グレープフルーツ・シンドローム
グレープフルーツ・シンドロームは、
高校生の頃、受験勉強の英語のテキストで印象的だった文章。
確か、電通大かなんかの過去問。
仲のいい若い夫婦がいて、
その奥さんのモノローグのような文章なのだけども。
--------------------
だんなさんは、穏やかで、
いつも奥さんを大事にしてくれて、
奥さんはそんなだんなさんが本当に大好きで、
二人は安心感のなかで毎日を過ごしていました。
私たちはなんて理想的な夫婦なんだろう。
そう思っていた奥さんは、
二人の絆をより一層深めるために、
あることを思いつきました。

夕方、食事を終えると、
奥さんはだんなさんに向かってこう言いました。
私たちがこれからもっと仲良く暮らせるように、
今夜はお互いに対してちょっといやだと思っていることを
発表しあわない?
それから奥さんは、まずはお手本とばかりに
自分が普段、彼に対して思っていたことを
話しだしました。

私はあなたのグレープフルーツの食べ方がいや。
このだんなさんはちょっと変わっていて、
グレープフルーツを食べるときに、
皮をリンゴのようにらせん状にぐるぐると剥くのでした。
果汁が飛び散ってべたべたしたその様子がどうしても許せない、
奥さんはそう言いました。
(そういう生理的なものってありますよね。)
さあ、次はあなたの番。
奥さんはだんなさんの言葉をどきどきして待ちます。
だんなさんはむずかしい顔をして、
下を向いてしまいました。

そして長い沈黙のあと、
悲しそうに口を開いた彼の言葉はこうでした。
よく考えてみたけど、君の嫌なところはとても見つからない。
奥さんは拍子抜けし、それから泣きだしました。
この人はこんなふうに言ってくれるのに、
私はなんてくだらないことを考えていたんだろう。
グレープフルーツなんてどうでもいいじゃない。
お互いの嫌なところを挙げることより、
好きでいることのほうがずっと大切なんだわ。
それから奥さんは、このときの自分を
グレープフルーツ症候群(シンドローム)だったのだわ
と思い、もう二度とそんな些細なことで目くじらをたてるまいと
胸に刻んだのでした。
おしまい。

--------------------
これを読んだ高校生の頃は、
「ノロケかよ!」と思った記憶がありますが、
まだ覚えてるんだからオトメだね。
全体に三文小説みたいだけども、大事なことも言ってる気がして、
好きが普通になると、ほんとどうでもいいことや、
その人がいなくなることに比べたら小さなことがとても気になって、
すこしずつズレていったりする。
でもさ、好きの一点だけずっと見てられたら
すごく幸せだろうなー、って。
なんかそういうのって些細なことで冷めていくものでしょう?
このお話は、一見、妻のほうが幸せに見えるけど、
私は断然このダンナになりたい。
そこまで思えるって、なんてすごい!
※文章、記憶で書いてるので脚色あり。
大学はいってから一度探したんだけど、見つからなかったのでした。
高校生の頃、受験勉強の英語のテキストで印象的だった文章。
確か、電通大かなんかの過去問。
仲のいい若い夫婦がいて、
その奥さんのモノローグのような文章なのだけども。
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だんなさんは、穏やかで、
いつも奥さんを大事にしてくれて、
奥さんはそんなだんなさんが本当に大好きで、
二人は安心感のなかで毎日を過ごしていました。
私たちはなんて理想的な夫婦なんだろう。
そう思っていた奥さんは、
二人の絆をより一層深めるために、
あることを思いつきました。

夕方、食事を終えると、
奥さんはだんなさんに向かってこう言いました。
私たちがこれからもっと仲良く暮らせるように、
今夜はお互いに対してちょっといやだと思っていることを
発表しあわない?
それから奥さんは、まずはお手本とばかりに
自分が普段、彼に対して思っていたことを
話しだしました。

私はあなたのグレープフルーツの食べ方がいや。
このだんなさんはちょっと変わっていて、
グレープフルーツを食べるときに、
皮をリンゴのようにらせん状にぐるぐると剥くのでした。
果汁が飛び散ってべたべたしたその様子がどうしても許せない、
奥さんはそう言いました。
(そういう生理的なものってありますよね。)
さあ、次はあなたの番。
奥さんはだんなさんの言葉をどきどきして待ちます。
だんなさんはむずかしい顔をして、
下を向いてしまいました。

そして長い沈黙のあと、
悲しそうに口を開いた彼の言葉はこうでした。
よく考えてみたけど、君の嫌なところはとても見つからない。
奥さんは拍子抜けし、それから泣きだしました。
この人はこんなふうに言ってくれるのに、
私はなんてくだらないことを考えていたんだろう。
グレープフルーツなんてどうでもいいじゃない。
お互いの嫌なところを挙げることより、
好きでいることのほうがずっと大切なんだわ。
それから奥さんは、このときの自分を
グレープフルーツ症候群(シンドローム)だったのだわ
と思い、もう二度とそんな些細なことで目くじらをたてるまいと
胸に刻んだのでした。
おしまい。

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これを読んだ高校生の頃は、
「ノロケかよ!」と思った記憶がありますが、
まだ覚えてるんだからオトメだね。
全体に三文小説みたいだけども、大事なことも言ってる気がして、
好きが普通になると、ほんとどうでもいいことや、
その人がいなくなることに比べたら小さなことがとても気になって、
すこしずつズレていったりする。
でもさ、好きの一点だけずっと見てられたら
すごく幸せだろうなー、って。
なんかそういうのって些細なことで冷めていくものでしょう?
このお話は、一見、妻のほうが幸せに見えるけど、
私は断然このダンナになりたい。
そこまで思えるって、なんてすごい!
※文章、記憶で書いてるので脚色あり。
大学はいってから一度探したんだけど、見つからなかったのでした。






