タンタン 第1巻

福音館書店から刊行されている「タンタン」シリーズ最新刊。
実は、このソビエト旅行が、
タンタンとスノーウィの最初の冒険旅行です。
顔がいまと全く違ってちょっとこわいかな…
原作が発行されたのが1920年代。
ちょうど戦争のまっただ中にあったヨーロッパはベルギーの新聞社
「VINGTIEME(20世紀の意)」の子供版「PETIT VINGTIEME」
のルポライターとして、タンタンはデビューを飾りました。

時代背景からも察することができるように、
痛烈な共産主義への批判と警戒とを絡ませたこの本は
タンタンの他のシリーズとは異なって、
ほとんど取材もせず客観性を欠くかたちで書き上げられていたため
作者のエルジェ自身、後世「若気の至りだった」と述べたと言われています。
それでもタンタンとスノーウィの絶妙なボケとツッコミ、
もとい夫婦漫才はこのときから既に健在です。

「タンタン きみってメカに強そうには見えないけど」
言いにくいことを随分はっきり言うね。

「バカなことはおよしって!」
無鉄砲なタンタンをいつも心配する(ちょっと保守的な)スノーウィ。

「後ろ前じゃないかと思いますけど どう見ても・・・」
またも冷静なツッコミ。

「タンタン 好奇心は いのちとり!」
実感のこもった一言。

「おちゃめさん!」
でもたまにやさしい。

「その年でそんな悪ふざけするの どうかと思うよ!」
年齢のことは触れないであげて…

「ビエーン ビエーン もうしないよう」
たまに調子に乗って痛い思いをすることも。
そしてそして、いざとなったら
とても頼もしい相棒でもあるのです。



うちのばか犬に爪の垢でも飲ませたい…
このタンタンの冒険旅行シリーズは、
80年代まで続き、タンタンはなんと月にまで旅をします。
なんというか、20世紀を象徴するような本だ。
作者であるエルジェが亡くなって
もう20年以上がたつけども、
いまでも世界のあちこちで子供たちが目をきらきらさせて
この本を読んでいるんだよね。
で、そのあと母親に
「スノーウィみたいな白い犬がほしいー!」
って。
わたしも欲しい…笑。
タンタンも、
年齢不詳な男の子ではあるけども
すごくかしこくて機転がきいてしかも運のいい(これ大事!)男の子だ。
なんだか「飛ぶ教室」の序文で作者のケストナーが
「かしこさを伴わない勇気はらんぼうであり、
勇気を伴わないかしこさはくそにもならない」
って書いてたのを思い出したよ。
※これも、暗に戦時下のナチスドイツを批判したもの。
●今回のベストショット●

ふたりだったらどこへだって行けるのさ。
ちなみに「スノーウィ」は日本だけの名前です。
ほんとうは「MILOU(ミルー)」という。
おまけ--------------------
意外と綺麗好きなスノーウィ。





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タンタン ソビエトへ
タンタンの冒険旅行21
エルジェ 作 川口恵子 訳
http://www.tintin.co.jp/
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