中学受験当時、中受しないと大学受験に出遅れるという考え方が、私たち家族を取り巻く環境に蔓延していました。息子は中学受験に落ちて公立中学に進学しました。入学するまで、私が通っていた昭和時代の公立中学のように荒れているだろうと思っていました。

 

でも、実際はそうではなかったし、公立中学に進学して良かったと思っています。このブログでは、公立中学で得られた最も良かったこと、「社会性」について書きます。中学受験敗退組や、中受撤退組のご家族にとって参考になれば幸いです。

 

 

公立中学の内申について

 

実際に公立中学に入学してみると、内申の難しさを確かに感じました。東京都では副教科の評定を2倍して計算するため、副教科の内申点の重要性が高く、美術や音楽、体育など、もともと本人に才能がないと高評価を得づらい理不尽さを内包しています。息子は音痴で絵も下手であり、テストでは記述式でレベルが高い問題が出題されていたので、とても難しかったですが、何とか乗り切りました。内申が原因で公立中学を敬遠するご家族が多いのは、無理のない話です。内申制度すべてが間違っているわけではありません。こういう側面を是正するだけで改善されるのではないでしょうか。

 

内申制度の良い点は、社会で求められるスキルに直結していることです。日頃の真面目で前向きな学習態度や課題の提出、テスト勉強など、高い内申点を取ろうとする努力は、社会に出れば誰でも求められることであり、それを経験するのは子どもの教育にとって良いことだと個人的には思います。

 

 

公立中学の教育や先生の質

 

我が家にとっては、息子が通った地元中学は満足できる学校環境でした。地域によると思いますが、息子が通った地元中学は、子どもの成長を温かく見守り、質の高い教育を提供してくれたと感じています。公立学校なので、社会の縮図のような環境でした。

 

同級生には、私立中学から転校してきた子、帰国子女など、様々な境遇の子がいました。障がいを抱えている子もいましたが、同級生がみんなでサポートする風潮がありました。男子と女子の間のありがちな小さな問題もありましたが、最終的には仲良しになりました。三年間を通して、子ども同士の相互理解や思いやる気持ちが自然と育まれたと思います。息子は中学校に行くのが楽しみで、学校にいる間は受験勉強から解放された気分を味わっていました。進学実績もかなり良かったと思います。公立中学の他に進学塾で受験勉強をしてきた子たちを侮ってはいけません。中学時代の中弛みがなかったのに加え、高度な内容を勉強をしていますから、高校進学後、MARCH以上の難関大学を目指せるはずです。

 

 

高偏差値だから社会性も優れているとは限らない

 

社会性は「人が社会の一員として他の人と円滑な関係を築き、集団の中で適切に生活していくために必要な能力や性質」と定義されます。しかし、学校の偏差値と社会性は必ずしも比例しません。

 

息子は早慶付属という偏差値75レベルの高校に進学しましたが、社会性という点では、公立中学時代の同級生の方が優れていたと言っています。息子の高校はバランスが取れているというより、コミュニケーション能力や協調性に問題があるが、ある特定の分野の勉強が突出してできるようなタイプが多いそうです。

 

ゲームにはスキルポイントという概念があります。これは、キャラクターのスキルツリーで特定のスキルを習得するために使用するポイントのことです。人の脳も、このスキルポイントと似ていると個人的に思います。例えば、子どもに12のスキルポイントがあった場合、社会性4、勉強4、運動4に割り当てるとバランス型になります。一方、社会性1、勉強10、運動1に割り当てると、勉強に特化したキャラクターになります。勉強もできて性格も良いのが理想ですが、なかなかそのバランスを取れるのは難しいです。

 

高偏差値の学校であっても、内申点が合否判定に影響する公立高校の方がバランスが取れている子が多いように思われます。

 

 

社会人として求められる能力

 

社会人とは、社会で活動する人のことです。社会の一員として、仕事を通じて収入を得て生活を営むため、社会性が重要になってきます。そのため、子育ては、社会性を伸ばすことを念頭に、育てていく必要があります。しかし、実際は社会的に学歴至上主義の傾向を感じます。

 

私は大学卒業後、大手商社の子会社に就職し、20代はそこで働いていました。親会社の社員は国立、早慶上理以上の大学出身者がほとんどでしたが、私が勤めていた子会社はMARCH以下の大学出身者でした。毎年春になると、親会社から、出世街道から外された社員が送られてきました。うちの会社に左遷されてくる人はたいてい社会性に難のある方が多く、特に東大卒の方はとてもおかしかったです。

 

残念なことに、いくら高学歴で大企業に就職できても、社会性に問題があれば左遷され、数年後には子会社の正社員に移籍して、子会社の給与になります。私の上司も左遷組でした。上智大学出身でしたが、出世欲を失い、ボタンもネクタイも外してだらしない格好で過ごしていました。

 

親会社に在籍していた頃は、高額ローンを組んで家や車を購入し、子どもの学費も払っていたのに、子会社に移籍して給与が減ったことで、生活が大変になったんだろうと陰で言われていました。社会人の深海魚みたいなものです。そこから浮上できる見込みは一生ありません。当時、私は左遷された高学歴社員の末路にかなり衝撃を感じていました。

 

親のコネなど強力なカードがない限り、高学歴で大企業に入社しても、一生安泰とは限りません。仕事ができなければ左遷される可能性があり、特に社会性に難がある場合はその確率が上がります。

 

 

公立学校の魅力

 

Googleで「公立学校 社会性」を検索すると、AIによる概要が表示されます。

 

「公立学校は、社会の一員として必要な社会性を育む上で重要な役割を担っています。集団生活を通して、コミュニケーション能力や協調性、道徳観などを身につけることができます。また、学校は地域社会の拠点としての役割も担い、将来の地域を担う人材育成にも貢献します。」

 

実際に子どもを通わせると、学校がそれを目指していることが分かります。学力は、生徒によって大きく異なりますし、様々な問題も内包していますが、我が家では、公立学校は息子の社会性を向上させるには最適な環境でした。

 

子どもの教育は学歴至上主義に陥りがちですが、社会性の育成は人生全体を通して重要だと思います。そのためには、公立中学をおすすめします。公立の子どもは多様性に富んでおり、その中で摩擦を感じながら折り合いをつけ、社会性を育んでいきます。

渡邊 渚さんは高校受験組です。

公立中学から慶應義塾女子校に進学し、その後、慶應義塾大学経済学部に内部進学しています。(ウィキペディア)

 

サピックス中学部や早稲アカに我が子を通わせた親御さんなら誰でも知っていることですが、慶應義塾女子校は女子の最難関校です。息子がサピックス中学部に在籍している時、配布されたサピックス偏差値表でも、慶女は渋谷幕張と並んで女子の最上位に君臨していました。早慶付属校(男女)の中でも一番高い偏差値です。

 

相当、自分を追い込んで勉強しないと合格を勝ち取ることはできません。

彼女は相当な努力家で、自分の夢のために努力を惜しまない人間だと私は察します。

 

私も以前、仕事上でのパワハラでPTSDに陥ったことがあり、半年以上、寝て過ごしていた期間があります。その期間、何もする気にもなれず、すぐに疲れて寝て過ごしました。ドーパミン、セロトニン、オキシトシンなど脳内ホルモンが正常に出ていない感じです。そこから水泳やジムでのトレーニングでなんとか回復し、完全に立ち直りましたが、その時の辛さは相当なものでした。

 

彼女が加害者から何をされたのかまったく分かりませんが、彼女が心身ともに負った傷の深さはおそらく想像を超えるものだと思います。彼女を見守っている親御さんもかなりの心労でしょう。カメラを前に笑顔であっても、実際は予期せぬタイミングで突発的にフラッシュバックが襲ってきますし、PTSDからの立ち直りには時間を要しますし、とてもキツい道のりです。

 

何かと彼女をSNSで批判する人もいますが、私は彼女が健気に前を向いて生きる姿に心を打たれます。そしてこの事件を乗り越えた時、彼女は人としてとても強くなり、同じようにPTSDに陥ってしまった経験のある人に勇気を与えると思います。

息子はサピックス中学部に通いながら、早慶付属高校の一般入試を目指し、自己推薦も受けました。その時の体験を基に、一般入試のほかに自己推薦もチャレンジする上でのデメリットについて書きます。早稲アカ、サピで一般入試を目指しながら自己推薦も考えている方の参考になれば幸いです。

 

ここで書かれていることはあくまでも我が家の体験談を基にしています。その点はご了承ください。

 

 

一般入試直前期に貴重な時間を取られてしまう。

 

自己推薦入試は一般入試の直前期にあり、息子はこの時期に思っていた以上に、自己推薦の準備に時間を費やしてしまいました。入学志願書の志望理由などの記入項目欄は特に文字数制限はありませんが、何文字が妥当なのかを計算し、要点をまとめ、簡潔でありながら、でもしっかりと自己PRが書けないといけません。息子はパソコンで文字数を計算しながら何度も下書きを繰り返し、学校の先生やサピックス講師に見せてダメ出しをもらい、練った内容を清書しました。また同時に第2次選考(面接)の練習をしなければなりません。これにも時間がかかりました。言わずもがな、12月、1月は一般入試の直前期です。この期間に自己推薦入試の準備に時間を割くのは大きなリスクとなりました。

 

 

自己推薦の専門塾に通っていた子が多い。

 

入学後に分かったことですが、自己推薦で入学した子は自己推薦の専門塾に通っていた子が多かったです。当然ながら、自己推薦はそれ専門塾の方が早稲アカやサピックスよりもノウハウがあり、もちろん実績もあります。自己推薦入試は彼らの主戦場であり、その中で一般入試組が戦うのは不利です。戦い方がまったく異なります。サピックス中学部の講師からも「早慶の自己推薦は合格できたらラッキー程度に考えてください。」と言われていました。

 

 

不合格のショックが大きかった。

 

息子は第一次選考(書類選考)は合格しました。第二次選考(面接)は合格者よりも不合格者の数が少ないので、つい期待が高まります。息子も面接で手応えを感じ、「これは合格したな!」と興奮を抑えきれずに合格発表を待ちました。これで合格したら、息子の受験は終了となります。私たち夫婦も今日は祝杯だなと思ってWEBで結果が表示されるのを待ちました。そして時間になりアクセスすると、結果はまさかの「不合格」チーン。息子は何がまずかったのか理解できず、しばらく混乱していました。(そのショックは大好きな女の子に理由もわからずにフラれた時に似ているかもしれません。)それから1週間程度で本格的な一般入試が始まります。気持ちを立て直すのにとても苦労しました。

 

 

そもそも高校が求めている層が違う

 

そもそも高校が求めている層が一般入試と自己推薦では異なります。高校側から考えると、早稲アカやサピックス中学部でゴリゴリ勉強しているような子に自己推薦の枠を与えたいかと言えば、それはないんじゃないかと今では思います。もし自分が教員であれば、自己推薦はゴリ勉している子より、スポーツや文化活動などに打ち込み、何かユニークで可能性を秘めている子を入れたいと思います。冷静に考えれば、ゴリ勉の息子がそういった子たちに自己推薦で勝てるはずがありませんでした。

 

 

我が家の結論

 

息子はチャンスは一度よりも二度あった方がいいという安易な考えで自己推薦もチャレンジしましたが、結果は「不合格」。一般入試で合格できたので救われましたが、当時を振り返ると「二兎を追う者は一兎をも得ず」という事態になりかねなかねませんでした。自己推薦枠は中学時代、ゴリ勉ではなく何かに打ち込んできた子たちに用意された優先席です。息子が「あわよくば」という気持ちだけで受けたのは、自己推薦入試の意図から外れ過ぎてていたと今となっては思えます。