枯れてもにほふ藤袴 紫式部は知っていた
ご訪問ありがとうございます
平安朝香道の朝倉涼香です
寒くなりました。
北では雪の情報が聞かれ
横浜でも暖房なしでは過ごせません
我が家の庭では
思い出したように
バラが咲いています。
バラはブルームーン
紫を帯びた淡いピンクで
「青いバラ」として作られたバラです。
良い香り~
枯れ庭で元気に咲いているのは
石蕗(つわぶき)に野菊
そしてバラなのです。
どれも香りがありますが
ツワブキは芳香とは言えません。
ツワブキもキク科なのです
10月の終わりから
菊たちが咲き始めました
黄菊が咲いて
リュウノウギクが咲き
野紺菊
これは伊藤佐千夫の
「野菊の墓」の菊では?
と言われていますが
我が家のは園芸種ですので・・・
きっともっと素朴な野菊だったと
思うのです。
このノコンギクは香りを感じません。
嵯峨菊
すうっと真っすぐ
立ち上がるのですが
倒れて
優雅ではなくなってしまいました。
最後に足摺野路菊と
薩摩野菊が咲きました。
どの野菊も菊の
苦くて爽やかな香り。
ほぼ1か月かけて
次第に色を変え
最後は茶色く染まり
枯れ菊となるのです。
枯れても枯れても
菊は永遠
人は菊に絶えることのない
命を見出しているのです。
炭になっては香りも消えますが。
10月半ば藤袴が咲き始めました。
蕾でも
ほのかに香りを放ち始めます
朝、雨戸を開けると
微かな芳香がしているので
咲き始めに気付くのです。
10月半ば
フジバカマとシュウメイギクと
仲良く咲いていました
今年の猛暑で弱々しい成長で
葉の色の変化もはやかったようです。
とうとうこのように・・・
それでも芳香に変わりはありません
手で触ると
カラカラッと音を立てて
崩れていきます。
「源氏物語」の中で
源氏の君の孫の匂宮(匂兵部卿)は
薫(源氏の子。実は源氏の正妻の
女三宮と柏木との不義の子)
が生まれつき持つ芳香に負けまいと
薫物創りや芳香植物に異常なほど
熱中していきます。
枯れた菊や枯れた藤袴を
大切にしているのです。
茶色に色を変えた藤袴
触るとカラカラッと音を立てて
崩れてゆく
フジバカマが
風に揺れ、生き生きと薫る
フジバカマの盛りの
その香りではなく
枯れた藤袴に触れると
手には、崩れて消えゆく
麗しい香りが残るのです。
その香りを感じ
指先に祈りを込めて
崩していった。
匂宮がそうだったのでは
と
枯れたフジバカマを崩しながら
思うのです。
藤袴に触れた手には
いつまでもその優しい香りが
残っていました。
紫式部も自ら枯れた藤袴を手に取り
枯れてもなお芳香を放つ
そのことを
紫式部は知っていた。
生まれながらに芳香を持つ薫
芳香を創ろうと努力する匂宮
どちらが幸せだったのでしょうか?












