このブログは子供に中学受験させるべきか、それとも公立中学に進学させるか悩まれている親御さん向けに書いています。お役になれば幸いです。

 

 

この間、公立中学の卒業式がありました。小学校からの同級生たちの姿もちらほらと見かけました。みんな、大きく成長し、その中にAくんの姿もありました。

 

Aくんの話

Aくんは根っからのスポーツ少年で、小学生の頃は塾にも通わず、ひたすら毎日、勉強しないで野球やったり、公園で日が暮れるまで遊んで過ごしていました。昭和の頃の子供たちはみんなあんな感じだったと思います。彼は友達同士で話す時は大抵下ネタで盛り上がる、どちらかというとおバカキャラで、決して勉強が得意だった訳でもありませんでした。

 

Aくんは息子と同様、地元の公立中学校に進学しました。中学でも相変わらず、友達同士の会話はもっぱら下ネタで「彼女欲しいなぁ〜」が口癖でした。でも残念ながら女子からはモテませんでした。そんな彼でしたが、中学1年生の春、クラスの友達同士で誘い合って近所にある中堅進学塾に入塾しました。「俺たちは駅前の○○塾に通い始めたんだぜ。」と休み時間に息子に話したそうです。

 

月日は流れ、あっという間に中学3年生の秋になりました。彼は相変わらずお調子者。学校に上位の都立高校の過去問を持ってきて「俺の志望校の過去問、こんなのちょろいぜ。」と自慢していたそうです。息子は「マジでアホだなぁ...レベルが高すぎて受かる訳ないじゃん。」と思っていたそうです。

 

 

が、しかし...

 

 

彼とその塾仲間の友達たちは学校の内申でかなり良い結果を叩き出し、一般入試でその都立進学校に合格しました。彼が小学一年生の頃から知っている私たち夫婦はその話を聞いて「マジか!ポーン」と驚かずにはいられませんでした。その高校は偏差値70を超えます。大学受験の合格実績では早慶がコアになります。しかも彼の希望通り、男女共学です!飛び出すハート

 

 

中学受験の熱量は何だったのか?

Aくんの話を息子から聞いて、自分が経験した中学受験の熱量はなんだったのだろう?と思います。

 

「中学受験して中高一貫校に進学しないと大学受験がヤバい。」とか「私立に入らないと低レベルの公立中学が待っている。」「内申は理不尽。」とか、そういう情報が溢れていて、危機感を夫婦ともに感じていました。私にとって公立中学は昭和の頃の「人生ゲーム(ボードゲーム)」の「貧乏農場」みたいな感じに思えました。

 

 

 

 

地震やコロナなどの災害時にスーパーでトイレットペーパーが売り切れになるじゃないですか。テレビで煽られた人がパニックになり買い占めてしまう。それに似た危機感が中学受験にはあって、周囲には熱心に子どもを中学受験に駆り立てる親が大勢いました。

 

中学受験のリスクについてまともに話しているYouTube動画は当時、ほとんど見かけませんでした。マスクド先生やコバショーくらいだったと思います。今でもほとんど見かけません。余談ですがインターナショナルスクールについても、そのリスクを語っている動画はとても少ないです。

 

 

↑コバショー

 

 

 

↑マスクド先生

 

昔の話ですが、知り合いに我が子を早稲田大学に入れる為に、遥か遠く、早稲田佐賀中学に入れるご家族がいました。子どもは小学校卒業後に親元を離れ、佐賀県で6年間の寮生活です。親子で過ごせた時間は小学校卒業まで。親は日々の生活の中で子供が成長していく様子を感じる事はできません。学費、寮費も高額になるので本当に大変です。同校は系属高校なので、早稲田大学への推薦進学率は50%です。それでも我が子の将来を一番に考え、断腸の思いでお子さんを送り出したのだと思います。

 

中学受験の熱量は本当に凄まじいものです。払う犠牲も大きいです。時に毒親になってしまったり、家庭が崩壊するケースもあります。でも実体験から言えるのは、もし小学生の子供がまだまだ幼く中学受験のハードルが高すぎると感じていても、公立中学校で信じられないくらい大きく成長するものです。

 

特に中学受験で大学附属に入れてしまうのは、子供のポテンシャルを摘みかねません。日東駒専レベルの付属校受験は本当に良く考えた上で判断した方がいいと思います。中学受験で日東駒専の付属校に入れる子は、そこで入学せずに公立中学に進んでサピックス中学部や早稲アカなどの進学塾に通えば、高校受験では早慶附属を狙えるまで成長できる可能性は十分にあります。早慶を目指して届かなかったとしても併願のMARCH付属校は現実可能になったりします。

 

まだまだ拙い小学生の場合、問題が解けない事で親御さんがイライラしてしまったり、怒鳴ったり、ポテンシャルを感じられない時もあると思います。そんな時は高校受験に向けて目標を変更するのも手です。(現にサピックス中学部では小学5年生から高校受験に向けたコースがありました。)

 

子供のポテンシャルはとても高く、中学校で大きく成長するものです。

慶應付属高校  偏差値38以上

早稲田付属高校 偏差値40以上

 

これが2024年度、早慶の自己推薦で必要な内申点でした。息子はギリギリ38だったので慶應志木の自己推薦に出願する事にしました。(戦友たちは早々に内申を切り捨てていたのに、心配性の息子はサピックス中学部に通いながら、地道に学校の勉強やって内申を確保していました。それが果たして良かったかというと...足りなかった方が諦めがついて一般入試に専念できていたのではないかと思います。)

 

自己推薦のメリットとしては受験するチャンスが1回増えますが、受ける事によるデメリット(リスク)については深く考えていませんでした。実際に経験して分かった事について書きます。早慶を目指してサピックス中学部や早稲アカなどに通い、自己推薦入試も受けるべきか考えている親御さんの参考になれば幸いです。(もちろんあくまでも我が家の体験談であり、ご家庭によっては事情が異なる場合もあります。予めご了承ください。)

 

下記は我が家が経験から分かった自己推薦のリスクについてです。

 

1.準備に時間を要する

まず書類選考があります。書式をWEBよりダウンロードしてプリントアウトして記述します。書式は大きく3つの項目がありました。

 

a.志望理由

b.熱心に取り組んだ事柄、そこから得たこと

c.高校で学びたいと考えていること

 

各項目は文章が長すぎても入りきれないので、要点を絞って文章量を調節しなければなりません。子供の文章力が求められ、下書きをして何度も書き直しをして完成度を高めるのは時間がかかります。息子は学校やサピックスの先生にチェックしてもらいました。これに実績などがわかる資料を書式に貼ります。スポーツの結果(賞状)、英検結果などをコピーして貼りました。内容もさることながら、字も綺麗に書かないといけない、誤字脱字があったら書き直しと、地味に時間がかかっていました。

 

2.面接の準備もしないといけない

書類選考の合格発表翌日には面接があります。なので書類選考に通るか分からないのに、面接の練習をしなければいけません。(書類選考で落ちた場合、この努力は無に消えます。)息子は中学、サピックス両方で先生に時間を作ってもらい何度も練習していました。

 

3.不合格が予想以上にキツかった

息子の場合、書類選考は通りましたが面接で落ちました。自己推薦は落ちた場合の精神的なダメージが大きかったです。自己推薦で落ちるのは例えて言うなら、好きだった人にフラれてしまうような感覚です。自分のどこが悪かったの?一方的に相手から別れ話を切り出される感じに似ています。しかも、その1週間後には本格的な一般受験シーズンがスタートします。我が家ではそのダメージを引きずったまま突入してしまいました。ゲッソリ

 

 

自己推薦型入試とは?

そもそも自己推薦型入試とは、学力検査だけでは測れない生徒の個性や活動実績を評価する目的で行う選抜方式のことです。どちらかといえば進学塾でずっと勉強している子よりも、部活等で思いっきり頑張ったなど中学3年間で貴重な何かを学んだ子を対象にしている感じです。特に志木では部活の実績よりもそこから学んだ事を重要視していました。自己推薦の「席」はそういう子達の為に用意されているものであって、サピックス中学部や早稲アカで必死に勉強して、一般受験で十分に合格できる実力がある子たちがその「席」に座ってしまうのは、自己推薦型入試の本来の意図とは違う気がしました。息子には「あなたは一般入試で合格して入ってきてください、っていう事だと思うよ。」と言っています。

 

ここからは余談です。

以前、中学校の先生から聞いた話です。

 

「以前、日比谷を自己推薦した子がいて、その子は成績はオール5。内申もパーフェクト。性格も良くて、先生方はみんな、この子だったら日比谷の自己推薦、受かるだろうって思っていたんですよ。そうやって送り出したんです。でもねぇ、落ちちゃったんですよ。自己推薦の審査基準って全く分からないんですよ。本当に分からないと思いました。」

 

この話を聞いた時、あなたみたいな優秀な子はぜひ一般入試で入ってきてくださいという事なのか?そう思いました。

 

自己推薦型というのは一般入試とは全く違う価値観での入試方式なので、サピックスでも一般入試を目指して努力している生徒が受けるのを積極的には推奨していませんでした。保護者会でも「自己推薦というのは受かればラッキーという程度に考えてください。」と説明していました。

 

サピックスや早稲アカで必死に勉強しながらも、内申点が38や40を超えると「自己推薦」を受けるか、受けないか、悩むご家庭も多いと思いますが、そもそも入試形式が一般入試と大きく異なり、その準備の為に時間を割くより、一般入試に集中した方がいいと個人的には思います。(もちろん中学時代の子どもの活動状況によっても異なります。)

このブログは高校受験の進学塾を検討している人、特にサピックス中学部を考えている人に向けて書きます。

 

息子が中学受験で、立教池袋と日大豊山が不合格になった翌日には、高校受験に向けての調査を始めました。高校受験に関しては全く予備知識もなく、中学受験と比べてインターネット上の情報量も少ないので、正直、よくわかりませんでした。とりあえず各進学塾のWEBから資料を請求し、その中で実際に見学に行ったのは「サピックス中学部」と「早稲田アカデミー」でした。

 

サピックス中学部と早稲田アカデミー

我が家が結果的に選んだのはサピックス中学部でした。決め手は単純に家からの通塾時間と通いやすさでした。電車の乗り継ぎと時間が短かった、それだけの理由です。とりあえず新中1 準備講座を受講し、そのまま入塾テストを受けてサピックスに通うことになりました。

 

サピックスといえば中学受験で有名です。たくさんのクラスがあり、トップクラスに入る為の激戦が繰り広げられているスパルタな印象しかなかったので、息子が授業についていけるのか内心不安でした。同じように我が子にはハードルが高すぎると思い、中堅クラスの塾を考えている親御さんもいるかもしれませんが、子供は中学時代に親の想像を上回るくらい成長する可能性を秘めています。子供は尻込みするかもしれませんがチャレンジしてはいかがでしょうか。ダメなら転塾すればいいのです。

 

サピックス中学部は早稲アカと比較して塾生の数が少ないです。校舎も都内では16校しかありません。1クラスの生徒数は多くて30〜40名くらいです。息子の校舎はもっと少なかったです。少人数制の授業で、子供はできない問題について質問しても時間を割いて対応してくれました。

 

子供をサピックスに入れるならばできるだけ早い時期がいいです。サピックスは先取り学習で、中3では志望校対策がメインとなります。そのため中2の2月までに中3までの学習範囲をほぼ終了させてます。(他の進学塾もほぼ同じ)途中から入塾してくる子も珍しくありませんが、そういう子たちはサピックスの学習進行についていくのに問題がないくらい、自己学習をやっていた子たちです。なので高校受験は中1の最初からスタートさせるイメージを持たれるといいかもしれません。(確かに部活動等の活動も大事ですし、どの程度の偏差値帯の高校を目指すのかにもよりますが、早慶を目指す息子は中学時代は高校受験の為の予備期間だと割り切っていました。)

 

サピックスのクラス編成

サピックスでは、基本的に生徒はXクラス(基礎クラス)とYクラス(応用クラス)に分かれて授業を受けます。塾生の多い校舎は3クラス編成です。(塾生数が多い場合は、それに応じてクラス数を増やす感じです。)クラス分けは、基本的に月1のマンスリーテスト、サピックスオープンでの偏差値が基準となります。

 

感覚的にはXクラス(基礎クラス)でも、MARCHレベルの付属校、みんなの高校情報では70くらいの高校までは努力すれば狙えます。ただし年々、MARCHレベルの付属校は難化している傾向なので注意が必要です。Yクラス以上であれば早慶以上を狙える感じです。(早慶各校を受験して1校は合格する感じで考えた方がいいです。)また早慶が不合格でも着地点としてMARCHには合格する感じで考えていた方が良いかもしれません。

 

サピックスのクオリティ

サピックスは間違いなくハイクオリティです。英語に関しては息子はほぼ0からスタートし、慶應義塾高等学校の英語長文を理解できるレベルにまで成長したのは本当にすごいと思います。

 

 

 

↑慶應義塾高等学校の英語試験の難しさが分かる動画です。私は息子が中1の頃に見て卒倒しました。(受験が終わるまで息子には見せられませんでした。)この動画を見た時は、これは息子には無理ゲーだろうと思っていましたが、サピックスは、このレベルの問題が解けるようになるまで息子の英語力を上げてくれました。

 

国語に関しては小学校卒業時の息子は壊滅的(絶望的)でしたが、サピックス中学部の授業で信じられないくらい爆上げしました。これは本当に夫婦で感動しました。「テキストで取り上げる長文がこれまた良質なのよ」と妻が言っていました。また先生の指導で、毎回、長文の要約をしたのが大きかったと彼女は分析しています。

 

復習を重視

サピックスは復習を重視します。予習する必要もありません。入塾最初の頃に息子は復習ノートの作り方、復習の仕方を習いました。多くの子どもは「復習」の重要性をなかなか理解できないものです。過去のテストでできなかった問題を見直すのは面倒臭いですし、出される宿題ばかりこなす感じに陥りやすいです。我が家では、妻が息子に復習の仕方に慣れるまで、付き添って教えてました。宿題量は適度な量に抑えられていたので、息子が宿題以外に復習できる余力があったのは良かったです。サピックスで実力を伸ばすには、復習の仕方を理解し、自主的に実践できるかが鍵となります。

 

 

 

中1の頃、サピックスの担任に、「サピックスの勉強以外に単語帳で暗記するなど家庭学習量を増やす必要があるでしょうか?」と質問した事がありましたが、下記のような返答でした。

 

「中1、中2の段階で子供に詰め込み過ぎないでください。中3で息切れしてしまうのでやめた方がいいです。」

 

なので、その通りに従い、中1、中2は水泳選手コースの練習もやっていましたし、それなりに自由に過ごしていました。

 

授業料

サピックス中学部は明朗会計です。これは大きな特徴の一つかもしれません。追加のオプションなど予期しなかった出費がありませんでした。授業料はホームページに掲載されている通りです。ちなみに合格実績もサピックス中学部全体の生徒総数(男女別)が表示されているので、どのくらいの割合で合格しているのか、計算すれば分かります。(ぜひ計算してみてください。)

 

以上が、サピックス中学部に息子を3年間通わせた感想です。正直、高校受験での知名度、認知度は早稲アカの方が上です。生徒数も負けています。ですが息子の扁桃体の暴走というハンディキャップを考えると、サピックスで良かったと思います。

 

もしサピックス中学部にこれからお子様を通わせるのであれば、下記が私からの勝手なアドバイスです。皆様が志望校の合格を掴んで頂ければ幸いです。

 

1.復習すること

「復習」を行い、分からなかった問題、単元を残さないようにすることが重要です。この習慣が習慣化できれば最強です。自己流でなんとなく復習する、みたいなやり方はNGです。復習ノートを作って、解けなかった問題などを書き込み、理解できるまで繰り返ししつこく復習するのが大事です。

 

2.宿題は必ず提出

毎回、出される宿題は夜遅くまでやらないとこなせない量ではないです。サボらずに毎回、必ず提出することが大事です。(あくまでもサピックスの場合です。)

 

3.もちろん授業は真剣に聞く

当たり前の事ですが、ウトウトと寝ちゃう子もいます。

 

4.中3の夏期講習は重要です!

中3の夏、大事です。この期間しか受験勉強できる、まとまった時間は取れません。夏休み以降は学校も始まり、思ったより受験勉強の時間が取れないものです。なので、中3の夏は夏期講習を含め1日10〜12時間、勉強する事をオススメします。

 

5.自習室を利用する

夏期講習から息子は勉強は家でなく、サピックスの自習室で勉強していました。スマホ厳禁なので勉強に集中できます。(親に自習室で勉強するように言われた子がいましたが、ずっと寝ていたらしいです。志望校は落ちました。)

 

と言っても...

 

息子は扁桃体の暴走で本番に苦しんでいました。本番になると頭が真っ白になる。パニック状態になる。そういう子は他にもいらっしゃるはずです。そういう場合は根性論ではどうにもなりません。もし親御さんが子どもに異常を感じたら、本郷赤門前クリニックなどの医療機関で光トポグラフィー検査やカウンセリングを受けた方がいいかもしれません。我が家はそれで救われました。

 

と、まぁ、あたかもサピックスの回し者のようにベタ褒めしたブログを書きましたが、我が家の体験を通しての正直な感想です。

参考になれば幸いです。