雛壇の謎 左近の桜は左近の梅 | 横浜の香り教室 平安の香りと親しむ平安朝香道

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東急電鉄日吉駅3分にある平安の香りを創り楽しむ教室です。平安時代、貴族や「源氏物語」の主人公光源氏がたしなんだ香り創りや楽しみ方をご紹介。(by平安朝香道 朝倉涼香)

ピンクハート雛壇の謎

  左近の桜は左近の梅

 

 

 

ご訪問ありがとうございます

平安朝香道の朝倉涼香です

 

 

 

 

先週の金曜日は桃のお節句

ひな祭りでした。

 

 

 

 

 

 

皆様は3日にお雛祭りをなさいましたか?

今年は土、日を選んだ方が

多かったのでは?

 

我が家は昨日でした。

総勢十人

二人欠けましたが

賑やかなことこの上なし

 

すっかり疲れてしまいました。

 

 

お節句のだいぶ前から

桃と菜の花を生けておりましたので

花たちもだいぶお疲れとなりました。

 

 

桃の花がないと

おひな祭りは少し寂しい

そのように思います。

 

 

 

 

 

雛壇に飾られているのは

桃の花ではなく桜と橘

 

 

お内裏様(男雛と女雛)の左右には

左近の桜

右近の橘と申しますが

左右に桜と橘が飾られています。

 

関西と関東では女雛と男雛の左右が逆

となりますが桜と橘は同じです。

 

 

 

京都御所 紫宸殿

 

 

関西では古来からの朝廷の儀式に従い

紫宸殿(ししんでん)を背にして

左に男雛、右に女雛

(向かって左に女雛、右に男雛)

となります。

関東では、昭和天皇御即位の礼に習い

紫宸殿(ししんでん)を背にして

左に女雛、右に男雛

(向かって左に男雛、右に女雛)

となりました。

 

植物の位置は変わらなかったのですね~

 

 

 

京都御所 左近の桜

 

 

 

平安時代末期の「古事談」によると

794年(延暦13)の平安遷都時には

梅が植えられ

一度枯れたということです。

梅の木を植え直し(桜とも言われています)

760年(天徳4年)の内裏の火事で

梅の木も共に消失したのです。

 

その後桜が植えられたのでした。

 

元嵯峨天皇の離宮であった

大覚寺の寝殿には現在も

左近の梅と右近の橘があるのです。

 

 

 

京都御所 右近の橘

 

 

一方橘は、平安遷都以前からあった

橘の木でした。

(平安宮以前はこの辺り一帯は

橘氏の敷地。

橘氏は聖徳太子の側近であった

秦河勝が祖先とも)

 

 

それでは左近には

梅を飾ってもよいわけですね。

 

 

平安時代の紫宸殿の南の庭では

冬の最中も馥郁とした梅の花の香りが

漂っていたに違いありません。

 

 

お雛さまを飾るとき

梅花を薫きながら作業をしました。

 

とても芳しい香りに包まれて

幸せな気持ちで行ないました。

 

今回はお稽古で使用した

二条関白の薫物を燻らせてみました。

 

お片づけの時にはどれにしましょうか?

お片づけの薫物は

甘さを控えた「梅花」にしましょう。

 

これが空薫(そらだき)

今で言うルームフレグランスです。

 

億劫になる作業の最中も

薫物の香りで

とても幸せな気分となるのです。