つゆを待つ梅花うつぎの香をかげば | 横浜の香り教室 平安の香りと親しむ平安朝香道

横浜の香り教室 平安の香りと親しむ平安朝香道

東急電鉄日吉駅3分にある平安の香りを創り楽しむ教室です。平安時代、貴族や「源氏物語」の主人公光源氏がたしなんだ香り創りや楽しみ方をご紹介。(by平安朝香道 朝倉涼香)

ハートつゆを待つ

   梅花うつぎの香をかげば音符

 

 

 

ご訪問ありがとうございます

平安朝香道の朝倉涼香です

 

 

 

関東地方もそろそろ

梅雨入り?

でもなさそうです。

 

今年は梅雨入りが

遅れるそうです。

 

 

今日は

パソコンのそばに

電子香炉を置いて

5月のお稽古の

「花橘」を聞いておりました。

 

 

「花橘」は薫物ですが

 

五月待つ花橘の香をかげば

昔の人の袖の香ぞする

 

 

この和歌が詠まれた時期の

旧暦皐月(さつき)は

梅雨に入るころか

梅雨入りして間もないころ

丁度、今頃の季節です。

 

 

 

 

 

作業をしながら香を聞いていると

突然の雨が降ってきたのです。

 

 

にわかに空がかき曇り

冷たい風が

ヒュ~~

と音を立てて

走り抜けました。

 

雷鳴が聞こえ

大粒の雨が降り始めました。

 

 

我が愛猫は黒猫

右往左往

 

助けて~ 

 

とたぶん叫んでいたのでは?

 

階段を

駆け下りたり

駆け上ったり

 

上下左右に

隠れ場所を捜して

駆け回ります。

 

傍にいれば

守って上げるのに~

 

そのような想いは届かず

狭くて暗い場所を捜して

しばらく駆け回っていました。

 

 

突然の大量の雨

最近は

ゲリラ豪雨

と呼ばれていますが

幸い、ゲリラ雷雨でした。

 

閉じた戸を少し開けて

庭を眺めていると

 

庭石や土

草木の葉や

今を盛りの

山紫陽花の花にも

容赦なく大粒の雨が・・・

 

葉や花を叩きつけるように

降り注いでいます。

 

 

 

 

 

 

ひとしきり降って

雨足も弱まって来ました

 

大きく戸を開けると

とても良い香りが

冷えた風と共に漂ってきました。

 

土臭さと共に

身も心も洗われるような

清々しい草木の緑の香り照れ

 

もう一つ

甘く清冽な香りが・・・

 

梅花ウツギの

ベルエトワールです。

 

雨が上がると

雨の香りの余韻を残して

甘く優しく

密やかに香って来たのです。

 

 

 

 

 

 

つゆを待つ

梅花うつぎの 香を嗅げば

古人(いにしえびと)の心思ほゆ

 

 

残念ながら

昔の人の袖の香ぞする

 

ではありません。

 

5月のお稽古は

「花橘」の薫物でしたので・・・

 

花橘と言えば

先ず心に浮かぶのが

 

「古今和歌集」の

 

 

五月待つ 花橘の香を嗅げば

昔の人の 袖の香ぞする

 

なのです。

 

 

古の人々は

橘の花の香りを

 

素晴らしい香り

懐かしい香り

哀しい香り

 

人それぞれが心に仕舞う

過去を想い起こさせる

花の香り

としてとても愛したのですね。

 

残念ながら

よみ人知らずです。

 

この詠み人は

どのような方だったのでしょう?

いろいろと想像を巡らすのも

愉しいものです。

 

 

 

残念ながら我が家の庭に

今咲いているのは

橘の花ではなく

梅花空木です。

 

本歌取りとも言えない

盗取り?

とでも言うのでしょうか。

 

 

つゆを待つ

   梅花うつぎの香をかげば

古人(いにしえびと)の心思ほゆ

 

 

と詠んでみたわけです。

 

 

 

橘の花の代わりに

薫物の花橘の香りも

古の人の想いを

想像しながら聞いてみると

その時々で

香りの感じ方が違って

とても不思議なこと。

 

花の香りは

ほぼ永遠に

変わることはないのですが。

 

 

「花橘」の薫物を聞くと

いつも詠み人知らずの歌が寄り添い

私にはとても気になる薫物なのです。