ラグカフェ編集部の取材メモ

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●取材班
(尾)おもに男子 (さの)おもに山梨・府中
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(岡)おもにタグ (夏)おもに女子セブンズ・大学
(編集長)おもに世界

6月にワールドシリーズの2025-26シーズンを終えたばかりの7人制ラグビー、セブンズ。フランス・ボルドーでの最終戦をもってサクラセブンズが総合6位で終えたことはレポート済みだが、そのわずか2週間後には、女子セブンズの国内最高峰の大会である「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2026」が開幕した。

3大会にわたるポイント数で順位を決めたあと、グランドファイナルにて総合順位を決定する。昨シーズンと同様の大会数だが、細かいフォーマットに変更があり、それが順位決定にどのように影響するか注目されるなかスタートした。

 

第1戦の熊谷大会の詳細は、協会からのリリースを参考にしていただきたいが、結果は、昨年まで総合3連覇のながとブルーエンジェルスが、今シーズン初戦を優勝で飾った。準優勝はPEARLS、昨シーズン総合5位の日本体育大学ラグビー部女子が3位、4位はこの太陽生命シリーズでは長らく下位にいる横河武蔵野Artemi-Starsが続いた。

 

 

第2戦は栃木大会。7月11日と12日の2日間、リーグワンD1の栃木ホンダヒートのホームスタジアムであるホンダヒート・グリーンスタジアムで初開催となった。JR宇都宮駅から宇都宮ライトレールという路面電車で30分弱。大手企業の工場が立ち並ぶ、所在地名も「工業団地」の一角に、スタジアムはある。初めて訪れたが、客席から見える景色は、周囲は木々に囲まれ、ほかの建物の存在を感じさせない、想像をはるかに超えるのどかさだった。

 

 

この第2戦から暑熱対策がとられ、両日ともに最初の試合開始は15時となった。全ての試合終了は21時近く。開催時間短縮の影響もあってか、熊谷大会は3プール、各組4チーム総当たり戦で全体順位を決め、上位8チームまでが決勝トーナメントを、下位4チームが9位〜12位の順位決定戦を行なっていたが、栃木大会からは各組3チームの4プールとなり、初日に総当たりの2試合を行ったうえで、各プールの順位により2日目は1〜4位、5〜8位、9〜12位の3カップでトーナメントが行われた。そのため、初日にプール1位とならなければ優勝のチャンスは消滅する。熊谷大会から3週間、その間の修正と仕上がり、さらに1試合目から気が抜けない中、各チームの試合運びが焦点となった。

 

 

初日を終え各プール1位は、ながとブルーエンジェルス、PEARLS、日本体育大学ラグビー部女子、と熊谷大会3位までの顔ぶれに加え、前回5位だったナナイロプリズム福岡。2日目はその4チームで優勝を決める決勝トーナメントを行うこととなった。

 

 

今大会は都合上、現地取材は初日のみ。大会時間の短縮から選手への取材機会の調整も難しくなり、2選手にだけ話を聞いた。

 

まず、東京山九フェニックスから岡元涼葉選手。昨年6月の熊谷大会で負傷し、治療、リハビリを経て、1年ぶりの試合復帰となった。

 

―――1年、長かったですね……久しぶりの試合はどうだった?

「長かったです。本当に、ずっと緊張していて、寝ようと思っても試合の映像が浮かんでしまうくらいでした」

 

―――いま終えた試合は惜しくも敗れたが、岡元選手の存在感は光っていた。手応えは?

「これまでとフォーマットが変わって、初日に2勝しないとベスト4に入れないという状況で、チームとしては熊谷大会で悔しい思いをしてから全員で練習してきた成果が……ながとには負けてしまって個人的にはまだまだなんだけれど、少しは出せたかなと思います」

 

―――熊谷大会から3週間、チームとしてどこにフォーカスして準備をしてきた?
「アタックではサポート、バーバリアンズとながとには外に早いプレーヤーがいるので、そこを徹底的にやってきました」

 

―――岡元選手は、試合は楽しめた?

「そうですね、楽しかったです。お客さんと近くて」

 

―――この1年、メンタル面ではどう調整してきた?

「前十字(靭帯)はリハビリにすごく時間がかかってしまうので、はじめはなかなか切り替えられない部分があったんですけど……チームメイトや友だち、会社の方にサポートしていただいて、ここまで来られたと思います」

 

―――いちばん気持ちを支えていたものは?

「このフェニックスで、もう一回みんなとラグビーしたいという気持ちがありました」

 

―――今日はその部分は味わえた?

「はい! 楽しかったです」

 

―――改めて、ファンの皆さんには自分のどんなプレーを見てほしい?

「キャリーが得意なので、明日は自分からチームのモメンタムをつくれるように頑張っていきたいと思います」

 

―――グランドファイナル入れてあと2大会、チームとして目指すところは?

「優勝です!」

 

―――最後に、待ち望んでいたファンの皆さんへメッセージを

「いつも応援ありがとうございます。フェニックスとしても個人としても、いい結果やいいプレーができるように頑張っていくので、応援よろしくお願いします!」

 

 

誰からも可愛がられるような人懐こさは変わらず、試合直後で「汗だくです……笑」と言いながらインタビューに答えてくれた。

わたしは前十字靭帯など切ったこともなく、だから、どれだけ心身ともに痛みを伴うものかは計り知れない。アスリートなら尚のこと、復帰に向けての不安や恐怖もあるだろう。そうした困難を乗り越えてまたピッチに戻った姿は、生き生きと輝いていたし、きっと今まで以上の強さを身につけただろうと思う。2024-25シーズンのサクラセブンズの活躍を語る上では欠かせない選手であることは間違いなく、機敏に動きボールを運ぶ姿は海外のセブンズファンからも賞賛されていた。代表での再びの活躍に、期待が高まる。

 

岡元涼葉選手

 

フェニックスは初日1勝1敗で、プール2位通過。翌日はカップ戦で2勝し、優勝は逃したが、熊谷大会9位から順位を上げ5位で栃木大会を終えた。

 

 

続いて、追手門学院大学女子ラグビー部VENUSの松田向日葵選手。熊谷大会から勝ち星がなく、この日も2戦2敗と厳しい戦いが続いていた。インタビュー直前の横河武蔵野Artemi-Starsとの試合は、アタックのシーンでリズムが感じられる展開もあったが、代表キャップを持つ小西のトライと松田のコンバージョンでの得点のみ。7-15で敗れた。手応えを感じる内容だっただけに、選手たちの悔しさがあふれ、試合後のハドルが解かれると涙を流しながら引き上げてくる選手もいた。

 

―――悔しい結果の初日、振り返って

「1試合目は格上の相手ということで、ナナイロさんの思い通りにさせてしまった試合だった。熊谷大会から変わったところを見せたかったけど、1試合目ではあまり出すことができなかった。2試合目に向けては、アルテミさんに勝つことだけを考えて、修正というよりも自分たちがやってきたことをもう一度確認して、アルテミさんに勝つ。そのための時間を過ごしていたんだけれど、最後勝ちきれず本当に悔しかったのと、太陽生命はじまって初めていい試合ができた、いいところまで行けそうだったというところは収穫にして、次に繋げたいと思います」

 

―――1試合目と2試合目の間で確認したのは、気持ちの部分?

「気持ちの部分と言えばそうだけど、上がるディフェンスのところで上がりきれていないということがあった。自分たちのスローガンは『All Out』なのですが、熊谷大会で1試合も勝てず、歯も立たなかった。自分たちが出しきることで少しいい勝負に持ち込める、と監督も身体を張って指導してくれているから、気持ちの修正と、やってきたことを出そうというところの修正です」

 

―――松田選手の動きだけ見ても、1試合目と2試合目では違っていた。手応えは?

「自分の強みであるランとか、基本に忠実にやりたいけど、ランでもタックルでもそれを出すことができなかった試合が多かった。アルテミさんとの試合では思いきって仕掛けられたところもあったから、次に繋げていきたいと思います」

 

―――あっという間に4年生、最終学年。残りを数える方が少なくなったが、どうシーズン過ごしたい?

「学生でできる試合が残り少ないので、7年間やってきた追手門学院というところに、プレーで感謝を伝えたいし、最低限しっかりコアチーム残留して、欲を言えば……今まだ言えるチームの一員ではないけど……ベスト8、ベスト4にいきたいと思っています。これからもラグビーは続けるので、太陽生命シリーズという大会を通して、自分自身も練習から、1回1回に集中して成長したいと思います」

 

―――代表としての活躍も期待したいが、そのあたりは?

「代表でラグビーすることは自分の成長にもつながるし、オリンピックで金メダルを獲るという代表の目標に魅力を感じるので、自分もその一員となれるようにもっともっとギアアップして、自分の良さをアピールしたいと思っています。でも、まずはチームの目標である『All Out』に目を向けて、チームに貢献したいと思います」

 

―――グランドファイナルまでの2大会への意気込みと、ファンの皆さんへのメッセージ

「まず明日は、いちばん下のグループにはなってしまったんですけど、このままでは絶対に終わりたくないので、1点でも多くとって最後は勝ちきるというクセをつけて、次の大会に繋げたいと思います。北海道はどうなるかわからないけれど、北九州はベスト8、ベスト6という目標、立てた目標は達成できるように、個人としてもチームとしても頑張りたいです」

 

 

ワールドシリーズは、チャンピオンシップ最後の2大会を欠場。心残りもあったと思うが、そこで見えたこともあっただろうと思う。「年内中に代表に選ばれたい」と目標を宣言し、わずか2週間後に実際に世界の舞台に立ったのが2年半前のこと。単位が危うい時もあったようだが…学業と両立しながらプレーヤーとして成長してきた。ファンとしては、岡元選手同様、彼女たちがピッチに立たない試合を目にしたことで、むしろその存在を意識することになったのではないかと思う。「これからもラグビーを続ける」と、また新たな目標を力強く言葉にしてくれた。引き続き、しっかり注目していきたいと思う。

 

ただし、チームとしては、翌日も“勝ちきる”試合ができず、熊谷に続き栃木大会も最下位に終わった。

 

松田向日葵選手

 

 

栃木大会2日目の詳細や最終結果も、大会からのリリースをご覧いただきたい。決勝カードは、ナナイロプリズム福岡vsながとブルーエンジェルス。決勝らしい接戦で延長戦にもつれ込み、最後はベテラン中村のトライでナナイロが初優勝。こうした、言ってみれば泥臭い試合を、女子セブンズの大会で観られる、ということを多くのラグビーファンの皆さんに知ってほしい。

 

 

 

その女子セブンズ、女子ラグビーの魅力をもっと広く知ってもらうためには、まだまだ課題がある。今回の大会を通して見えたことや感じたことは、改めてまとめようと思う。

 

さあそしていよいよ今日からは、第3戦北九州大会がスタートする。あと2時間後に、第1試合のキックオフとなる。この大会をもってひとまず順位を決定し、来月のグランドファイナル札幌大会へと舞台を移し、今シーズンの頂点が決まる。

現地観戦できない方は、ぜひ配信で試合を見守っていただきたい。そしてラグビーカフェでは現地取材するので、会場の様子と併せて選手の声をお楽しみに。

(夏)