今日は「重陽の節句」
菊の花は?
ご訪問ありがとうございます
平安朝香道の朝倉涼香です
今日は
「重陽(ちょうよう)の節句」
9月9日は菊を愛でながら
長寿や無病息災を祈る行事
として知られています。
五節句のひとつですが
現代では少々影が薄いですね
けれども平安の人々にとっては
とても大切で雅やかな節目でした。
旧暦の重陽の節句は
令和7年では10月29日。
9月では
菊の季節にはまだ早いのです。
重陽の節句に欠かせないのが
「菊」
古来、中国では菊は不老長寿の象徴とされ
延命の力をもつ花と信じられてきました。
平安時代の宮廷でも
この日に菊の花を飾り
花びらを浮かべた菊酒を酌み交わし
歌を詠む宴が催されました。
菊の花に白い綿をかぶせ
一晩おき
朝露を含んだ「菊の被綿(きせわた)」で
体を拭い、健康と長寿を願ったのです。
そして菊は香りの文化
とも深く結びついています。
菊そのものは
強く薫る花ではありませんが
その「清らかさ」「気高さ」を
香りに託そうとしたのが
薫物の世界です。
『薫集類抄』(くんしゅうるいしょう)
には
菊の香をうつした調合が記されており、
平安の人々がいかに菊を大切に
思っていたかが伝わります。
平安朝香道で再現する
「菊香(きくか・きっか)」の薫物は
しっとりと落ち着いた趣を持ちながらも、
どこか凛とした気配を感じさせます。
まさに重陽の節句にふさわしい香り。
菊香の香りが立ちのぼると
千年前の人々が
同じ節句を祝ったその空間へと誘われ
心が繋がるように思えます。
季節を香りで映すことは、
ただの遊びや飾りではなく、
自然とともに生きる
知恵でもありました。
移ろう季節を感じ
そのたびに心を新たにする。
そんな平安人の感性を、
現代に受け取ることができるのは
とても幸せなことだと感じます。
今日でなくとも、明日でも
菊の花に目をとめてみてください。
重陽の節句があることを
心に留めていただけると
嬉しです。
菊茶をいただいたり
香りを想像してみたり。
忙しい日々の中で
ほんのひとときでも
雅な気配をまとって頂けたら
と思います。
残念ながら
我が家の菊はまだ咲いておりません
やはりもう少し涼しくならないと
菊の季節
の実感が持てませんね。
目の前に菊が咲く情景がなければ・・・