PhotoScanを極める 18. 教科書的手順 Step 11 | 山口大学 空中測量(UAV写真測量)研究室の技術ノート

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【このテーマの記事は、UAV写真測量に必要な解析や、そのためのAgisoft PhotoScanの操作について解説しつつ、適切な設定の探し方を提案することを目的とします。注意事項や用語説明もありますので、最初のページから読んでください。教科書的な操作手順表はこちらのページにあります。】

 

Step 11では、GCPや手動タイポイントをも動員した最終的なカメラパラメータの最適化(バンドル調整)の準備として、最適化の根拠となる各種のデータ(例:マーカーの世界座標の現地測量)に期待する精度に関する設定を行う。これは、最適化におけるこれらのデータの重みを決める重要な設定である。

 

操作としては、「座標データ」ペインの上部にある「設定」ボタンにより「座標設定」ダイアログを開き、必要な情報を入力する。

 


「計測精度」("Measuremnt Accuracy")エリアでは、これまでのステップで入力した世界座標に想定される精度を与える。例えば「カメラ精度 (m)」は、EXIFなどによって撮影位置の世界座標を与えた場合、それに期待する誤差のRMSである。今回は撮影の座標・向きも、スケールバーも与えていないので、結果に影響するのは、「マーカー精度 (m)」のみである。これは、GCPの世界座標の現地測量に期待する誤差のRMSであり、「カメラを最適化」を行う際の、入力した座標の重み(※)に影響する。

 

※ その重みは内部で、何らかの合理的な方法で決められていると考えられるが、不明であり、私の経験では「マーカー精度 (m)」に正直な値を入れると、マーカーの効き方が足りないと感じることも多い。実際の測量誤差より明らかに小さい、ミクロン単位の誤差を与えたときに、検証点での精度が最もよくなることもある。

 

「計測精度」エリアで入力した内容は「座標データ」ペインに反映されるが、「座標データ」ペインで個別に更新することもできる。

 


「画像の座標精度」(Image coordinates Accuracy)エリアでは、Step 8で設置したマーカーと、Step 4の自動マッチングで得られたタイポイント(画像間で対応付けられた特徴点)のそれぞれについて、画像上で期待される位置精度(誤差のRMS;画素単位)を入力する。

コンピュータによる特徴点の位置推定精度である「タイポイント精度 (pix)」は、一見悩ましい設定項目だ。しかしAgisoftに問い合わせた結果、「タイポイント精度 (pix)」には、Chunk 1の「情報表示」で見られる画素単位の「RMS再プロジェクションエラー」の値を入れればよいだろう、とのことだった。「RMS再プロジェクションエラー」は厳密には、カメラモデルのあてはまりなどの影響も受けているだろうが、「タイポイント精度 (pix)」の現実的な参考値としては、確かに妥当だと思う。

 

同じ考え方をすれば、自分の判読の精密さに相当する「マーカー精度 (pix)」には、Step 8でマーカーを設置した直後に「座標データ」ペインの誤差 (pix)列の最下部「チェックポイント」行に表示されていた、全てのマーカーの再投影誤差の写った全ての画像に関するRMS(Step 8のページのスクリーンショットによると0.147)を入力してもよいだろう。

 

「その他の設定」エリアの「グラウンド高度」に関しては、画像の撮影位置・向きを与えた場合のみ関係がある項目なので、ここでは扱わない。