんですけど、やっぱり相手の勢いに止められ、止められなかった。アタックにしてもディフェンスにしても、やっぱりそこのフィジカル的な部分で負けてしまって、勢いの部分と、あとは自分たち自身のスキル的なミスが相手の勢いをさらに乗らせてしまったのかなというふうに感じているので、そこの部分でまだまだ強化が必要だなっていうふうには思っています。」

 

――今日は、クロスボーダー後ということで、みずほとだいぶ環境も違ったと思うんですけどいかがでしたか。

「クロスボーダーゲームの後ということで、たくさんの方に今まで女子ラグビーを見たことない方だったりだとかに試合を見ていただいて、少しでもこっちのラグビーも面白いなとか興味を持っていただいて、これからも応援していきたいなって思えてもらえてたら嬉しいですし、女子ラグビーって、まだまだこういう環境の中で試合っていうのはなかなかできないので、これから男子に負けず、広まっていって、こういう環境の中で試合ができれば、より嬉しいなっていうふうに思います。」

 

――ここまで応援してくださったファンの皆さんにも一言お願いします。

「たくさん、本当にありがとうございました。日本一という結果で恩返しただできれば、最高の形だったんですけど、そういう形で最後締めくくれなかったので、また来シーズン、チーム一同、日本一に向かって頑張りたいと思いますので、引き続き応援のほどよろしくお願いします。」

 

あとがき

個人的には、クロスボーダーが色々考えさせられる試合だったので、女子の決勝との抱き合わせの日程が良かったなと感じました。

ラジオを聴いていただいている方は編集長のコメントも聴いているかもしれませんが、女子ラグビー選手は「自分のチーム+女子ラグビー界の発展」についても、欠かさずコメントをしてくれるんですよね。

それは、過酷な環境で練習をしてきているという裏返しからかもしれませんが、よりよい環境で彼女達がプレー出来ることを願って、引き続き取材をしていきたいなと思います。

この後、女子は「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2024」が、4月6日(土)~7日(日)の北九州大会に始まり、熊谷大会、鈴鹿大会、花園大会の全4大会を実施。福岡県・ミクニワールドスタジアム北九州で本大会を実施するのは今回が初めてだそうです。

引き続き選手の声は、「ラグビーカフェオンレディオ」でお楽しみください。(有働)

 

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【2022年6月1日現在、全国6局ネット放送中】
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