アーティスト自身をどのように強調するかに先立ち、大きな絵をどのように完成させるかに焦点を合わせたようだ。 ボーカルパートでのR&Bメロディーはなかなか近寄らない。 ティファニー個人が持つ比重と四方の楽器に付与された比重の間には大きな差がない。 収録曲の面々を見てみよう。 強烈で早くアーティストを刻印させなければならない作品の中で、ティファニーは四方のサウンドに持続的に干渉される。 「I just wanna dance」ではコーラスを歌うボーカルの余白の間にシンセリフが浸透し続けるようにするうえに、「Talk」では短く作ったフックの旋律を繰り返すだけで、ぼやけたシンセサイザーラインが朦朧とした感じをよく造成できるようにする。 また「What do I do」では強く割り込む周囲のソースにも席を譲ったり、一度はやりすぎそうな「Yellow light」でも余裕を持って歌う。
既存のソロ曲、多くのOSTと比べてよく聞こえないボーカルに物足りなさを表すこともできる。 しかし、先に見せた得意技の不在に目を向けるよりは、今回のアルバムで獲得したスペクトラムの拡張と成功的なキャラクターの成立に重きを置いて意味を見つけたい。 本当に残念な点はミニアルバムというフォーマットが与える少ない曲数のトラックリストとアルバムの雰囲気とは多少合わないアコースティックバラードトラック「Once in a lifetime」の存在にある。 もちろん、それらが<I Just Wanna Dance>の価値を大きく色あせさせるわけではない。 良いポップアルバムであることは明らかだ。
-収録曲-
1. I just wanna dance
2. Talk
3. Fool
4. What do I do
5. Yellow light
6. Once in a lifetime