こんにちは
ジュエリーデザイナーの奥野貴子です
母のジュエリーを整理していてふと
「そういえば去年のいつだったかに
ブログでミキモトとペルシャ湾岸の話書こう」
って書いていたことを思い出しました
世間にはあまり知られてない
なかなか興味深い話があるのです
（ミキモトの話書かなくちゃって思いださせてくれた母のブローチ。多分ミキモト）
遥か昔に御木本幸吉が養殖真珠を生み出したことは
おそらく皆様周知の事実でしょう
ウィキにものっていますが
養殖が成功するまでの大体の流れを書きますね
幸吉は約130年前の1890年に
真珠の養殖に取り組みだします
1916年に真円の真珠を養殖することに成功し
特許を取得
（半円の真珠はずっと早くに特許がとれていた）
1918年には大量に養殖することが出来るようになり
すでにオープンしていたロンドン支店に供給
天然の真珠はパールダイバーと言われる人たちが
海に潜って一つ一つ採ってきました
それに比べて養殖真珠は一度に大量に採れます
（もちろん技術面や手間は大変なものでした）
当然お値段も安くなります
これを面白く思わなかったヨーロッパの宝石商が
「ミキモトの真珠は偽物だ
」
と言って裁判を起こし訴えてきました
この裁判は数年かかりますが最終的に
天然のものと何ら成分は変わらない本物として認められました
(あこや真珠ネックレス。ブローチはアクセサリー）
こうしてミキモトの養殖真珠は全世界を席巻するのですが
ここで憂き目を見るのが中東のペルシャ湾岸の国々
実はミキモトの養殖真珠が現れるまで
ヨーロッパの主要な天然真珠の産地がペルシャ湾でした
なかでも小国クウェートでは天然真珠が最大の産業で
ミキモトの養殖真珠の登場で
1930年代に国としての深刻な経済危機に陥ります
（GoogleMapより）
それまでかたくなに外貨に頼ることを拒否していたクウェートは
アメリカ資本の会社と組むことで
のちに世界二位の規模の油田開発に成功するのでした
実は御木本幸吉の養殖真珠の成功には
こんな物語が隠れていたのでした
クウェートの隣国・バーレーンでも
同様の流れで真珠産業から油田開発へと舵を切りました
（実はクウェートより時期はちょっと早い）
「国葬でのキャサリン妃のジュエリー」
の中でも書きましたが
バーレーンは故エリザベス女王の結婚のお祝いで
対のパールを贈りました
（そうだ！このブログでミキモトのこと書くって言ってます）
そのパールで作ったイヤリングは
エリザベス女王 → ダイアナ妃 → キャサリン妃
と受け継がれていっていますね
「国葬でのキャサリン妃のジュエリー」
の中に画像がありますのでチェックしてみてくださいね
◆追記◆
御木本幸吉って「真珠の人」って感じですが、実は最初はうどん屋さんだったんですよ
って話をしたら「そっちの方が衝撃かもしれない」と言われたので追記です(笑)
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