こちらの記事とこちらの記事で紹介した2つのブラウザゲーム教材を、最新版の状況とともに改めて紹介します。
0. 共通の特徴
これらは、私が担当する大学の測量教育で、従来の「講義」と「屋外実習」では学びにくいポイントを効率的に補うために、6月の途中から生成AIで作り始めた教材です。いずれも、
- PCブラウザ専用のゲーム(またはシミュレータ)です。
- ソースコードは単一のHTMLファイルです。完全に無保証で、MITライセンスで公開しています。
- MITライセンスのため、他の大学・学校・企業などで改変・再配布されても、ライセンス上の問題はありません。ただし他の法的なリスクなどにはご注意ください。
- 生成AI (Google Gemini)のおかげで、自身で殆どコーディングをせず、1か月足らずで開発・授業投入できたものです。
- テストはいつも不足しています。同僚の厚意で協力を得ていますが、もちろん限界があります。
- 測量をリアルに模擬するものではなく、敢えて単純化・デフォルメし、講義・実習では習得しにくいポイントの補強に特化しています。
- 「トラバース測量外業シミュレータ」では、TSの据え付け作業やボタン操作などは実習で経験済みとして、省略
- 「GNSS干渉測位 学習補助ゲーム」では、「見えない光速の電波」を「見えて聴こえる遅い波」にデフォルメ
- クリアの概念があり、クリア画面では暗号化されたクリアコードが発行されます。クリアコードはランダム性をもち、隣の学生と一致する確率が低い、暗号化されたコードです。教員は学生にクリアコードを提出させ、後で検証することで、学生が本当にクリアしたのかを検証できます。
1. トラバース測量外業シミュレータ
遠すぎた基準点 ~トラバース測量外業シミュレータ~(2026年6月16日 初版公開)
こちらは現在、上記の公式リンクから現在の公式版としてプレイできるバージョン10の他に、
テスト不十分ですが「画面が暗くなったりスリープになったりすると(マウスポインタのロックが外れると)外業終了画面(野帳のCSVファイルをダウンロードする画面)に移ってしまう」問題を解消したバージョン14を公開しています:
この問題解消は、マウスポインタのロックが外れた場合に外業終了画面に直接行かずに、一時停止画面に移る仕様にすることで実現しました。結果として、外業中にEscキーを誤って押した場合や、従来禁止であった野帳展開中のEscキーにも強くなっているはずですが、テスト不十分のためまだ公式版としていません。
また、3D酔いをしやすい方向けに、バージョン10のテクスチャレス版もあります。
"遠すぎた基準点"は、SNSでも紹介していただいています:
2. GNSS干渉測位 学習補助ゲーム
真位置はいつもひとつ ~GNSS干渉測位 学習補助ゲーム~(2026年6月30日 初版公開)
こちらはバージョン6が最新版です。位相差端数部分の選択問題が5択だと0.2秒を聴き分ける必要があり、難度が高めのため、将来は4択に改めたいと思っています。トップ画面に記していますが、ワイヤレスイヤホンなどによる音の遅延は正解を困難にしますのでご注意ください。
3. 先生方へ:授業での利活用方法
- いずれのブラウザゲーム教材も、通常の講義や実習の後に、復習や理解を深めるために用いることを想定しています。
- 表示される文字列・メッセージをしっかり読むよう、学生への注意が必要です。
- 授業中に学生にプレイさせる場合、ゴールの設定について、次のような選択肢があります:
①クリア画面を先生に見せること
②クリアコードを学習管理システム (LMS)などで提出する
このうち②の場合、LMSから全員のクリアコードをエクスポートして、一度にデコードすると、学習の管理が簡単になります。ただしそのデコードのためのプログラムは、先生が作る必要があります
(学生には秘密:ブラウザゲームのソースを生成AIに与えれば、簡単に出来るはずです)。 - MITライセンスのため、他の大学・学校・企業などで改変・再配布されても、ライセンス上の問題はありません。ただし他の法的なリスクなどにはご注意ください。
- "遠すぎた基準点"では、木の数や蜂の数を変えるのは、1箇所の数字を変えるだけで、容易です。難易度のコントロールにご利用ください。
- "遠すぎた基準点"では、3D酔いに加え、1人称視点の3Dゲームの操作経験のない学生への配慮(十分な練習時間の提供など)が必要です。
※ これらの教材の開発は、きわめて厳しい状況にある現代日本の大学の教育現場において、若い学生に少しでも効率よく学んでもらうための、生成AIの力を借りた、そして余暇の時間も投じた「現場のあがき」の結果に過ぎません。開発者である私は、インパール作戦から80年経った現在でもあらゆるレベル・スケールで根強く残っている「補給の軽視」「現場への無理な要求と責任転嫁」の傾向を、克服すべき悪弊と捉え、自身も注意しております。
どんな現場でも、崩壊せず維持されるためには、十分なリソースの供給が必須のはずです。今回の開発事例が、教育現場への予算・時間リソースの供給軽視の正当化に使われてはなりません。



