羽田発スカイマーク機はほぼ定刻2時に雨の新千歳に到着した。JRと地下鉄を乗り継いで、狸小路の奥のほうにあるホテルに3時半過ぎチェックイン。ひと休みした後、きたえーるに向かう。

 座席は1階スタンドF2 ブロックう列1桁台。北側の東寄りだが、3列目なのでステージはまずまず見やすい。

 最初のMC枠で、のっちが異例の言及をした。詳細は、たとえばこちらの方のツイートをご参照。「横槍」や「言葉」が示すところは、経緯を知るファンにはすぐに察せられた。

 開演から程なく、他メンバー2人がステージに出ていないタイミングで、過不足のない誠実なコメント。考えられる最良の対応といえるだろう。おそらくは他メンバーにも事前相談せず、のっち1人の判断で口にしたのではないか。

 がんばったね、のっち、ありがとう。噛み締めるように発する言葉に目が潤みました。

 終演後、外に出ると雨はほぼ上がっていた。涼しい空気に体を冷やしながら会場を後にする。
 なんとも残念だ。報道内容ではない。この時期に続報のネタを与えてしまったことがだ。

 先日の初報はご当人たちにとっても不意打ちのようなもので、なかなか防ぎようがなかったろう。だが、今回は防ぐことができた。会うのを控えればよかったのである。せめて「北海道公演が終わるまでは会わないでおこう」と自制すれば、昨日の報道は生まれなかった。

 自制が利いているのはファンのほうで、今回の報道にも概ね平静な反応が目立つ。それでも、今日のライブ集まる観客の多くは、それぞれに整理しきれない気持ちを抱えたまま、開幕を待たざるをえない。それって、ネタバレよりよほどファンの期待を削がないか。

 「Perfumeはいつもファンを第一に考えてくれている」という全幅の信頼にミクロの“ひび”が入ったとき、我々の無条件の声援にも微かな“ひずみ”が起こりはしないか。
 朝8時半ごろ新聞を買いにホテル1階まで下りると、黒いスタッフTシャツの方々が集まり始めていた。結構早く会場入りするのだな。

 チェックアウト後、せっかくなのでホテル正面の和歌山城を見物に行く。天気が回復して暑くなりそうだ。石段を登って天守閣へ。実はお城にはあまり興味がないので、そばから眺めるだけにする。


 石段を下りて庭園に回る。ベンチに腰掛け、スマホでThe Night Stalkerを暫く読む。周りで中国語らしき話し声がしきりとする。後でこんな記事を見つけた。

 お城から街中をぶらぶら歩き、駿河屋というお菓子屋さんに寄る。本ノ字饅頭10個(竹の皮で簡易包装)を頼む。座って待つ間に冷茶と小さな羊羹を供される。1,200円足らずの買い物なのに恐縮だ。

 ステーキガストで昼食を済ませ、和歌山市駅からバスに乗る。和歌山駅でお仲間たちが大量乗車。混んだ道路を歩くように進み、3時20分ごろ会場着。

 座席はスタンドGブロック3列30番台。前日のちょうど対面あたりだ。ステージは前日以上に近く感じる。

 隣の隣の通路脇のお客さんがあまりはみ出してくれないこともあり、足元が狭く動きづらい。それでも精一杯動いていると、外気温が高いためか、前日以上に汗をかく。あ~ちゃんも暑さを感知し、サンバは1回で勘弁してくれた。

 あのコーナーは、前日とダブリもあったが、なかなかいい組み合わせ。3曲目はあ~ちゃんが近くにやってきて、指1本で回すところとか、お客さんに振りを丁寧に教えていた。

 終演後、関空から9時35分発の全日空機に乗る。待合所はパフュTだらけだ。遠路はるばるライブを見に行き最終便でとっとと帰るという、相当にイッちゃってる人がこれだけいるのか(お前もな)。

 零時15分ごろ帰宅。本ノ字饅頭をいただく。皮が硬くなってしまったが、餡があっさりしていて好きな味。次は温めて食べよう。
 関空2時30分着予定の全日空機は20分ほど延着。3時発の和歌山駅行きバスに駆け込む。バスも高速を下りた後はノロノロで、駅到着は3時50分ごろ。

 空港でもバスでもPerfumeグッズを身につけた人は見当たらなかったが、駅構内のドトールでは複数発見。駅からゾロゾロと歩いて4時30分ごろ会場着。

 座席はスタンドAブロック7列1桁台。「北」側の一番奥のほうだが、前が通路なので視界は開けている。準備中に若干トラブルがあったようで、開演が少々遅れた。

 両隣は推定20代半ばの女性と推定30代前半の男性。男性が私のほうに寄ってきて多少窮屈だったが、まあ仕方ない。女性は途中から随分と飛び跳ねていた。

 曲目、演出は変更なし。あのコーナーのリストは徳島までのものと千葉のものを足して割った感じ。最後の挨拶のとき、あ~ちゃんが口をへの字にして涙をこらえる表情を久しぶりに見た。

 会場を出ると雨が降っていた。駅前からバスに乗って、お城の前のホテルにチェックイン。案の定、パフュTを着たお仲間だらけだ。

 エレベーターでは黒いスタッフTシャツを着た方々と乗り合わせた。この後、和民に集合するらしい。終演1時間後にホテルに戻れるスタッフって、どんな業務を担当されているのだろう?
 幕張メッセに飾られていた盛花。


 カネが切れても縁は切らないチョコラBBチームに感謝。

 思い起こせば昨秋放映のPerfume 10th Anniversary CMは、企業コマーシャルなのに1分枠のうち商品や企業名が3秒程度しか映らないという潔さで、「あれ、たぶん、1個いくらするんじゃろう」と多くのファンの涙を誘った。

 そしてライブ後にはチョコラBBローヤル2を退場客に1本ずつ配るという大盤ブルマー。私は全部で何本もらったんじゃろう。


 私はふだん、栄養ドリンクやビタミン剤の類を一切飲んでいないので、代わりに感謝の印としてエーザイ株を100株ほど買おうかと本気で考え始めている。

 ところで、今回のツアーでは千葉公演からメルセデス・ベンツ日本が協賛に付いた(エンドロールでは宮城からずっとSpecial thanksとクレジットされていたが)。協賛は千葉だけかと思ったら、和歌山、北海道も。和歌山は、4月にコンビニで発券した6月25日分のチケットには記載がなかったので、最近になって決まったのか。


 ぐるんぐるんやP×10では開演前にチョコラBBのCM画像が会場モニターに映り、観客がCM音楽に合わせて手拍子をしてライブへの期待をおおいに盛り上げたものだった。千葉ではひょっとしてAクラスのCMが流れるかと期待していたが、WE ARE Perfumeの告知映像だけだった。和歌山、北海道ではなんとかならないだろうか。CMが映ってもAクラスは買わないけど。
 止まっていた京葉線が運転再開したので、予定どおり幕張本郷からバスに乗るつもりで家を出る。念のため電車の中でツイッターを見ると、幕張本郷は依然として大混雑のようだ。予定を変更して西船橋で下車する。

 京葉線ホームに上がると海浜幕張方面の電車が入線していたが、どのドアも入り込む隙のないほどの超満員だった。諦めて、ホーム反対側に停車中の東京方面行きに乗る。こちらは余裕で座れる。市川塩浜で乗り換え。5分ほどでやって来た海浜幕張行き各駅停車はなぜかガラガラだ。3時前に海浜幕張駅着。

 プロントで時間調整して開演予定20分前に会場入り。前日に続いてKブロック。前日とほぼ同じ場所に立って開演を待つ。

 この日の「後ろから2列目ゾーン」は横一線のいい感じなフォーメーション。右隣の男性客が私とほぼ同じタイミングで手を上げ、叫んでいる。

 目の前を見渡すと、ブロック前方のお客さんが飛び跳ねているのに対して、中盤ゾーンは私たち後方組と比べてもおとなしい。前日も不思議に思っていたのだが、考えてみると中盤ゾーンに多い一般的なお客さんはこの日が本ツアー初参加か、せいぜい2、3回目の観覧のはずなので、新しい曲で充分に盛り上がれるほどの予備知識がないのであった。何事もヲタを基準に考えてはいけない。

 ただ、この日もP.T.A.コーナーの2曲前くらいからは中盤組も手が上がる。あ~ちゃんが無理やりぶっ込んだ、私の好きなあの曲では「4回目のHey!はナシ」とか皆さん知っているので偉い。

 そんなことを考えているうちに息も絶え絶えで終演。前日も感じたが、メンバーが手を振ってステージを1周している間にゾロゾロと帰るお客さんが多すぎてちょっと残念だ。帰りの電車の時刻とか、いろいろ都合はあるのだろうが。

 帰宅客と入れ替わる形で前方へ進んで両手を振り続ける。3人の退場をモニター越しに見守る。エンドロールが終わってツアーロゴが映し出されるのを確認して出口へと向かう。
 ≪世間が国民的総選挙の結果発表を見守るころ、東京東郊の巨大な集会所ではブルーやグレーやピンクの式服をまとった3万人の信者たちが3美神を称える秘儀に身を捧げ、法悦に浸っていたのであった。≫

 この日も開演予定の30分ほど前に到着し、入口に一番近い=後方で隅っこ、のKブロックへと入る。1日目と同様、後ろから2列目ゾーンにポジショニング。

 ステージはさすがに遠い。しかも柱がステージの半分を隠している。本ツアーは各地で随分と観覧済みなので、今となっては多少視界が悪くても文句は言えないのだが、モニター頼みだとメンバーの動きを確認しながら踊るのが時として難しい。それでも動き回るためのスペース確保が優先と割り切る。

 ブロック前方はそれなりに窮屈とみえて、開演早々にスタッフに運び出されたお客さんがいたようだ。そんなことを知ってか知らずか、かしゆかが「前の人が薄ーっくなったら、後ろに下がって膨らませてあげてね」とまろやかに注意喚起。これには圧縮とは無縁の後方組もニヤニヤが止まらない。

 右前方では元気な男子グループが終始大騒ぎしていた。「周りに迷惑なノリ方している人いる」というツイートも。私はほほ笑ましいくらいに感じていたが、彼らが陣取るブロック中盤あたりはおとなしいお客さんが多いので、周囲から浮いていたのは否定できない。

 おとなしかった中盤組も、あの壮大な曲の次の次の曲では一斉に手が上がり、会場中に響き渡るものすごいハンドクラップとなった。どの会場でもこの曲あたりから観客の熱量が一気に上昇する。

 P.T.A.コーナー以降はエンディングまで踊りっ放しなので正直きつい。でも踊ったけど。おかげでこの日も汗で湿ったタオルが重い。空調が結構利いていたのが救いだった。

 そういえば、終演後に「自分の前にいたおっさんがどの曲でも同じ体の揺らし方をするのが非常に鬱陶しかった」というツイートを見付けた。私のことか、と本気で心配したが、別ブロックにいた人のツイートと判明してひと安心。私の後ろにいた人も同じように思っていたかもしれないが。
 会社を4時15分に抜け出し、いったん自宅最寄駅に戻る。ツアーTの上に着ていたワイシャツを脱ぎ、カバンとともに駅構内のコインロッカーに放り込む。これで会場付近のロッカー&クロークがふさがっていても大丈夫。エビアン330mlペットボトルをズボンの前ポケット左右に1本ずつ、チケットと千円札3枚、それにスマホは尻ポケットに。タオルを首に掛ければスタンディング仕様の手ぶらスタイルが完成だ。

 危うい曇り空からは会場到着寸前になって霧雨が降り出す。既に整理番号に関係なく入場可能だ。本日のブロックは徳島2日目とほぼ同じ位置。つまり1番の当たりブロックだった。最後方の柵沿いはすべて埋まっていたので、そのすぐ前に陣取る。開演予定時刻まで30分。周囲のスペースに余裕があったのをいいことに、床にあぐらをかいてスマホをいじっていたら、スタッフに「立って観覧してください」と注意された。準備運動などしてスタートを待つ。

 開演。オープニングの演出に「オーッ」という歓声がひときわ大きく沸き起こる。どうやら本ツアー初参加のお客さんが多いとみえる。前方で圧縮が起きれば私の前のスペースがさらに空くかと思っていたのだが、まるで圧縮せず。それでも通常のアリーナ席よりは動くスペースが確保できる。

 本ツアーのクライマックスといえるスタンディングエディションに臨んで、ひそかに目標とした「体力が続く限り踊り続ける」を早速実践に移す。左隣の兄さんは20代後半か? いい動きをしている。ただ、この兄さんもツアー前半は参加していなかったらしく、アミーゴもセニョリータも知らない様子だ。そういえばあの曲のあのサインも、周囲ではマネしている人はほぼゼロだった。

 室温はそれほど高く感じなかったが、運動量が多いせいで汗を大量にかく。湿ったタオルが重い。途中、体力が切れかけたが、MCの間に持ち直して最後まで踊り切る。満足。でも、周囲のお客さんがもっと踊り騒いでいたらもっと楽しかったかも。今日のお客さんが土日も来れば要領がわかってさらに盛り上がるかもしれない。

 曲目、演出はほとんど変更なし。あの曲が差し替わったのは意外だったが、和歌山では元に戻るのだろうか。あのコーナーのリストが結構入れ替わっていたものの、なかなか願うとおりには当たらない。

 終演後、Tシャツ1枚では肌寒いくらいの外界に出ると、雨がいくぶん強くなっていた。駅まで「しなしな」になって戻り、北口から幕張本郷行きのバスに乗って帰宅する。
 3時すぎにホテルを出て、アスティとくしま行きバス乗り場に並ぶ。昨日より列が長い。

 背後の男子グループから「ライブ中にお遊戯みたいなことをやらされるらしいよ」「えー、俺たちがやるの?」などという会話が聞こえる。そう、君たち思い切りやらされるよ。

 3時40分ごろ会場着。席はアリーナL30列40番台で、通称蟹の脚ステージの通称南側ほぼ正面だ。ブロックの最後列だが、背後の通路がカーブしている関係で、2つしか椅子が並んでいない。

 隣の30代のお兄さんは椅子の横に広く空いているスペースでヲタ芸を交えた踊りに没頭している。「のっちのことは全部好き」という声援を2度3度飛ばす。

 私は、通路を挟んだ隣席が巨体のお地蔵さんだったこともあって、通路側にはみ出すのは控え、椅子を後ろにずらして可動範囲を広げる。周囲の様子をうかがいつつ、徐々にペースを上げる。例の曲の例のポーズが観客の間でもだいぶ浸透してきた。

 例のコーナーからは、椅子の後ろに立ち位置を変え、フル出力に切り替える。息は上がるし、汗も半端ないが、メチャクチャ楽しい。幕張オールスタンディングを前にして、ようやく開眼した気がする。

 後日、掲示板を見たら、「徳島2日目は本ツアーで最大の盛り上がりだった」という書き込みが目立った。皆も同じように感じていたんだな。

 エンディング曲が終わり、観客の拍手が長々と続く。言葉を挟むのを暫し控えて会場を見渡すあ~ちゃんの目が潤んでいる。

 本日2度目の「それでは、Perfumeでした」の後、3人が退場。隣のお兄さんに挨拶して帰ろうと思ったが、早々に姿を消していた。盛り上げてくれてありがとう、のっちのち兄さん。

 帰りのバスも昨日以上に長い列。またしても座れたので暫く脱力状態に陥る。前に立っていた女子2人は神戸あたりから来たらしい。

 夕食は駅前のそごう最上階の和食店へ。店前のペデストリアンデッキでは、お囃子付きで阿波踊りの練習をするグループを見掛けた。ホテルへの帰路、例のすだちくんガールズと擦れ違う。

 翌朝、7時45分発の全日空機で帰京。そのまま出社する。
 目覚めると外は弱い雨降りだった。ライブ開演までの予定は既に決めてある。駅地下のファーストキッチンで朝食を済ませ、8時45分発の洲本高速バスセンター行きバスに乗る。徳島駅から乗ったのは私を含めて3人だけだった。

 鳴門駅前で鳴門公園行きバスに乗り換え。本当は1つ手前の鳴門局前で乗り換えてもよかった。このバスも余裕で座れる。約15分で目的の大塚国際美術館に着く。

 ここは陶板で原寸複製した世界の名画を千点あまり展示している。放送大学のテレビ講義で紹介していたのを随分前に見て、一度訪れたいと思っていた。

 最初の、そして象徴的な展示室はこれ。

 ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂(の複製)だ。本物も見に行ったことがあるが、実はよく覚えていない。

 天井画の中にはこんな場面も。

 空を飛びながら天地を創造する神。左側の後ろ姿は、なぜかお尻が丸見え。

 別の部屋にはこんな絵が。

 古代ギリシャの遺跡から出土したフレスコ画「飛び込む男」。一説には、三途の川に飛び込むところだという。

 ほかにも、最後の晩餐やら、レンブラントやら、モネやら、ウォーホールやら、やらやら。館内は意外に空いていた。パフュTやシャカシャカを着た同志をそこここで認識。

 ひととおり回ると昼時になったので、レストランで阿波尾鶏のチキンカツ丼を食べる。卵でとじていないタイプ。福井と同様、徳島もソースカツ丼圏なのであろうか。卵とじ圏の住民は後悔を隠せず。鯛炙り丼にしておけばよかったか。

 帰りの路線バスは鳴門公園からの帰り客を載せて到着。そこに美術館からの乗客が加わり、またもやギュウギュウ詰めだ。このバスは空港経由で徳島駅に行く。このままでは昨日の二の舞となる。たまらず鳴門駅前で下車する。

 駅で徳島行きの時刻表を見ると、次の発車まで1時間半近くある。ライブには何とか間に合いそうだが、このタイムロスは痛い。別のバス路線はないか、と慌ててスマホで調べる。ありました。10分ほど後に徳島駅行きが来る。

 さっき降りたバス停に戻ると、ちょうど徳島駅行きバスが滑り込んできた。先ほど調べたバスの定刻よりまだ数分早いが、さらに別の路線のバスなのか。構わず乗車。余裕で着席。しかも、このバスは空港に寄らないので、徳島駅にずっと早く着く。

 2時すぎに徳島駅着。ドトールでブレンドMとアップルパイを仕入れて、ホテルで一休みすることにする。